このところ、管理人の住む北の地はめちゃめちゃドカ雪降ってます。
毎日雪掻き大変~ 私はヒィヒィ言いながらやってるのに何故に街中の中高年達はキラキラ 雪掻きしてるのだ!?いや、そう見えるだけかもしれないけど、私にゃ間違っても「冬の風物詩」とか言えないよ・・・・・
でもですね、不思議と雪掻きって無心になれる瞬間でもあるんですよ・・・・・?( なんか病んでるかもしんない・・・)
え~、珍しくオリジナルを続けてみようかと思います。
オリジナル別館『水色・未来』の怪しげな2人の高校生といったらリョウ&ケイ!!
こっちも1年以上更新が滞ってますが(洒落にならんな)、忘れてはいませんよぉ!
ちなみにいきなり書きたくなった訳がさっき判明。「ゴーストハント」熱が再燃して、マンガに戻って読んでたらなんとなく「この2人の絡み、馴染みがあるなぁ~」と思った訳。
なぁ~んと!別館の高校生に似てるんだっ!!
頭脳明晰・沈着冷静な美少年「ナル」=リョウ、
明朗快活・男勝りな元気印女子高生「麻衣」=ケイ、・・・・・・まさにイメージぴったんこ。
ってか、多分、同じようなシチュに萌え要素感じるから、それ系の話にもハマるんだろ~が。
ウチのリョウ君は、ナルほど頭良くないと思うけどね。(ナルは博士号だし・・・・しかも心霊オタク)麻衣とケイ・・・・・・似てるな。ケイはもっと口悪い設定ですけど。髪型とかも、『肩のラインギリギリのショートに近いくせ毛』な訳。裏設定ですけど。最近出たゴーストハントの11巻・12巻あたりの麻衣の髪型に親近感覚えました
あとはね~ネタバレになるからあんま言えないけど、2人の背景なんかもね、似てるな~
ナルほど複雑じゃないけど、結構複雑な生い立ちに仕立てあげてるので・・・・・え?早く書け?はいはいw
あと10年くらいで完結?(いなだ先生や小野先生のこと言えないな・・・・)
んな訳で別館の高校生にも声援ヨロシク
以下、徒然に書きました、久々の別館の2人が主役のお話です。
『スノーフレイク』
年が明けて半月経った。
街も人も学校での生活もいつもの騒がしさを取り戻したが、この時期の冷え込みはなんとなく動きも思考も緩慢にさせるようである。
腕時計で集合時間にはまだ間に合うことを確かめてから顔を上げると、ふと目の前を白いものがチラ付いたのに気がついた。
雪・・・・・・・・また降ってきた・・・・・・・。
「おや、亮也君、今日も事件かい?」
声を掛けられて振り返ると、事務所代わりに世話になってる善光寺の住職がいつもの人懐こそうな笑顔で立っていた。
この寒さの中、甚平上下に藁箒・・・・・・・でも、足元は長靴。
箒で掃くには雪で道路が濡れているし、長靴を履くには別に水溜りが出来るほどの足元でもないのに・・・・・・・・・相変わらずよくわからないセンス。
しかし、この爺さん、妙に鋭いところがある。
「こんばんは。・・・・・・いえ、今日は定例会議。」
「ほっほぉ~サラリーマンみたいだのぉ。」
「似たようなもんです。」
「はっはは~、若いのに。・・・・・・雪に見とれるカワイイところもあるのにのぉ。」
「・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・いえ、ただまた降ってきたからうんざりしただけ・・・・・・」
妖怪のようにニヤリと薄笑いで返された。
一瞬言い訳を考えた間に気づかれている・・・・・・・・。
「お前さん、雪国出身だっけか?」
「東京ですよ。」
「あれ、そうかい。雪に見とれる子は雪国生まれが多いんだがのう。」
「・・・・・・・逆でしょ。こっちじゃ雪は珍しいから・・・・・・」
「い~や。」
住職は濡れた境内の道を、ゴミもないのにザカザカと意味もなく掃いて。
「今のお前さんの目は、雪をキレイだと思ってる目じゃったから。」
「はい?」
「東京モンはな、雪を見たって珍しいと思うだけで、結局は『やっかいな天気になったから、はよ、帰ろう』とかしか思わんじゃろ。」
俺もそうだけど・・・・・・・・・。
でも、確かに。
一瞬。
「お前さん、東京生まれだそうだが、地平線まで真っ白な雪野原を知ってるんじゃろ?」
「・・・・・・・・・・・・っ!」
・・・・・・・・・・・驚いた。
確かに間違ってない。
この時期、雪を見ると思い出すんだ。
地平線に続く山の向こうまで、どこまでも真っ白な。
誰も足を踏み入れていない無垢な純白の銀世界。
夜なのに、眩しいくらいの白さだった。
確かに死にそうなくらい寒い場所での話だけど。・・・・・・・・・素直にきれいだと思った。
いろいろあった時の後のことだったから。
その景色を見て、思ったんだ。
・・・・・・・・・・・人の心も、こんなふうにどこまでも真っ白になれればいいのに。
「・・・・・・爺さんは?雪国の出身なわけ?」
「わしか?わしは山形の山ん中じゃ。おかげでこの時期は白くないこの景色が物足りないのぉ。」
「じゃ、帰れば?」
「・・・・・・・お前さん、その減らず口直さんと、あの嬢ちゃんに逃げられるぞ~?」
「誰のことかわかりませんよ。」
逃げたつもりだったが、その後の住職の妖怪みたいな笑い声を聞くと、どうも逃げ切った気はしなかった。
何気にもう一度腕時計を見たら、いつの間にか集合時間が過ぎていて、少し慌てたような演技をかまして住職に別れを告げたら、「待て待てぇ~!」と首根っこを掴まれて、何やらごちゃごちゃ入った紙袋を持たされる。
老人は、どうにもおせっかいと押し付けが好きである。
緩んだマフラーを巻きなおして、寺の裏道を急いでいたら暗くなりかけた通りの向こうからようやく見分けられる程度に人影を見つけた。
「あれ?」
向こうもこっちに気づいたようだが、こっちは気づかないふりして近づいていった。
歩き方と雰囲気で誰なのかはとっくにわかっていた。
「ちょっとぉ~~!遅いじゃん、リョウ!今、来たわけ!?」
「お前も今、来たんじゃん。」
「ブッブ~!あたしはとっくに来てて今、お使いの帰りっ!コーヒーいつの間にかなくなっててさ?」
「・・・・・・でも、それ、『蔵』のコーヒーだろ・・・・・・・」
注:『蔵』とは居酒屋のような名前だが、善光寺の裏手にあるマニアな喫茶店のこと。わりとJUSPメンバーの溜まり場。
「だって、滝田さんと玲子さんがここのコーヒーがいいって言うんだもん。出前頼んだのに、マスターが忙しい、とか言うんだもん。」
「で、じゃんけんに負けたわけだ。」
「あんたがちゃんと来てたら、あんたに当たってたかもしんないんだよっ!!」
「知らね。」
「んじゃ、あんたお茶請け買ってきてよ。」
「やだ。」
「我が侭っ!」
「ほら、これ。」
さっき、住職に渡された紙袋を差し出したら、予想通り歓喜の嵐。
「やったぁ~~!爺さんがくれたの!?やっほぅ♪カステラにまんじゅうもあるじゃん!持つべきものは寺の友人だなぁ~?」
なんじゃ、そりゃ・・・・・・・。
「ケイ!いいから、さっさと入るぞ!寒いだろっ!!」
暖房の効いた事務所の入り口を目の前にして何やってんだか、とバカバカしくなって扉を開けようとしたら。
グィ~~~と後ろから首根っこを掴まれて戻された。
何で今日は、二度もこんな目に遭うんだ・・・・・・・・。
「ちょっと待ったぁ!」
「何だよっ!」
「雪だらけっ!ちゃんと掃いなっ!」
恵乃は、「ちょっと持って」と人にコーヒー入りと思われるポットを持たせて、片手では器用に人数分のカップが置かれた盆を載せたまま、バシバシと人の身体を叩きまくってきた。
ウールコートに引っ掛かった綿雪がサワサワと落ちていくのを黙って見ていたら、やがて恵乃が訝しげに見上げてくる。
「・・・・・・・どうかした?」
「いや・・・・・・・。」
・・・・・・・一瞬、また脳裏に昔見た雪景色が蘇ってきた。
こいつは見たことないんだろうな・・・・・・・・。
なんてことを暢気に考えていたら、いきなり頭をバシリ!と叩かれた。
「イッテ・・・・・・ッ!!何すんだ、お前っ!」
「はあっ!?雪だるまみたいな頭して、感謝しろよっての?これでちょっとは性格良くなるかもね?」
「うるせ~よっ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・何、やってんのよ、あんたたち。」
・・・・・・・・・・背後の扉から、来生玲子の呆れ顔・・・・・・・・・
そして、扉の奥からはリーダー・滝田誠二の「ジャレてねぇで、早くコーヒー持ってこ~い!!」の声・・・・・・・・・。
「あっ!ほら、また雪ヒドくなってきたっ!早く入ろっ!!」
恵乃が人にポットを待たせたまま、またもや背中を叩いてきた。
いちいち怒っていても仕方ないので事務所を降りる階段に足を進めようとしたら、オートロックの扉を開け放ったままであることに気づき戻りかける。
扉を押さえたまま空を見上げていたのは、先に戻ったと思っていた先輩・玲子だった。
「あらぁ・・・・・・降ってきたわねぇ・・・・・今夜、積もるかしら・・・・・・・」
「雪は嫌いですか。」
「嫌いだわねぇ・・・・・・・。寒いし積もると歩きにくいじゃない?」
予想通りの答えに「そうですね。」と短く答えて再び階段を下りていくと、背後からついてきた玲子がこう言った。
「でもね、あなたが言ってた雪野原は、どんなに寒くてもいつか見に行きたいわ。・・・・・・連れていってくれるでしょ?」
「・・・・・・・どうでしょうね。」
振り返らずに短くそう答える。クスクスとからかうような笑い声が聞こえてきた。
階段下の事務所内部に繋がるもう1つの扉のところでは、恵乃が待ち伏せて叫ぶ。
「早くっ!コーヒー来いっ!!」
・・・・・・・お前が持たせたんだろうがっ!!
