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橘玲(あきら)氏 幸福は遺伝する

  2017年は、「脳科学」がブームになり沢山の書籍が出版されました。中野信子さんも、たぶんこの頃に知名度が急上昇した気がします。今回は、中野信子さんではなくて、橘玲(あきら)さんの記事からの引用です。

  どれほど不可思議で信じがたくても、意識は、無意識の活動を整理し物語化するために、脳が生み出した幻覚であり、「わたし」とは無意識のことだ。そのうえ意識は無意識にダイレクトにアクセスすることができず、なにを求め、なにを考え、なにをしようとしているかを理解することもできない。だとしたら、幸福や成功への鍵は「無意識」にある。
 (こうして、アメリカを中心に「新しい心理学」のブームが到来した。)
  そこで、「無意識のわたし」がどうしたら幸福になれるかを考えてみよう。
  最初に指摘しておかなくてはならないのは、「幸福は遺伝する」ことだ。幸福感のレベルにはかなりの個人差があるが、それは生得的なものであり、そうでなくても幼児期にほぼ決まっている。これも受け入れがたいかもしれないが、幸福という感情が脳という臓器から生まれることを考えれば当然でもある。身体的特徴と同様に、こころの個体差も遺伝の影響を強く受けている。

  幸福感がなにによって決まるかは諸説あるが、神経伝達物質セロトニンが関係しているとの説が有力だ(セロトニン濃度が高ければ幸福感が高く、濃度が低いと抑うつ傾向が現われる)。世界各国で行われたさまざまな幸福度調査は、ひとはそれぞれ固有の「幸福の設定値」を持っており、良いことがあっても悪いことが起きても、時間が経てば本来の幸福度に戻っていくことを示している。身も蓋もない言い方をすれば、「生まれつき幸福なひとはずっと幸福で、不幸なひとはいつも不幸」なのだ。

  それに加えて、脳内のセロトニン濃度(より正確にはセロトニンを運搬する遺伝子の型)には人種による顕著なちがいがあり、日本人など東アジア系は、他の人種に比べて明らかにセロトニンの運搬能力が低い。日本はうつが「風土病」といわれ自殺率も高いが(韓国も同じ)、最近ではこれも文化的なものというより遺伝的な要素が大きいと考えられている。
  だが、日本人が「不幸の遺伝子」を持って生まれてきたとしても、絶望するのはまだ早い。それは同時に、「成功の遺伝子」でもあるからだ。
  アメリカにおいてアジア系は人口の5%に過ぎないが、スタンフォード、コロンビア、コーネルなどのエリート大学では学生数の約2割を占める。2014年の世帯年収調査では、アメリカ人の中央値(約600万円)を100とすれば、白人の106に対してアジア(インドを含む)系は138で3割も年収が高い。
  その一方で、白人とアジア系の知能指数(IQ)にほとんどちがいがないこともわかっている。だとしたら、所得にここまで大きな開きが生じるのはなぜだろうか。

  生まれつき幸福なひとは、人生に満足しているのだから、それ以上努力する理由はない。それに対して不安感が強いひとは、悲観的な将来から逃れるためにデートの約束をあきらめてもいま努力しようとするだろう。これが知能が同じでもアジア系の学力が高い理由で、幸福感が低いことの代償としてよい大学に入学し、高収入を得るようになるのだ。

  幸福度に人種による遺伝的なちがいがあるとすれば、それは日本人の勤勉性や集団主義にも影響しているはずだ。不安感の強い遺伝的性格は秩序や安定を好み、権威主義的で封建的な「安心できる社会」をつくりだす一方で、個人はムラ(共同体)のメンバーの気持ちを過剰に忖度するようになるだろう。日本人の特徴は遺伝と文化の共進化から説明できるのだ。

参考;「文藝春秋SPECIAL」の記事の抜粋再編集

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