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カネサダ番匠ふたり歩記

私たちは、大工一人、設計士一人の木造建築ユニットです。日々の仕事や木材、住まいへの思いを記していきます。

墨は半分

2007年10月11日 | 大工のこと
現在Y邸新築工事の墨付けの真っ最中です。





家の新築にとりかかる場合に、新たに作成するものには、まず絵図板があります。
看板板ともいい、家の設計のあらましを板に描いた物です。昔は設計図なんてありませんから、大工は絵図板一枚で全ての仕事をこなしました。





次に間竿(けんざお)です。尺杖(しゃくづえ)ともいいます。4メートル程の細く削った杉の木に長さの目盛りを記したもので、垂直用と水平用、そして小屋用の3本を作ります。小屋とは屋根を指します。全ての部材はこの間竿を使って長さをとっていきます。

そして今日紹介する墨刺(すみさし)があります。





墨刺は、差金(さしがね)、墨壺(すみつぼ)とならんで、墨付けにはなくてはならない道具です。
最近は大工道具店に行けば、プラスチックや真鍮製などの既製品が簡単に手に入りますが、私はいつも自分で作ることにしています。

作り方は簡単です。
一晩水に漬けておいた真竹(まだけが一番いいみたいです)を、自分の手にあった寸法に削り、刃先をカッターナイフで細かく割り込んでいきます。こうやって作った墨刺は軽く、角材をはじめ丸太にも自由自在に墨付けをすることができます。





さて、大工の仕事は「墨半分」といいます。
髪の毛ほどの細さで描かれた墨を、ノコギリやノミで加工する時に、墨の太さの半分で切ったり掘ったりしてあげると、木と木を接合した場合に元通りの寸法に納まるからです。

私が上之保村の親方から教わった、「墨半分」の極意があります。

親方の修行時代には兄弟弟子がたくさんいて、親方の親方はたいそう仕事に厳しく、特に墨半分ということをやかましく言われたそうです。
なかなか駆け出しの頃はうまく道具を使えません。思わず墨を大きく外れて、墨が見えなくなるほど切ってしまうこともあったとか。
親方に見つかって大目玉をくらう前に、墨刺でそおっと角をこすってやると、あら不思議!墨半分にきっちりと仕事ができた(ように見える)ではありませんか!兄弟弟子たちがみんなこっそりやっていたそうです。

えへへ、私の修行時代、上之保村の親方は私の極意には気づいていたんでしょうかねえ?


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