ガンバレ よし子さん

手作りせんきょ日記

どーもくん vs 立憲民主くん

2018年01月24日 | プロテスター

NHK * * * 営業センター
担当:* * * 様

拝啓 時下益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
平素から私の受信料不払いにつきまして告知を賜り恐縮に存じます。
度重なる督促のご苦労いかばかりかとお察し申し上げます。

さて、昨秋のことですが、人気のゆるキャラ「立憲民主くん」のツィッター
アカウントで興味深いツィートを見つけましたので以下に引用いたします。

誤解している皆さんがけっこう多いのですが、
国会中継をするしないを決めるのはNHKではないんです。
国会からの与野党一致した中継要請があるかどうか。
また総理大臣が出席する委員会に通常は限られています。
NHKは独自の編成権を理由に、はっきりとは説明していませんが。
エントリはこちら

貴殿もご承知のように、私は全く同じテーマでNHKから二度にわたり
回答書を受け取っています。そのうち平成28年11月10日付けのものを見ると

NHKは、(中略)NHKの独自の編集・編成判断に基づいて、
国会中継には積極的に取り組んでいます
エントリはこちら

という表現があり、翌年1月10日付けのものには

NHKの原則に基づいて総合的に判断するのは(中略)
担当者ならびにその上司を含む担当部局、ひいてはNHK総体
としての判断という意味です
エントリはこちら

という表現が使われていて、あたかもNHKが国会中継の実施を判断し
決定する主体であるかのような書きぶりになっています。これは「中継を
するしないを決めるのはNHKではない」というツィートと明らかに矛盾
しています。

食い違うふたつの見解のうちのどちらが実像を伝えているのか私にはわかり
ません。ただ、それぞれのメッセージから受ける印象を申し上げますと、
NHKのほうは複雑かつ難解で、二通目に凝らされた技巧に至っては、もはや
解説の枠を超え、むしろ読み手を本質から遠ざける修辞の様相を呈しています。
立憲民主くんのツィートを読んだ後にNHKの回答書を読むと、同じテーマを
扱っているのになぜここまで持ってまわった文章になるのだろう、と首をかしげ
たくなります。それにくらべるとツィートのほうは明快で率直です。NHKの
視聴者を「誤解している皆さん」と臆面もなくカテゴライズした上で国会中継の
内幕を暴露しています。私はこれを読んで目からうろこが落ちる思いがいたし
ました。「誤解」という大胆な表現は、私の中にある思考の死角をあぶり出し、
今まで甘んじていた古いリテラシーを無効化してくれます。

私はNHKを外部から自立した組織と考え、それを土台にして物事を理解して
きた。組織の自立性は公共放送の倫理として確立されたものだとばかり思って
いた。でもそれは早合点だったのかもしれない。私の理解は誤解なのかも
しれない。「独自の編集・編成判断」とか「総合的な判断」とか、回答書は
「判断」をやたらと強調しているけれど、NHKは放送の実施を判断し決定
する権限を、ほんとは持っていないのかもしれない…
という具合に、ツィートに促されるまま思考はどんどん公共放送の文脈を離れ、
おのずと「NHKの自立性」などという組織の根幹にかかわる領域にまで踏み
込んでいきます。

とはいえNHKが自立した組織かどうかなんて私にはわかりません。私はそれを
知り得る立場にありません。でもとりあえず「NHKは自立した組織ではない」と
仮定して、それを前提に過去の出来事を振り返ってみると、バラバラの記憶の
断片がにわかに焦点を結び、いままで宙に浮いていた報われない感情の着地点が
見えてくるような心地がいたします。

「独自の編集・編成判断」を理由に国会中継をしないNHKが、実際は中継実施の
権限を持たないとしたら、それは国民に隠しておきたい暗部になるだろう。それは
NHKにとって答えることが憚られるもの、つまり触れてはいけない禁句となる。
当然のことながら外部の者がそこに問いを投げかけてもまともな答えは返って
こない…私が受け取った一通目の回答書は、文章の主語が曖昧で、作文の基本を
わきまえていなくて、天下のNHKの職員がこの程度の文章しか書けないのかと
驚いたものだけど、あれはひょっとして禁句をカモフラージュするための手段では
なかろうか…NHKは独自の判断で放送を行う権限を持っていない。あるいは
独自に判断し決定することを許された主体なんてどこにもいない。でもNHKは
それを視聴者に知らせたくない。だからあえて主語を曖昧にする。そうすれば
解釈次第で読み手に様々なイメージを持たせることができるし、首尾よく誤解へ
導くこともできる。職員にはあらかじめ回答のテンプレートが用意されていて、
国会中継の仕組みを詮索する視聴者は、その文言に沿ってやんわりと門前払い
される。でもたまにテンプレートに納得しない者がいる。中には文章の作為性を
指摘する者もいる。そういう視聴者は無視するか、あるいは訴訟をちらつかせて
黙らせる。それでもしつこく食い下がる面倒な視聴者がいて、所轄の営業所経由
でクレームをつけてきたので、二通目の回答書では「担当者ならびにその上司
を含む担当部局、ひいてはNHK総体として」なんていうトリッキーな主語を
駆使して、さらに作為的な文章を泥縄でこしらえなければならなくなった…

もちろんこれはすべて私の憶測です。私はただ心の赴くままに仮説を
積み上げただけで、そこに一貫性があるような気はするものの、裏付けとなる
根拠を持ちません。言うなれば下衆の勘繰りです。繰り返すようですが、
私は真相を知り得る立場にありません。それは私が覗き込むことのできない
ブラックボックスの中にあります。

前置きが長くなりましたが、私がここで申し上げたいのは、立憲民主くんの
ツィート(以下甲とします)とNHKの回答書(以下乙とします)との間には
大きな隔たりがあり、甲の前で乙は説得力を失うということです。私は
乙の内容は国会中継の仕組みの全体像を正しく伝えるものではないのでは
ないかと疑っています。「公共放送として国民の知る権利に応える」と書いて
あるけれど、それは視聴者に向けた単なるジェスチャーに過ぎないのでは
ないかと疑っています。そして甲乙のギャップが埋まらない限り、NHKからの
要求に対し従順でいることは難しいと感じています。
* * * 様におかれましては、かかる事情をご理解いただき、甲に対する
NHKの見解が示されるまで、今しばらく金銭の取り立てを猶予していた
だきますよう、お願い申し上げます。      敬具

平成30年1月24日
クレタ拝























































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