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カネサダ番匠ふたり歩記

私たちは、大工一人、設計士一人の木造建築ユニットです。日々の仕事や木材、住まいへの思いを記していきます。

杉山さんの杉びいき

2008年03月31日 | 木のこと
どうやら郡上での杉花粉の飛散は終わったようです。
空気がすっきりして、遠くの山々もはっきりと見えるようになりました。





Y邸の真横には村のお宮さんがあります。ものすごく太くて大きな杉が立っています。
現場から見えるこのお宮の風景や、杉の木立の間から見えるお寺の屋根など、休憩中などに私たちの心を和ませてくれます。
杉のある風景っていかにも日本的でいいですね~。





外壁の杉の下見板張りがほぼ終わりかけた頃、見知らぬおじさんがひょっこりやって来て、
「ああ、やっと外壁が張れたね~。しかし杉板張りっていいね~。オレも自分ん家にこうやって杉板を張れたらなぁ。」
と、随分お気に入りの様子です。





私も仕事の手を休めて、
「そうでしょう!杉っていいですよね。花粉症の人には目の仇にされてるかもしれないけど、もっともっと利用していきたいですよね~。」
などなどひとしきりの杉談議。

「そうなんだよ。オレの名前は杉山なんだ。杉山だけにやっぱり杉が好きなんだよな~。」
まあ、妙に納得かな。「オレは杉山だけど、何か桧が好きなんだよな~。」なんて言われるとがっかりですもんね・・





これからは中の造作を進めていきます。
これは和室の天井を張っているところです。もちろん杉板です。





こちらは二階の天井見上げです。天井は化粧野地板の現しなのでこれで仕上がりですが、壁には杉板を張っていきます。

杉の色合いや表情、香りは落ち着きを与えてくれますね。
どうぞ全国の花粉症の皆さん、建築材としての杉は大丈夫ですから杉のこと好きになってくださいね。
また全国の松山さん、檜山さん、桐山さん、栗山さんなどなども杉山さん同様杉のこと好きになってくださいね。
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ミニ製材所

2007年10月05日 | 木のこと



ミニ製材所のオープンです。(といっても、カネサダ番匠の作事場です。)





この小型製材機は、バンドソーに製材用の台車をくっつけただけのものですが、直径30センチ、長さ5メートルまでの丸太の製材が可能です。

どうやって台車が動いていくかですって?
ご覧のとうり、人力でじわーっと押していきます(だからといって押部くんというわけではありませんが、彼の名前なんです)。





製材している丸太は、以前このブログの伝令、走れ走れ!でも紹介した、家族総出で山から下ろしてきた間伐材です。

実際にやってみると、これが以外に難しく、以外におもしろいのです。
丸太は真っ直ぐなように見えて微妙な曲がりがあったり、元口(根元のほう)と末口(その逆で、立ち木の状態でいうと先っちょのほう)でも直径の差があったりして、板を取ろうか、角材を取ろうかなど、丸太さんとにらめっこしながらの楽しい作業です。





製材したものは、丁寧に桟木を敷いてやり、直射日光の当たらない、それでいて風通しの良いところでじっくり自然に乾燥させてあげます。さあ、何に使ってあげましょうかねぇ。





早速、これらの木を使って、作業台を作ってみました。

最近は、山では間伐材は放置されることが多く、せっかくの貴重な資源を有効に利用できていない場合もあります。その理由には、採算が取れないとか、規格・長さが不揃いだ、などが挙げられるでしょう。

個人的なレベルではありますが、少しづつでも、山の貴重な恵みである木を大切に使っていきたいと思っています。
そしてその思いの輪が少しづつでも広がれば、日本の山も、もっと元気を取り戻してくれるのではないでしょうか。
コメント (4)
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水もしたたる・・

2007年05月12日 | 木のこと
新緑が本当に美しいですね。
それとともに、木々に咲く花も私たちの目を楽しませてくれます。





今、枝先に真っ白な小さい花をびっしりとつけているのは、ミズキです。
ミズキはミズキ科ミズキ属の落葉高木。





名前の由来は樹液が多く、特に春先に枝を折ると水のような樹液がしたたることによります。
中国名は灯台樹といいます。





私は立ち木の姿で一番好きな木には、迷わずミズキを挙げます。
ミズキの素晴らしいのは、その枝振りの良さ。

直立した幹に、枝を扇状に四方に思いっきり広げ、階段状の独特の美しい樹形になります。





その躍動感あふれる姿が、両手をいっぱいに広げて、天に向かって大きく背伸びしている自分の姿に重なって見えるみたいです。

いろんな木を見ているだけで、何だかウキウキしてくるのは私だけでしょうか?
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地球は回る

2007年03月03日 | 木のこと
無事に神様に叱られることなく、カネサダ番匠新作事場の地鎮祭を執り行うことができました。感謝感謝です。





いよいよ唐松(カラマツ)の太鼓挽き丸太(たいこびき丸太、たいこずり丸太とも。丸太の両側面のみを製材して、ちょうど断面が太鼓の形になっているもの)を40数本搬入して、これらの丸太との格闘が始まりました。4,6メートル、長いものは8メートルにもなります。つい一ヶ月前には、片手で握って素振りができるくらいの、ひょろひょろの小丸太を扱っていたのですが・・・同じ丸太とはいうものの、えらい違いです。

これらの唐松は、岐阜県の飛騨地方の荘川産のものです。飛騨や信州、北海道には広大な植林地があります。
唐松は日本にだけ生えているマツ科の木で、日本の針葉樹では、ただ一種落葉します。秋に真黄色に黄葉する様は本当に美しいものです。新緑の目の覚めるような黄緑色もそれに劣らず美しいですよ。





これは去年の3月に伐採し、製材所に搬入した時の写真です。製材後に桟積みして自然乾燥させてきましたので、およそ1年程の乾燥期間でした。カラカラに良く乾燥していますが、とにかく唐松は重たいのです。

唐松は水に強く、腐りにくい性質を持っています。
その昔には(6,70代の大工さんの話では)住宅の土台によく使われていたそうです。また、郡上では線路の枕木を専門に扱う製材所がありましたが、唐松も枕木として大量に出荷されていました。

今回、カネサダ番匠新作事場は木造で建てますが、唐松の梁を使って、洋小屋のトラスを組みます。
今時は木造でトラスを組む様なことはめったにないでしょうね。迷わず鉄骨造りになってしまうでしょう。昔の木造の大型建築物といえば、洋小屋のトラスと決まっていたものですが、時代の移り変わりによって、これも消えつつある技術です。

洋小屋のトラスで寄棟(よせむね)を組む場合は、かぶら束やら、かぼちゃ束といった、なんだか八百屋さんにいるみたいな名前の部材が出てきますし、その場合の規矩術(きくじゅつ、さしがねを使った墨付けの技術です)は、相当高度なものなんですよ。





さて、唐松の弱点は、捻(ねじ)れる、ということです。それも半端じゃないんです。よく我々が使う表現でもって言うと、プロペラみたいに捻れるのです。

唐松自体が螺旋(らせん)を描いて捻れながら成長する性質を持っているので、これだけは避けられない弱点でしょう。それがために唐松は建築では敬遠されているのです。

どれだけ捻れているのかは、木のあっちとこっちの端っこに木切れを置いて、少し離れたところから見るとよく分かります。
今回は時間をかけてじっくり乾燥し、また太鼓挽きでもあるので、捻れの度合いもだいぶましな方です。

何本も捻れを見て、修正しているうちに、ある一つのことに気が付きました。
それは、すべての唐松は、時計回りに捻れているということです。最初の頃は、2,3本くらい、反対回りのひねくれ者もあるのでは・・と思っていましたが、百発百中で時計回りだ、と分かった時、これはただ事ではないぞと、ひとり興奮を隠し切れませんでした。

そしてその時計回りに成長する理由が、(おそらくですよ)太陽の動きに合わせて全ての唐松が体や枝を捻るからなのだ・・と分かった時、天地を支配する大きな力の一端に触れた気がして、興奮がピークに達し、ひとり夕暮れ迫る寒い工場の中で「おおー、すばらしい!」と雄たけびの声を上げていたのです。

こんな感じで毎日が暮れていきます・・・
どうぞ、木造のトラスが建ち上がる日をお楽しみに!
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