晴れときどき・・・

旧街道あるき、古戦場巡り、城攻め、図書館通いの4本立ての日々を綴ります。。

今年の75冊目「 愛に乱暴」

2013-09-30 07:44:24 | 読書日記
吉田修一の「愛に乱暴」を読みました。342ページ。

 一気読みして最終ページを見て驚きました。
なんとコレは新聞小説だったのかっ!長崎新聞の読者は朝っぱらから
この小説を読んで元気に会社へ行けたのでしょうか?
いや、夕刊に掲載されていたのかも・・。
でもコレを読んで心地よい眠りにつけるものだろうか・・。
なんて、余計な心配をしたくなるほど、後味というか、読んでいる途中に
気分が滅入る小説です。

 今回吉田修一氏はかなり大技のトリックを使っているので、
まだ読んで居ない方の為に詳細は書けないのですが、
まぁ略奪愛に有り勝ちな因果応報的な悲しい展開です。
一昔前の昼メロなんかで使い古されたテーマを
我等が郷土の星吉田修一氏は、危うい女性の視点で描き切っています。
少し以前は同様のテーマを男性の作家が書くと
「こんな女おらんやろう」という感じになっていたのですが、
最近の貫井徳郎さんといい、この吉田修一さんといい、
見事なまでに女のどろどろ具合を表現しておられます。
 そして女が執着して止まない男のダメさ加減と狡さを
コレでもかというぐらい書いておられます。

 夫婦が別れ話をするシーンなど、めちゃめちゃリアルで
我が家に盗聴器でも仕掛けてあったのかと疑いたくなるくらいです(爆)

 残酷なんです。
嫁姑問題に日々神経をすり減らしているところへ夫が不倫する。
不倫相手は妊娠が発覚し、夫に別れを切り出される。
すさんだ精神は次第におかしな方向へ暴走をはじめて、
自分が思うのと全く逆の方向へ走り出す・・・。
繰り返しますが、これホントに新聞に連載されていたのでしょうか?

 ただですね、幾分とってつけたようでは有りますが、
最後に全く救いがないわけではないのです。
人はボロボロに傷ついて、全てを失ってもうだめだと絶望したその先に、
思いも寄らない小さな光を見つけることがあります。
それは暗闇だからこそ見つかる、、
光の中では見落としてしまうようなささやかなものであったとしても・・・。


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