
今も昔も、コミックには単行本はつきものだ。
一気に読みたいがために、連載版を読まずに、単行本になるまで待つ人もいる。
単行本のレーベルには、それぞれ独自のネーミングがある。
最近はそのコミックの掲載雑誌や、その掲載誌の出版社の名称に即したネーミングが多い。
例えば少年ジャンプに連載されていたコミックなら、ジャンプコミックス。
少年チャンピオンに連載されていたコミックなら、少年チャンピオンコミックス。
ビッグコミックに連載されてたコミックならビッグコミックス。
芳文社の「週刊漫画」に連載されてたコミックスなら、芳文社コミックス。
・・・などというように。
今でこそそういうネーミングが多いが、昔はそうとも限らないレーベル名が多かった。
例えば小学館ならゴールデンコミックス。
秋田書店からはサンデーコミックス。
講談社のKCコミックス。
などなどのように、必ずしもその出版社の名前や、その出版社が発行していた雑誌名をもじったものとは限らないネーミング(厳密にはKCコミックスは、出版社の名前を多少もじっている気はするが)。
秋田書店のサンデーコミックスなど、小学館の少年週刊誌に「少年サンデー」があることや、今では小学館の単行本に「少年サンデーコミックス」があることを考えると、「サンデーコミックス」だとネーミング的にややこしいことになるので、秋田書店のサンデーコミックスは「秋田サンデーコミックス」と呼ばれて区別されたりしているようだ。
なんでも、秋田書店のサンデーコミックスは、コミックの単行本の先がけ的な存在だったようだ。
今でこそ、出版社は、自社の雑誌に掲載された作品を、その掲載誌や出版社の名前をもじった単行本レーベルで出しているが、サンデーコミックスが登場した時は、その流れはまださほど一般的ではなかった。
また、サンデーコミックスが登場した時は、秋田書店は自社の漫画週刊誌などは出していなかったのではないか。
そのせいかどうかはわからないが、サンデーコミックスというレーベルからは、様々な雑誌に掲載された作品が選ばれて、そのレーベルのもとで単行本化されていった。
その結果、非常にバラエティに富んだレーベルだった印象がある。
私が幼年時代に隆盛を誇ったサンデーコミックスの看板作品としては、「サイボーグ009」「夕焼け番長」「鉄人28号」、「伊賀の影丸」、「男どアホウ甲子園」、「宇宙戦艦ヤマト」「忍者ハットリ君」「エイトマン」「どろろ」、「海のトリトン」「のら犬の丘」「マジンガーZ」、楳図かずお先生の一連の恐怖マンガ類(短編集)、その他有名作品多数・・・など、まさに一世を風靡していたと思う。
今見ても、漫画史に残る名作が多く、有名で豪華なラインナップだ。
それらの作品は秋田書店以外の出版社が発行していた様々な雑誌に掲載されていた作品がセレクトされて、サンデーコミックスから単行本化されていた。
例えば「009」などは当初は少年キングに掲載されてた作品だったし、「鉄人」は月刊誌「少年」に掲載されていた作品だったし、「男どアホウ」は「少年サンデー」に掲載されてた作品だった・・・という具合に。
今これだけの著名な名作コミックが、同一レーベルから出るのは、難しいのではないか。
主だった名作コミックの多くがサンデーコミックスから出ていた印象があった。
まさに当時のサンデーコミックスは、単行本レーベルのトップレーベルだった印象があった。
、
そして、サンデーコミックスの成功に刺激されて、各出版社も単行本レーベルを次々にたちあげていった印象が私にはあった。
虫プロから出版されていた「虫コミックス」というレーベルも、けっこうバラエティに富んだラインナップだった印象があった。
今は、そのレーベルは細分化され、各雑誌に掲載された作品のみが、その雑誌の名前をもじったレーベルから発行されるようになっている感がある。
その結果、極端に言うと、各雑誌ごとに単行本のレーベルがある・・個人的には、そんな印象すらある。
あまりに単行本のレーベルが多くて、どの作品がどの雑誌に掲載されているのか知っていないと、そのコミックの単行本を書店で探すのに苦労することもあるようになった。
今では、かつてのサンデーコミックスのように、様々な雑誌に掲載されていた傑作コミックをセレクトして、ひとつのレーベルから単行本を出すというのは、難しいのかもしれない。
だからこそ、かつての秋田サンデーコミックスのラインナップを今改めて見てみると、豪華に思える。かなり「名作選」というラインナップのようで。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます