真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

「新しい国づくり」の前に

2011-03-20 22:37:03 | Weblog
たとえば。
A社の工場で爆発事故が起きた。
同時に、A社の支社の建物が、突然崩壊した。
さらに、A社のつくった電気コタツで発火事故が起きた。
このすべてのことを、社長と専務だけで担当している。

対策会議をいくつもつくったが、全部社長か専務が代表に。
つまり、社長や専務の決裁が無ければ動けない。

現場は、後々の責任を問われるのが嫌だから、正直な情報を送ってこない。
怒ったり説得したりして情報が出てきたが、今度は出過ぎで整理できない。

硬直した状態にやっと気付いた社長と専務は、
「現場は柔軟に対応しろ!」
と、現場に丸投げ。
結果、工場爆発事故に人員が集中し、
コタツ発火の対応ができなくなった。

「全社一丸となって困難にあたれ!」
という社長の号令で、企業活動がストップしている間のお金のやりくりなど誰も気にしない。

大赤字が発生し、誰も会社の展望が見えない。

まだ工場が燃え盛り、支社のビルは崩壊したまま、コタツの出火事故で犠牲者が出続けている最中に、社長は、こう言い放つ。
「これから、あたらしい会社をつくっていこうじゃないか!みんなが力を合わせて、新しい会社づくりに邁進しよう!」

バッカじゃないの!?

さて。
以前政府関係の仕事をしていた知人が、今回の事態に、以下のような案を知らせてくれた。

官房長官級の大臣を五人、以下の担当で官房長官直率に置く。

(1)被災地(救出)
(2)被災地(兵站、援助)
(3)被災地(復興計画)
(4)原発
(5)後背地経済

原発と震災被害を切り離すのはやっと始まったようだが、被災地を支援する隣接した地域の経済について、政府はほとんど目をやっていない。

被災地域がお客さんであった場合、被災地を支援する隣接地域の経済も間違いなく大きな影響を受ける。

大企業のように巨額の内部留保があったり、個人的に資産のある零細企業はまだよいが、資金に余裕のない、ある程度人員を雇用している中小企業は、この半月の仕事が無かった分、売上が立たない。キャッシュフローを乗り切れるのか。

(5)の後「背地経済」について、政府に早急の対策を望みたい。

1万人以上の人々が行方不明の、震災直後のこの段階で、「新しい国づくりを!」などと、被災者の神経を逆なでする妄言を吐いている鈍感政権に、せめて言葉通り、「新しい国づくり」が出来るだけの下準備をしてもらいたい。
すなわち、確実に減るGDPと増える国債の負担、原発に頼れなくなっていくエネルギー状況の中で、現実的にどんな方向で、そして具体的にどんな手段で国は再生できるのか。

民主党のバラマキや、鈍感首相の「第3の道」など、絵空事はもうたくさんだ!
まともな、実現可能な、具体的な政策を今こそ示す時である。
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