真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

鳩山一郎

2008-03-30 23:18:57 | Weblog
民主党のやり口を見ていて、思い出したことがある。
昭和5年。軍部のお先棒を担いでロンドン軍縮会議に反対し、いわゆる「統帥権干犯」を唱えて、国会で濱口内閣を攻撃した政治家がいた。
やがて、濱口雄幸首相はテロによって重傷を負い、その傷が元で9カ月後に死去。

濱口雄幸を間接的にせよ死に追いやった、軍のお先棒を担いだ政治家の一人が、鳩山一郎である。
鳩山は野党・政友会の幹部。与党には何でも反対する、無定見な政治姿勢を持っていた。後に東條英機に反発したためと、名前の「鳩」から、イメージとしてソフトなリベラリストに見えるが、そんな生易しい男ではない。

いま、野党民主党の幹部に、その孫がいる。鳩山由紀夫幹事長である。
無定見で、与党を追い詰めるためなら何でもやる党首のお先棒を担ぐ姿に、つい、濱口雄幸を抹殺した彼の祖父を思い出してしまった。

当時と今の政治は、状況も環境も違う。
しかし、何かが同じだ。

民主党には期待する部分もかなりある。だからあえて、政権獲得のための無定見な行動をしないよう、望みたい。

蛇足だが、鳩山一郎は熱心な改憲論者としても有名である。
その孫である鳩山由紀夫幹事長は、国民投票法案採決の時、「われわれ(民主党)の案を、与党がそのまま呑んでくれれば良かったのに」と記者に話した。民主党の同案と与党案はほとんどその内容が一緒だった。だが、民主党は与党案に反対した。

鳩山由紀夫幹事長自身も、民主党の多くの議員も憲法改正に賛成しているにも関わらず、憲法改正のための国民投票法の成立に反対した。
とにかく与党には何でも反対。

同じく改憲論者であった祖父の一郎は、どんな顔をして下界を眺めていることであろうか。

まさか、「どんな手を使おうと、お先棒を担ごうと、与党を追い詰めるのが野党だ」などと、あの世でも無定見なまま孫を絶賛してはいまい。

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