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9.イギリス 「自分たちこそが最高」

 「自分たちこそが最高」 一部引用編集簡略版

  イギリス人が大陸へ向ける目は、日本人の場合と似ている。イギリス人も日本人も顔には表さないが、大陸の人々に対して優越感と違和感を合わせて抱いている。表面では礼儀正しいが、胸の奥底で外国人に対して不信感を抱いている。やはり島国の人々なのだ。

  イギリス人が大陸の人々へ抱いているイメージについて書かれた本によると、イギリス人はフランス料理や、ワインや、フランスの気候を好んでいるものの、フランス人といったら不潔で、不誠実で、性的に放縦(気ままなこと)であると思っている。フランス人は驕慢で、秩序を重んじない。
  スペイン人は気候が羨ましいが、スペイン人は怠けものだ。ドイツ人は誇大妄想で、命令に盲従するし、いじめっ子で、料理の才能がない。ドイツ人は社交が下手で、ユーモアがない。フランス人もドイツ人も理屈っぽく、過激だ。もっともこの場合は、世界中からイギリス人が料理下手だといわれていることや、イギリスの王家がドイツ出身(Hannover 家 ハノーファー:英語読みハノーバー)であることを、都合よく忘れている。
  アメリカ人とオーストラリア人は不作法である。カナダ人は退屈だ。イギリス人にとって日本人や中国人となると、あまりにも遠いところに住んでいるから、不可解だ。

  夏目漱石は明治三十三年に文部省の留学生としてロンドンに遊学したが、帰国後に著した「虞美人草」のなかで、主人公に「とくに英吉利人は気に食わない。一から十まで英語が模範であるといわんばかりの顔をして、なんでも蚊(かん)でも我流で押し通そうとするんですからね」と語らせている。漱石は日露戦争の前夜にイギリスに滞在したが、今日でもイギリス人は芯では、あのころからかわっていない。

  といっても、イギリスで会うイギリス人は外国人に対してじつに親切だ。イギリスを訪れるたびに、パブや地方の宿のラウンジや、ダイニングルームーー食堂で、偶然、隣り合わせたことから知り合ったり、通りがかりの人に道をたずねたりしたあとで、さわやかな気持ちをしばしば味あうものである。いまでは全世界から失われようとしている親切という宗教が、多分に残っているのだ。イギリス人は躾がよいのだろう。

参考:加瀬英明著「イギリス 衰亡しない伝統国家」
 加瀬英明氏は「ブリタニカ国際大百科事典」初代編集長
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