まだ華ちゃんは何か言いたそうだったが、その時チャイムが鳴った。
華ちゃんのマネージャーの後藤さんが迎えに来たのだ。
「じゃあごめんね。ダイキをこれからもよろしくお願いします」
と、華ちゃんは、ロックミュージシャンらしい長い金髪をたなびかせてかっこよく出て行った。
ダイキが幸せそうに見送りについていく。
それから ほどなくフクちゃんも帰って行き、
いつもの3人になった。
早速 俺は 例のラブホの撮影許可申請の問い合わせをした。
それからダイキも含め3人で、カイのスマホの写真や動画をチェックしたが、やはりそれらしい音は入っておらす、でもカイは、
クリー厶色のタイルのバスルー厶の写真は怪しく見える、と言い出したのだ。
「この、白と黒の、飛んでるような変な形の 」
「まあ言われればそんな気もするけど…」
「あの子、白い花かんむりをかぶってるんだ 」
「霊なのに? 」
ダイキと同時に声をあげてしまった。
「うん、多分…」
...しかし俺たちの元気もここまで。
ダイキも大変だったことだし、木曜の今日から日曜まで会社は休みにすることにした。
「いい会社だなぁ 」
カイのその口調が、家出前のクールさのようだったので俺は少し嬉しくなった。
夕方にダイキが帰ってしまうと、カイと二人きり。
...動くのが面倒だったので、夕食は家ですませた。
俺がシャワーから出るとかつてダイキが住んでいた部屋に布団が2組 引いてあった。
まだ 病み上がりだと思うのに悪いことしちゃったな…
でも俺の部屋で、ベッドと布団で段差があるより この方がおしゃべりはしやすいよな 、なんて 思ってぼーっとしていた。
「ビール飲まない?」
とカイが缶ビールを持ってきてくれた。
乾杯して一口飲んで、
「あれ、カイまだ薬飲んでるんじゃないの ? 大丈夫?」
「このくらい平気だよ。 心配性だな」
「こんな風にしたのはカイでしょ」
「だからごめんってば 」
そして、カイは俺を見つめたまま、なぜか固まった。