NBオンライン スクウェア・エニックスとコーエー

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TGSの頃から始まった、NBオンラインのシリーズ記事が今回で最終回を迎えました。
今回は、コーエーとスクウェア・エニックスの記事になっています。


「“海賊版”を逆手に取り、新興国を開拓」～ゲームが破る閉塞（4）
世界市場の活況に潜む“日の丸ゲーム”の危機～ゲームが破る閉塞（最終回）


第四回は、コーエーの記事です。
海外、主に中国や、韓国で、日本ソフトなどの海賊版が数百円で出回り、スタンドアロンのソフトは利益が出ません。
そこでオンラインソフトなら、海賊版の影響を受けずに、利益が出るため、オンラインゲーム国家となったわけです。

CEDEC 2008＃13「PSO」の記事にて、SEGAの海外展開での苦難について、書いてありますので、興味のある方はお読み下さいな。


しかし日本コーエーが進出する際は、すでに海賊版により自社ソフト「三国無双」などは、それなりの知名度とファンを確保しており、その後のオンラインタイトルの経営戦略に、皮肉にも貢献していた、とのこと。
今後、グローバルなゲーム制作を進めていく方針としています。

ちなみにオンライン部門における収入の比率は、海外と日本国内で丁度 1:1 だとか。
かなり大きいことを語っています。

この流れで行くと、どんどん日本の技術力が海外に流れ、いよいよ日本ゲームの優位性は失われそうですね。



最終回はスクウェア・エニックスの記事。

>　世界でゲーム市場は急拡大しているものの、日本のソフト会社には課題もある。（任天堂など）一部の例外を除くと、欧米勢と比べて存在感が相対的に低くなっていることだ。

>　過去5～10年間、ゲーム産業においては、欧米市場の成長が目立っていた。米国や欧州がホームグラウンドのソフト会社は、追い風を受けて著しい成長を遂げた。市場に対する理解が深く、現地の消費者のニーズを上手につかまえたからだ。市場を面積で捉えると、欧米のソフトメーカーが勝ち取ったエリアの方が大きい。

>「ゲームの“日本連合”が必要」

>　もちろんゲーム会社ごとに、特徴あるソフトのブランドや世界観があり、それを支持する顧客層もいるので、個性は大事にしたい。無理やり1つの会社のブランドに統一するようなことはしない。持ち株会社の下に、複数の会社とブランドがぶらさがる形が理想的だ。


スクウェア・エニックスの社長は、昔から「現実的な分析」を得意とし、またユーザーに向けて、それを積極的に「発信」してきました。

ソニー社長は「分かっている癖に」態とユーザーに対して挑戦するような台詞を言ってみたり、任天堂社長が「ゲームに我慢なんて出来ないですよね～」と語るように、やはりゲーム会社の社長さんは、それなりに個性的ですね。
それぞれ、製品にそれらの個性が表れています。


さて今回もスクエニ社長さんは、日本のゲーム業界で問題視されているポイントを捉えています。

すなわち、どんどん力を付ける欧米ゲームメーカー、パブリッシャーに対し、日本のメーカーの製品は、相対的に魅力を失いつつある、と。
正にゲームユーザーの感じる不安に対し、的確な答えを出してしまっています。

確かに海外の、超大手パブリッシャーと比較すると、日本で対抗出来るパブリッシャーは少ない現状。
またそのままバラバラでは、広報や、設備投資的にも太刀打ち出来ないと言っていますね。

そこで出てきた一つの提示が「日本連合」

確かに魅力的な部分もあります。
社会的には力の弱いゲームメーカーも、同様の広報、営業、オンラインサーバー維持などの設備能力などの面で、大手メーカーと同じ土俵に立てると言うことです。

しかし、ユーザーとして不安が大きいのは事実。
「個性を大事にしたい」とはしていますが、ブランドとして規格を最低限あわせる必要は出てきます。
すると米EAのように、大規模な(ユーザーが嫌悪感を示すような)規制を設けることも考えられます。

例えば、最近ゲーム業界を騒がしている DRM問題もその一つですね。
SPORE の開発元は「今回の DRM 搭載は大失敗だった」と宣言していますが、EAとしては(当然ながら)正当性を強く主張し続けるほかありません。

魅力的な日本連合は、個性を尊重した上での規格設定の難しさと、それによって生じるユーザーとの軋轢が、不安要素と思えます。