2018年
今年は高温異常気象もさることながら、実に台風の多い年であった。今回は、天候の回復を待っての出港となった。
7月13日
気温:30℃ 晴
宜野湾マリーナ~古仁屋(奄美大島)156NM(約280KM)
11:00 食料の買い出しなどで少し遅くなったが、宜野湾マリーナを出港。遅れた時間を取り戻すため、取り敢えず奄美大島までワン・ナイト(一昼夜)で行くことにした。その先の天気は変わりやすいので気象情報と相談しながら航路計画を立てることにした。
16:00伊江島を通過
逆潮で速力が4ノットくらいまで落ちる。伊江島と沖縄本島の間の狭い海峡を航行するが、船首側からの流れが強い。
18:50 伊是名島手前を航行
沖縄本島を越えたあたりから迎え風が強くなり海も荒くなってきた。
今日も東シナ海の夕焼けが美しい。
7月14日
6:50太平洋側から朝日が昇る。
その夜、与論島と沖永良部島の西側を航行中、西からの強い海流に捕まり危うく沖永良部島に引き寄せられるところであった。島と島の間は潮の流れが強いので普段は注意を払って航路を設定している。
波は穏やかであったが、なんとか奄美大島の古仁屋に日没前に入港をしたい。
古仁屋(海の駅)に通じる瀬戸内入り口で、暫くすると日が沈み月の出ない暗闇の海と化した。こうなればGPS(NewPec)を頼りに計器走行しかないので、浅瀬に乗り上げないよう慎重に操船する。
19:00 古仁屋(海の駅)着岸
一番の心配は公園前の進入路であったが、何とか無事に着岸。昨夜は風呂に入れると期待していたが、風呂屋が臨時休業であったため、我慢‼夕食だけは冷房の効いたファミリーレストランで遅い食事をとる。
7月15日
古仁屋~中之島(鹿児島県トカラ列島)117NM(約210KM)
8:30 古仁屋(海の駅)出港
いつものことながら奄美大島の西側は荒れる。台風の卵が南から近付いているようなのでその影響らしい。とにかく台風が来ても安心な港を目指すしかない.
7月16日
気圧・風波情報
南から赤・黄の台風か熱帯低圧が北上しつつある。急いで九州を北上することにした。
6:50 日の出
13:00 今回も一昼夜の航海の後、吐噶喇列島の一つ中之島に着岸。温泉が目的で何回か寄ったことのある島なので、気楽な馴染みのある島である。
大潮の時期なので干潮時はヨットの乗り降りが難しくなる。
細い竹で覆われた山
港からこの道を10分ほど歩くと島の天然温泉がある。実にのどかな島である。
7月17日
5:30 中之島出港 中之島~薩摩硫黄島 63NM(約113KM)
硫黄島 今も噴煙が絶えない火山島。
17:30 硫黄島入港
一面、褐色の海なのでヨットが染まってしまいそうな港である。
風呂は港の前の施設で入れる。天然温泉は台風で設備が壊れて脱衣場などは無い。食堂も弁当もないので、ご注意を‼
7月18日
気温:35℃ 硫黄島~枕崎 30NM(約56KM)
5:30 硫黄島出港
11:30 枕崎港入港
この左の岩が枕崎港の玄関口となっている。ここ枕崎は、一年振りである。
JR枕崎駅は最南端の始発・終着駅となっている。切符を買えば、ここから日本全国どこでも行けると思うと不思議な感じになる。
枕崎の名物「船人飯」絶品!!
枕崎港近辺には風呂屋も温泉もあり、ゆっくりと休息出来る港である。食べ物は鰹料理がおすすめ。もちろん給水も給油も出来る。
7月19日
5:30 枕崎港出航 枕崎~牛深 66NM(約119KM)
18:00 牛深港入港
牛深海の駅のポンツーン(浮桟橋)に接岸 1泊 ¥2,160 (電気、水道含む)
近くに商店もスーパーもあり。やはり、揚げたての本場のさつま揚げは、絶品‼
7月20日
牛深~長崎出島 46NM(約83KM)
6:00 牛深出航 今朝は霧が多い。南からの湿った風が流れ込むのであろう。台風発生の兆しもあるので、なるだけ早く北上し安心な港に入れるよう急ぐ。近道をするには狭い水路を通り抜ける必要がある。
海は非常に静かであった。
15:00 長崎出島(サンライズマリーナ)入港
宜野湾港マリーナなどの係留会員は通常料金から3割引の特典が受けられる。次の停泊先の佐世保パールシーは明日の予約が取れないため長崎出島で2泊することにした。それまで台風の影響が出ないことを望む。風呂はスポーツジムのコナミに行けば¥1000で入れる。ただしコナミの会員のみ。
長崎市内は古い路面電車が今でも走る。
中華街
長崎の出島に到着時に食べた「ちゃんぽん」絶品‼
400年続く老舗の茶わん蒸し屋 これも絶品‼ 連日、食べ歩きを楽しむ。
7月21日
時間調整のため長崎の町を観光。
グラバー園 高校の修学旅行で訪れて以来となる。
地中海で活躍したガレー船の模型。300人もの人間が漕いだとのこと。
7月22日
7:30 長崎出島出港 出島~佐世保パールシー 36NM(約65KM)
