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見直し版 脳の機能を知る(神経細胞とグリア細胞)、そしてよくわかっていない麻酔薬の作用

以下の内容で、麻酔の働きのメカニズムが不明となっていますが、特に全身麻酔については神経細胞の細胞膜が破壊され、神経細胞内部の電位差が消滅して情報伝達に携わるCaイオン等がバラバラになるので、Caイオン等の伝達方向が不定となり、神経細胞の情報伝達ができなくなる、というメカニズムと判明しています。
回復は麻酔薬を身体からなるだけ早く排出し、自然治癒に頼っているようです。
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グリア細胞の構成

  脳の細胞といえば、神経細胞(ニューロン)を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし脳には、この複雑に絡み合う神経細胞を支えるもう一つの細胞、グリア細胞が存在します。家にたとえるなら、グリア細胞は屋台骨を支える柱のようなもので、数も神経細胞とほぼ同じであることがわかっています。
  グリア細胞は、アストロサイト(星状膠細胞)、オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)、ミクログリア(小膠細胞)、上衣細胞などで構成され、それぞれが役割を担っています。

グリア細胞の働き

  グリア細胞の中で一番多いのが、アストロサイト。血管壁から吸収した栄養分を神経細胞に供給したり、細胞外の余分なイオンを除去したりして神経細胞を保護する働きがあります。
  ミクログリアは、脳の中で傷ついた組織の周辺でよく見つけられるため、神経細胞の修復にかかわると長く考えられていました。しかし、それを実際に見た研究者はいませんでした。
  この謎が組織深部に透過する赤外線レーザーを使い、生きたマウスの脳を観察した実験で明らかになりました。まず正常な脳を観察すると、ミクログリアが1時間に1回程度、およそ5分間かけて、自らの突起を伸ばしてシナプス(神経細胞同士のつなぎ目)に触れている様子が確認できました。次に、脳の血流を止めた状態で観察すると、ミクログリアが1時間以上、シナプスを包み込むように触れている様子が確認できました。
  こうした活動により、ミクログリアはシナプスが正常に機能しているかどうかを検査・検診し、修復する働きがあると考えられています。

よくわかっていない麻酔薬の作用

  麻酔薬は脳のどこに作用して意識をなくしているのかが、まだよくわかっていません。動物実験や臨床実験などを繰り返し、安全性に問題がないから使っているだけで、詳しいしくみは不明です。「なぜ効くかはわからないけれど、いつもどおりこれを使っておこうか」という、よく考えたらとんでもないことが、病院で日常的に行われているわけです。
  私たちは研究の中で、たくさんの種類の薬剤を使います。薬剤は化学物質なので、化学構造式を見れば、薬剤の機能ごとに特徴的な化学構造を発見することができます。たとえば、花粉症などのアレルギーを緩和する薬剤として抗ヒスタミン剤があります。抗ヒスタミン剤にはいくつかの種類がありますが、化学構造式はどれもよく似ています。薬品の名前を見なくても、化学構造式を見れば抗ヒスタミン剤だとわかるものも少なくありません。
  一方、麻酔薬もさまざまなものが使われていますが、化学構造式に共通の構造がありません。このことからも麻酔薬の特殊性がわかります。

麻酔をかけても活動する神経細胞

  麻酔薬といえば、麻酔薬が作用しているのは神経細胞ではなく、グリア細胞のアストロサイトではないかと主張する研究者が現われました。多くの人が、麻酔薬が作用するのは神経細胞だと思い込んでいるかもしれませんが、実は麻酔薬を注入しても神経細胞は活動しています。麻酔薬で神経活動は止まらないのです。
  ところが驚くことに、グリア細胞の反応は麻酔をかけると止まってしまいます。麻酔薬に敏感なのは、神経細胞ではなく、グリア細胞なのです。こうしたことを根拠に、グリア細胞に意識があると考えている研究者もいるのです。

参考:「脳と心のしくみ」 池谷裕二(薬学博士)・監修
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