「異性とカモフラージュ結婚までして、同性との愛を貫く人だっているみたいだし…もしもし、兄貴? そっちの店にカイくん顔出してない?…」
フクちゃんが、ロックブティック経営のお兄さんと電話している間、俺は考えこんでしまった。
まあそういう愛とか関係もあるのかもしれないが、カイと俺に限って、それとは違う気がする。
ただ先日、撮影帰りのラーメン屋の前で、支払いの後、カイにだけこっそり、福岡を中心の九州の撮影旅行の心づもりがあることをウキウキと教えたら、彼らしくもなく激怒されて俺はショックを受けた。
最近の福岡は面白い心霊チャンネルがいくつも売れてきてるんだよ! 知らないの?
さっぱり下調べもしないで、彼らより見応えのある動画を、そんな軽い気持ちでできる?
いつもオミは映像の美しさばかりこだわるからだめなんだよ。
もっと深掘りしなきゃ。
カメラ写りのためだか何だか知らないけど、お肌を磨いてるばかりじゃだめなんじゃないの?
イケメンってだけで新規のリスナーが集まる心霊ユーチューバーなんて何人もいるんだよ!
俺達、それが目標じゃないだろう?
それだけ言うと、イライラした様子のカイは俺を置いて、さっさと車に向かっていってしまった。
カイだってイケメンと呼ばれて、リスナー集まってきてるじゃん…
声には出せない、訳のわからない反論を、カイの背中にぶつける俺であった…
…それから俺たちの対立は続いている…
同じ街のカイの実家にも電話してみた。
弟の友也君が出た。
お久しぶりと言い合って、俺は言葉に困った。
高校の時はカイの家によく遊びに行っていたから、割と顔を合わせていたんだけどな…