暫くするとたくさんの島が連なる九十九島が見え始める。小島が防波堤となり、迷路のようにできた水路が外からの波と風を遮断する。ここなら心配なくヨットを台風から避難させることが出来る。
久し振りに佐世保のヨット仲間と会食。やはり、沖縄と違って本土の刺身は美味い‼
波の高い日が続くのでなかなか出港できそうにない。安心して五島にも行くことが出来ない。
少し良い兆しが見えてきたが、次の台風の情報も入ってきているので、安心はできない。
迷走を極めた台風12号
次は、台風13号の進路予想図
少し海の状態が良くなってきたので地元のセーラーとセーリングに出かける。
佐世保パールシー出港時の波の高さ。全体的に穏やかな海である。
8月8日
佐世保パールシー~伊王島 30NM(約54KM)
8:00 いよいよ佐世保パールシーを出港。今日は台風に巻き込まれそうなので五島を寄らずに長崎の伊王島経由で沖縄に帰ることにした。
九十九島を出て長崎港方面に向かう。2か所の海峡を通れば時間が短縮できる。
伊王島はもともと炭鉱の島であったが、炭鉱を廃業した後は観光の島に変わった。長崎港から近いので気軽に温泉も海水浴も楽しめる島である。
15:00 伊王島のポンツーンに着岸(無料)。早速、島内を走る無料バスで温泉と食事に出かけた。
8月5日
長崎伊王島~宜野湾マリーナ 420NM(約760KM)
5:00 伊王島出港、霧が多い。
取り敢えず奄美を目指したが、東シナ海は絶好の穏やか天気になりそうだ。3~4日は好天が続きそうだったので、三日三晩かけて長崎の伊王島から沖縄の宜野湾まで無寄港で行くことにした。体力的にはシングルハンドで二晩までは昨年の実績経験があるので自信があるが、三晩となると35℃以上にもなるデッキの上で操船するのはなかなか難しく未知の領域である。
燃料も水も満タンであるが食料が少し不足気味であった。まあ、米もうどんの乾燥麺などが十分にあるから何とかなるかと出発。
心配なのは、気象情報が奄美大島の近くまで行かないとインターネットが繋がらないので、天候の急変が悩みの種だ。
出港日朝の天気予報
この橋をくぐれば近道となる。
近くの軍艦島を通過
北からの追手の風に恵まれ船速5~6ノットを維持。甑島の西側を通過。これより先は奄美大島と沖縄本島を目指し南下する。
東シナ海では中国大陸にも近いのでラジオや無線からは中国語か韓国語が流れる。この海は密漁船も多いので、なるだけ遭わないようにするが、毎晩のように複数の船が出没する。夜間、集魚灯や航海灯を点けた密漁船に近付くと自船の明かりを消して暗闇の中に隠れてしまう。衝突しないかと緊張しながら走らなければならない。
徐々に日が西に傾く
絶好の天気と航海安全に乾杯‼ 以降は安全のため禁酒とした。
インターネットで得た天気図 台風の卵の熱低がそばにいるので気は許せない。とにかく、出来るだけ早く沖縄の宜野湾に到着することである。
画面上に沖縄本島、その下の足裏のような大きな島は奄美大島となる。本船の位置は黒の▲でグリンの線は航跡となる。ここから先は伊江島の西端沖を目指す。北よりの追手の風に恵まれていたので、島の間の海流に影響を受けないよう、また、一挙に南下出来るよう心掛けた。
夜間の船内の様子。 GPSナビゲータ2台を使って操船。外は新月のため月は出ず星明りのみ。全くの闇の中を走る状態が日の出まで続く。丁度、車のヘッドライトを消して夜間の道を走るのと同じである。殆どの操船は自動操舵機(オートパイロット)がサポートしてくれるので少しの間なら睡眠をとることが出来る。今回は長崎を出港してから二晩目に7時間も眠ってしまった。
船の場合は航海灯を点けているので位置がわかるが、流木などは衝突するまで、まったく気づかず。船に損傷がなかったのは運が良かったとしか言えない。時々、電信柱ほどの丸太が流れているのは見たことがある。
8月6日 伊平屋島北西沖を航行中。追手の風を受けながら宜野湾を目指した。
航海最後の朝日が昇る。
8月8日
9:00 宜野湾港マリーナに着岸
無事に連続74時間の航海を終える。寄港地でお世話になった皆さまに感謝です‼
今後、船の安全性を高めるために航海機器増設を検討予定。
帰航時の気圧風波情報では絶好の気象状態を示していた。
(ご参考)8月9日の天気図
沖縄に戻ったすぐ後に台風14号が沖縄本島に向かってきた。早めの帰航計画を選んでよかった。
(ご参考)8月14日の天気図
こんなに多くの台風や熱帯低気圧がひしめき合っている状態がよくわかる。かつてこのような天気図は見たことが無い。今回のクルージングは事故もなく故障もなく無事に沖縄に帰還できたが、今後のナイトクルージングの安全を確保するために航海機器の増設も検討する時期が来たようだ。
GPSがとらえた航跡 (赤は上り、青は下りを表示)
…to be continued.