
十代の頃、友達M君が、メーカー不明のギターを持ってた。
だがそのギターには、なんとフェンダーのロゴがヘッドに入っていた。
私が、あれ?フェンダーにこういうモデルあったっけ?見かけないデザインだけど。
と言ったら、その持ち主は「実は俺が手描きでヘッドにフェンダーのロゴを描いたんだ」と言った。
当時、ギター小僧たちの多くが舶来のブランドギターには憧れの気持ちを持っていた。
マーチン、ギブソン、フェンダーの3大ブランドを筆頭に、ギルド、リッケンバッカー、グレッチ、オベーション、などなど。
今ではテイラーも人気ブランドだろう。
でも当時の私たちの財布では、そんなブランドギターなんて、中々買えなかった。
でも上記のブランドのロゴには憧れがあった。
私の友人も、そんな気持ちだったのだろう。その友人が持ってたメーカー不明の妙なデザインのギターは、決して上記のブランドギターのコピーギターではなかった。そのギターと同じデザインのブランドギターなんてなかったし。
だが、強いてあげれば、フェンダー系のギターには割と近いデザインではあった。
たからヘッドにFenderのロゴを自身で描いてしまったのだろう。
その友人は決して絵や文字がうまい奴ではなかったのだが、その友人が描いたFenderのロゴは実にうまく描けており、本物のフェンダーロゴと遜色ない出来栄えだった。
きっと彼なりに相当時間をかけて、なおかつ細心の注意を払ってフェンダーロゴを真似したのだろう。
私はそのロゴがその友人が描いたものであることを知った時、妙に感心してしまったもの。
ただ、それが彼の手描きであることを知ってからは、そのギターは私は「フェンダー」とは呼ばず、「ヘンダー」とか「にせフェンダー」「なんちゃってフェンダー」と呼んでたけどね(笑)。
とはいえ、私とてブランドギターには憧れがあったので、彼の気持ちも、まあ、わかった。
そのギターの正体・・なんていうメーカーのギターだったのかは、結局わからずじまい。
多分、国産の初心者用のチープなギターだったんだとは思う。
先日、ギター関係の動画を見てたら、楽器屋に買い取りを断られたギターを紹介する動画があった。
今は昔と違って、中古ギターのショップはそこそこある。
新品だと買えなくても、中古だと安く買えるギターが中古楽器屋では売られており、それなりに需要はある。有名ブランドギターも安く入手できるからだ。
中古楽器屋は、絶えず買い取りを求める宣伝をしている。
「いらなくなった楽器、売って下さい」と。
中古楽器屋は新品ギターを仕入れる店ではなく、買い取りこそが仕入れである。
なので基本的には買い取りは歓迎のはず。
だが、買い取りに力を入れる中古楽器屋ですら、買い取りを断る楽器もある。
それは例えばどんなギターか。
まあ、それにはいくつかの条件や基準もある。
例えば中古楽器屋でも買い取りを断るギターのパターンのひとつに、この記事の前半で述べた、使用者が勝手にギターのメーカーのロゴを変えてしまったギターなどはそれに当たる。
昔、国産メーカーでは自社のブランド名をつける時、舶来の有名ブランドギターの名前に似たネーミングにすることは、よくあった。
私が思い出せるだけでも、例えばギブソンの名前に似せたブランドでは「ギボン」、フェンダーの名前に似せた「フォンダー」、マーチンの名前に似せた「プロマーチン」なんてのもあったくらい。
今思えば、むしろカワイイ感じもする。その気持ちはわかるよ・・という感じ。少しでも人気ブランドに近づけて、需要を集めたかったのであろう。それにつられて買う人もいたはずだし。
だが、さすがにギブソン、フェンダー、マーチンといったブランド名をそのまま使うメーカーは、なかった。そんなことをやってしまったら、本家から訴えられるのは確実だしね。そしたら、確実に負ける。
ブランドギターは買えないが、それでも欲しい・・そんな人が、ギターのヘッドにあるそのギターのブランドロゴを消して、そのロゴがあった場所に、ギブソンやフェンダーなどのロゴを描いてしまうのだろう。
で、その人としては、「とうだ、俺のギターはギブソンなんだぜ」とか「ん?俺のギター?ほら、フェンダーだよ」と思いたいのだろう。
その気持ちは、わかる。
だが!!
私は、ここでそういう人に言っておきたい。
「君のその気持ちは、まあ、わかる。だが、それをやってしまったら、そのギターはいつか中古楽器屋に持って行くことがあっても、買い取ってもらえないよ。それでもいいのかい?」と。
店としては、そんなギターを売ってしまったら、それは詐欺になってしまうからね。
そう、それは詐欺ギターなのだ。
訴えられてもおかしくないし、そんなリスクは犯せないだろう。
ところで。
国産の安くてチープなギターのヘッドに「Fender」のロゴを手描きで自分で書いたM君のあのギターは、その後どうなったのだろう。
今はどうなっているのだろう。
中古楽器屋が買ってくれそうもないあのギターは、知り合いにあげるか、そのまま保管してあるか、捨てるしかなかったと思うしかないのだが・・・。
ちなみにトップ写真は、私の持ってる正真正銘のフェンダーギターのロゴ。決して私が手描きで描いたロゴじゃありませんので、念の為。
ところで、だんぞうさんはどちらにお引っ越ししますか?はてなに来るなら教えてくださいね。
>先週、ライブハウスでご一緒したギター弾きの人、ハードオフで6000円のギターを買... への返信
タカミネと言えば、、特にエレアコでは1流ブランドです。
あのイーグルスも使ってたくらいです。
だからタカミネのロゴは、そのままでも良さそうなものですが、ギター弾きの方の名前がタカヤマさんなら、1種のパロディとしてロゴをタカミネからタカヤマに変えるのは面白いですね。
ただ、そのギターを将来売るようなことがある場合は、お店に中々買ってもらえないかもしれませんね。
私は、引っ越すとしたらアメーバで、もうアメーバと契約はしてあるんですが、引っ越す作業が面倒くさそうで、まだ手をつけてません・・。