もう15年くらい前の話です。
まだ上之保村の親方のところで修行中に、愛知県知立市でふとん屋さんの新築工事がありました。
遠方であったため、現場にコンテナハウスを持ち込んでの泊り込みの仕事でしたが、新米の私が炊事や風呂炊き番に当たっていました。
家事の合間をぬって、夜な夜なケーナを吹くのが気晴らしでしたが、ある夜犬を散歩中の御婦人が「コンドルは飛んでいく」の音につられてひょっこり現れたのです。
「あらあら、メルちゃんに引っ張られてやってきたら、何?笛を吹いていたのはあなただったの?」
このメルちゃんの大好物は何故かキュウリ。
そのうち夕食の準備中に例の御婦人が大声で、「こらっ!メルちゃん。だめだってば!またキュウリをおねだりしちゃって!」
なんて言いながらしょっちゅう現場にやってくるようになりました。
ケーナが結んだ縁というよりは、キュウリが結んだ縁と言えそうですね。
Y邸の次に建てるのは、その御婦人の娘さんの家なのです。

さて、私たちの現場での仕事は地盤調査から始まります。
ご婦人の娘さんのS邸でも、SS試験を自分たちで行いました。
SS試験とは、スウェーデン式サウンディング試験のことです。
この器具をどこで手に入れたらよいのか分からずに、設計士の丹呉氏はスウェーデン大使館に電話したそうですが、(スウェーデン大使館には在庫はなかったそうです・・やっぱり。)今回器具一式は丹呉氏よりお借りしました。

試験方法は割合簡単です。ただし体力が必要かも・・
スクリューの付いた棒(ロッド)を地面に押したてて、100キロの重りを載せ、二人がかりで回していきます。
25センチごとに、要した回転数を記録していきます。
ロッドはねじ式になっていて継ぎ足していけますので、7~8メートル分は調査できます。
100キロの重りを載せただけでズブズブと沈んでいく層(自沈層)もあるかと思えば、額に汗をかいて50回以上回してやっと2~3センチしか沈まないという層もあります。自分自身で地盤の様子が体感できるのは大きな収穫です。
試験のデータは後で整理しますが、早見表があって地盤の地耐力と将来の沈下量の予測ができます。このデータを解析して基礎の設計をするわけです。

土地の測量も自分たちで行います。
平板測量という昔ながらの方法です。しかし最近は測量にはデジタル機器を使う方が一般的みたいです。
覗いているのはアリダードという器具で、竹製です。三脚は木製、朴の木でできています。
前方板には小さな穴が開いていて、後方板には細い糸が縦に張ってあり、これを目視で照準を合わせて、方角と距離を縮尺で記録していきます。高さを測ることもできます。
距離を測るのは巻尺。測点めがけて走っていきます。
自分の五感を使って測量すると、あとあとの仕事とのつながりも想像しやすくなってきます。大切な作業のうちのひとつです。
まだ上之保村の親方のところで修行中に、愛知県知立市でふとん屋さんの新築工事がありました。
遠方であったため、現場にコンテナハウスを持ち込んでの泊り込みの仕事でしたが、新米の私が炊事や風呂炊き番に当たっていました。
家事の合間をぬって、夜な夜なケーナを吹くのが気晴らしでしたが、ある夜犬を散歩中の御婦人が「コンドルは飛んでいく」の音につられてひょっこり現れたのです。
「あらあら、メルちゃんに引っ張られてやってきたら、何?笛を吹いていたのはあなただったの?」
このメルちゃんの大好物は何故かキュウリ。
そのうち夕食の準備中に例の御婦人が大声で、「こらっ!メルちゃん。だめだってば!またキュウリをおねだりしちゃって!」
なんて言いながらしょっちゅう現場にやってくるようになりました。
ケーナが結んだ縁というよりは、キュウリが結んだ縁と言えそうですね。
Y邸の次に建てるのは、その御婦人の娘さんの家なのです。

さて、私たちの現場での仕事は地盤調査から始まります。
ご婦人の娘さんのS邸でも、SS試験を自分たちで行いました。
SS試験とは、スウェーデン式サウンディング試験のことです。
この器具をどこで手に入れたらよいのか分からずに、設計士の丹呉氏はスウェーデン大使館に電話したそうですが、(スウェーデン大使館には在庫はなかったそうです・・やっぱり。)今回器具一式は丹呉氏よりお借りしました。

試験方法は割合簡単です。ただし体力が必要かも・・
スクリューの付いた棒(ロッド)を地面に押したてて、100キロの重りを載せ、二人がかりで回していきます。
25センチごとに、要した回転数を記録していきます。
ロッドはねじ式になっていて継ぎ足していけますので、7~8メートル分は調査できます。
100キロの重りを載せただけでズブズブと沈んでいく層(自沈層)もあるかと思えば、額に汗をかいて50回以上回してやっと2~3センチしか沈まないという層もあります。自分自身で地盤の様子が体感できるのは大きな収穫です。
試験のデータは後で整理しますが、早見表があって地盤の地耐力と将来の沈下量の予測ができます。このデータを解析して基礎の設計をするわけです。

土地の測量も自分たちで行います。
平板測量という昔ながらの方法です。しかし最近は測量にはデジタル機器を使う方が一般的みたいです。
覗いているのはアリダードという器具で、竹製です。三脚は木製、朴の木でできています。
前方板には小さな穴が開いていて、後方板には細い糸が縦に張ってあり、これを目視で照準を合わせて、方角と距離を縮尺で記録していきます。高さを測ることもできます。
距離を測るのは巻尺。測点めがけて走っていきます。
自分の五感を使って測量すると、あとあとの仕事とのつながりも想像しやすくなってきます。大切な作業のうちのひとつです。