ほのかなる月明かりの夜に

~人生激情 外伝~
気儘に更新

綾子の独り言

2011-01-30 05:33:31 | 独り言
「きみ、ここからでられるんでしょ?」

私はスプーンでスープを掻き混ぜるのを止めて彼を見た
彼は遠くを見ていた

「わたしはでられないよ」

「でようとしないから?」

そう言って、彼は私に焦点を合わせた
私は反射的にうつむいて、まだ少し渦を巻いているスープを見詰めた

「・・・そうかもしれない」

「きみはでられるよ」

そう言うと、彼はまた遠い目をした
私は所在がなくなって、スープをグルグル掻き混ぜた


(「穴に落ちてきた人のお話」より)

月のお話 ~拾参~

2011-01-20 00:00:00 | 月のお話
That's one small step for (a) man, one giant leap for mankind.
(これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である)

1969年7月21日(UTC)、月面に立ったニール・アームストロング船長が月から地球へ送った言葉です

私が生まれる前に月面に立った人達がいる
月へ行って帰ってきた人達がいる

そんなことを思いながら月を観ていると私も世界もなんだかフワフワとしたモノになっていき、絵本の世界へ迷い込んでしまう時があります

絵本といえば、16世紀位まで、世界は絵本のような世界でした
天動説を元に描かれる世界は日本が世界に誇るジブリの作品のようで、世界の果ては滝になっていて、海には海獣のようなものが描かれてあったり、太陽や月に顔があったり(笑)

船による貿易が盛んになるにつれ精緻な海図・世界地図が作られるようになると、行けども行けども世界の果てに異界へ流れ込む滝など存在しないと実証され、世界は変容しました


月への近代的な観測・調査が行われるようになったのは、アメリカとソ連との間で宇宙開発競争が行われた1960年代になってからのことです

国家的事業ともなれば学術研究という目的だけでは成り立たず、国の優位性だの科学技術(軍事技術)の向上だの政治的側面が付いて回ります
宇宙開発ともなると膨大な予算・資金が必要ですからね
政治的なことに疎い私でも国家的事業の裏表及びその周辺には様々な思惑が存在するであろうということは何とな~く分かります


おとぎ話のような天動説が常識であった頃、地動説を唱える人は異端者でした
2011年の今、「地球は宇宙の中心で、静止している地球の周りを他の全ての天体が回っているんだよ!」と自信満々に言ったなら、「ちょ、何?新説?マジ、ウケる~」と笑って・・・くれればいいんだけど

常識とは何ぞや?

常識は決して「不変なるモノ」ではありません

常識は常識となった時より非常識と相対するモノとして存在します
それ故に、常識を知らない場合、「非常識」というレッテルを貼られたりします

しかし、この常識、世界共通の普遍的なモノから「それ、単なる思い込みじゃね?」的なモノまで幅広く存在します
つまり、「え!?そんな事も知らないの!?嘘ぉ~ん(シンジラレナ~イ)」とさも言われんばかりの「当たり前」などというよくよく考えたら「それは貴方の主観だべ」という代物も混ざっていたりするのです

常識は人によってもたらされたモノです
それを絶対的な真理のように崇(あが)め奉(たてまつ)らう人もいれば、独り善がりな常識を押し付けてくる人もいます

常識は大切なモノだけど、それがどのような方法を用いて、どのような経緯を経て、どのような意図でもたらされたモノなのか、常に疑ってかかる必要はないのかもしれないけど、「鵜呑みにしていいのかな?」と頭の片隅でチラリと思う・・・べきなのかな?
なんとなく寂しい現実という気がします

「常識」って常識になってから実はそんなに時間が経っていなくても、昔からそれが常識だったように思いがちなんですよね
「過去」になった瞬間に、そのことに対する関心が薄れるようにできているのかしらん

「常識に則(のっと)って」
実は苦手だったりします

常識に囚われ過ぎないように「しなやかな芯」と「柔軟な思考」を併せ持つ人になれるよう、これからも精進いたします
体も腱や筋が硬いと痩せ難いんですよね ムニムニ


ちなみに、月の学術的な観測結果を最初に残したのはガリレオ・ガリレイで、1600年代のことです
望遠鏡が発明されたのです

「嗚呼、そうか、物理的に無理だったのか」





「普遍」=「不変」やありません

月のお話 ~拾参~ 了

綾子の独り言

2011-01-11 02:36:38 | 独り言
もし戦争が起きたなら
僕は兵士になるだろう

「敵を殺せ」と
銃を手渡されることだろう

僕はその銃で
僕の頭を撃ち抜くことができるだろうか?

それはきっと
「敵」を撃つことよりも難しい

僕は死にたくない
でも、人を殺してまで生きたくない

平和ってなんだろう?
生きるってなんだろう?
命ってなんだろう?

もし僕に守りたいものがあったなら
僕はその銃を人に向けるだろう

僕は泣きながら
その銃の引き金を引くだろう

そして、引き金を引く度に
僕の心はこの世から
消えていくんだろう

平和ってなんだろう?
生きるってなんだろう?
命ってなんだろう?

戦争は
今もこの世界にあるんだよ