真珠

深海の真珠は輝かず。

団塊の世代の反米主義

2005年08月13日 | 時事評論

 

団塊の世代には、反米的傾向が色濃い。この反米主義は、六十年安保世代や七〇年安保世代の両方にも共通している。また単に左翼のみならず、右翼にもその傾向がある。六十年安保世代で左翼から右翼に転向した西部邁氏は学生時代には、全学連の闘志だったし、その安保闘争を通じて、青年時代に反米主義を体験している。また「保守」と目されている小林よしのり氏は団塊の世代よりも少し遅れてきた世代であるが、団塊の世代の反米主義の影響を受けているようである。

この団塊の世代の一般的な反米の傾向は、この世代が七〇年安保の時期に青春時代を過ごしたということと大きく関係しているように思われる。若者は、いずれも正義は自分にあると信じて、一方的な主観のみで世界を断罪するものである。若者固有の正義感が世界の進歩と発展の原動力になることも事実だが、しかし、その経験の浅さ、視野の狭さから一面的で公平な評価を期待できない。当時のベトナム反戦運動、世界的な規模で広がった大学紛争を通じて、若者たちが、アメリカの政策に反対することは当時の趨勢でもあった。


それが潜在意識化しているのかどうか、団塊の世代がやがて定年を迎え、社会の第一線から退こうという壮年、熟年の時期にあっても、この傾向は現れるようである。アメリカの新しい国務長官ライス女史の目つきの印象についての滴水亭の亭主の記事を氏のサイトで読んだときも、改めてこの世代の一般的な反米的傾向を実感させられた。


ただ団塊の世代でなくとも、一般的に日本人のアメリカについての感情については、複雑で屈折したものにならざるをえない。それは、ペリー提督が黒船を引き連れて日本を訪れて以来の、太平洋をはさんで対峙する日本とアメリカとの歴史的な因縁からもそうならざるを得ない。

私たちのアメリカ観を歴史的にも哲学的にもきっちりと確立しておくことは大切であるが、ここでは特に、アメリカの本質とその世界史的な使命を考察するとともに、団塊の世代の反米的傾向についても、その意義と限界を明らかにしておきたい。



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