
ボブ・ディランがフォーク界の第一人者に上り詰め、やがてエレクトリック・サウンドを取り入れてファンから大ブーイングを受けるに至った数年間を、当時の貴重なフィルムと現在のインタビューを交えてまとめた3時間30分。一言、とっても濃い。いろいろ考えさせられる。確実に言えるのは、これを見た人は誰もが「がんばれ、ディラン!」と応援してしまうってことだろう(しないか?もう40年も前のことだし)。
ロックには名曲、名演と評されるものがたくさんあるが、「ライク・ア・ローリング・ストーン」をその頂点に推薦したい。なぜディランはコレを作らなければならなかったのか。なぜ歌わなければなかったのか。それは何ものにも屈しない決意であり、自分自身を肯定するためではなかったのか。当初、なんと歌詞が50番まであったそうだ。最終的に発表されたテイクは6分以上あり、当時のシングルとしては異例の長さである。それでも凝縮に凝縮を重ねたのだろう。これ以上一言たりとも削ることの出来ない「核」なのだ。
高校時代のディランはフォークではなくリズム&ブルーズに夢中だったとの証言もある。フォークからロックへ変化したのではなく、もともと持っていた資質だったにすぎない。膨大な作品群は全てディランの血肉なのだ。今となってはエレキのディランを罵倒するのが見当はずれな行為であることは明白なのだが、悲しいことに音楽界ではいまだにミュージシャンを自分の物差しでしか測れないファンが多いのも事実だ。ともあれ、うんざりするようなマスコミ取材とファンのブーイングにつぶされることなく、世紀の名曲リリースをもって応えたディランに今更ながら拍手喝采を送ろう!
ところで、アル・クーパー本人による回想が面白い。「ライク・ア・ローリング・ストーン」録音の裏話である。本当はDVDを見てもらえばいいんだけど、書いちゃおう。
“当時、ディランの大ファンだった私は、なんとしてもギターを弾かせてもらいたくてレコーディング・スタジオへ潜り込んだ。が、なんとそこには当時アメリカのロックギタリスト・ナンバーワンのマイク・ブルームフィールドがいて、自分の出る幕はなかった。オルガン・プレイヤーがピアノに移ったので、プロデューサーにオルガンのいいフレーズを思いついたから(嘘っぱちだった)弾かせて欲しいと頼むが難色を示される。彼が電話に呼ばれて席を外した隙に、勝手にオルガンを占領。戻ったプロデューサーは怒ったが、ディランが「いいから」とやらせてくれた。結果は皆さんご承知のとおり。オルガンが一拍遅れて入るのは、みんなが弾くコードを確認しながら弾いているため。”
いや~、味のあるプレイだと思っていたのに、そうだったのか。あと、なぜギタリストのアル・クーパーがディランのバックでオルガンを弾いているかもわかったよ。
いずれにしても、あの名演は偶然の賜物ではなく、生まれるべくして生まれたのだ。当時の才能であるマイク・ブルームフィールドも、アル・クーパーも必然的にディランのもとに集合したのだ、と信じる。ビートルズにジョンとポールが同時在籍したり、はっぴいえんどにあの4人が結集していたのと同じで。
ロックには名曲、名演と評されるものがたくさんあるが、「ライク・ア・ローリング・ストーン」をその頂点に推薦したい。なぜディランはコレを作らなければならなかったのか。なぜ歌わなければなかったのか。それは何ものにも屈しない決意であり、自分自身を肯定するためではなかったのか。当初、なんと歌詞が50番まであったそうだ。最終的に発表されたテイクは6分以上あり、当時のシングルとしては異例の長さである。それでも凝縮に凝縮を重ねたのだろう。これ以上一言たりとも削ることの出来ない「核」なのだ。
高校時代のディランはフォークではなくリズム&ブルーズに夢中だったとの証言もある。フォークからロックへ変化したのではなく、もともと持っていた資質だったにすぎない。膨大な作品群は全てディランの血肉なのだ。今となってはエレキのディランを罵倒するのが見当はずれな行為であることは明白なのだが、悲しいことに音楽界ではいまだにミュージシャンを自分の物差しでしか測れないファンが多いのも事実だ。ともあれ、うんざりするようなマスコミ取材とファンのブーイングにつぶされることなく、世紀の名曲リリースをもって応えたディランに今更ながら拍手喝采を送ろう!
ところで、アル・クーパー本人による回想が面白い。「ライク・ア・ローリング・ストーン」録音の裏話である。本当はDVDを見てもらえばいいんだけど、書いちゃおう。
“当時、ディランの大ファンだった私は、なんとしてもギターを弾かせてもらいたくてレコーディング・スタジオへ潜り込んだ。が、なんとそこには当時アメリカのロックギタリスト・ナンバーワンのマイク・ブルームフィールドがいて、自分の出る幕はなかった。オルガン・プレイヤーがピアノに移ったので、プロデューサーにオルガンのいいフレーズを思いついたから(嘘っぱちだった)弾かせて欲しいと頼むが難色を示される。彼が電話に呼ばれて席を外した隙に、勝手にオルガンを占領。戻ったプロデューサーは怒ったが、ディランが「いいから」とやらせてくれた。結果は皆さんご承知のとおり。オルガンが一拍遅れて入るのは、みんなが弾くコードを確認しながら弾いているため。”
いや~、味のあるプレイだと思っていたのに、そうだったのか。あと、なぜギタリストのアル・クーパーがディランのバックでオルガンを弾いているかもわかったよ。
いずれにしても、あの名演は偶然の賜物ではなく、生まれるべくして生まれたのだ。当時の才能であるマイク・ブルームフィールドも、アル・クーパーも必然的にディランのもとに集合したのだ、と信じる。ビートルズにジョンとポールが同時在籍したり、はっぴいえんどにあの4人が結集していたのと同じで。