「ねぇ。ケイもきっと行きたがるわよねぇ?」
「どうでしょう?」
「へ?何?何の話?」
早速食い付いてきたが、詳細は語るまい。根掘り葉掘り聞かれるに決まってる。
そんな面倒に付き合ってる余裕なんかない。
今じゃなくても。
いつか。・・・・・・・・・・・・・話す時は、来ると思う。
「お~~い、コーヒーまだか~??」
唯一どっかり座ったままのリーダー殿の前にポットをドッカリ置いて、ついでに和洋菓子わっさりの紙袋も置いたら途端に場は賑やかになった。
外の冷気はすっかり遮断された暖かなこの空間に少しホッとして。
ソファに足を投げ出して座って息を付いたら、肩をポン、と叩かれた。
・・・・・・・振り返ると、来生玲子の意味深な笑顔・・・・・・・
そして今度は反対側の肩を叩かれる。
向き直ると目の前に湯気の立ったコーヒーカップが差し出された。
「はい、ほら!」
外は寒くても、ここには温かな空間がある。
雪が降ってもこの街には積もらないが、人の心は曇りきってはいないのかもしれない。
今ならもう、あの雪野原を見ても。・・・・・・・・・・・・大丈夫なのかもしれない。
「・・・・・・・ねぇ、ちょっと、ホント大丈夫?なんか変だよ?」
そう言われて視線を上げると見下ろすように恵乃の視線があった。しばらくそのアホ面を見てると自然と口が開いた。
「あのさ・・・・・・」
「は~~~い!集合っ!!遅くなったけど定例会議始めるぞっ!」
リーダーの声に我に還ってお互い腰を上げた。
・・・・・・・・・・・・外は、きっとまだ雪が降っている。
END
________________________________
eriy
管理人の住む北の地はもちろん銀世界。地平線まで真っ白な世界です。
雪野原見ると何故かボォ~~っとしちゃうんだよね。真っ白な世界で人間を狂わすのか?いや、単に管理人の脳ミソがヤバイのだろう・・・・。
何か半端な終わり方でゴメンなさい。リョウが雪野原にうつになる訳は、多分そのうち別館本編に出てくると思います。
毎日雪掻き大変~ 私はヒィヒィ言いながらやってるのに何故に街中の中高年達はキラキラ 雪掻きしてるのだ!?いや、そう見えるだけかもしれないけど、私にゃ間違っても「冬の風物詩」とか言えないよ・・・・・
でもですね、不思議と雪掻きって無心になれる瞬間でもあるんですよ・・・・・?( なんか病んでるかもしんない・・・)
え~、珍しくオリジナルを続けてみようかと思います。
オリジナル別館『水色・未来』の怪しげな2人の高校生といったらリョウ&ケイ!!
こっちも1年以上更新が滞ってますが(洒落にならんな)、忘れてはいませんよぉ!
ちなみにいきなり書きたくなった訳がさっき判明。「ゴーストハント」熱が再燃して、マンガに戻って読んでたらなんとなく「この2人の絡み、馴染みがあるなぁ~」と思った訳。
なぁ~んと!別館の高校生に似てるんだっ!!
頭脳明晰・沈着冷静な美少年「ナル」=リョウ、
明朗快活・男勝りな元気印女子高生「麻衣」=ケイ、・・・・・・まさにイメージぴったんこ。
ってか、多分、同じようなシチュに萌え要素感じるから、それ系の話にもハマるんだろ~が。
ウチのリョウ君は、ナルほど頭良くないと思うけどね。(ナルは博士号だし・・・・しかも心霊オタク)麻衣とケイ・・・・・・似てるな。ケイはもっと口悪い設定ですけど。髪型とかも、『肩のラインギリギリのショートに近いくせ毛』な訳。裏設定ですけど。最近出たゴーストハントの11巻・12巻あたりの麻衣の髪型に親近感覚えました
あとはね~ネタバレになるからあんま言えないけど、2人の背景なんかもね、似てるな~
ナルほど複雑じゃないけど、結構複雑な生い立ちに仕立てあげてるので・・・・・え?早く書け?はいはいw
あと10年くらいで完結?(いなだ先生や小野先生のこと言えないな・・・・)
んな訳で別館の高校生にも声援ヨロシク
以下、徒然に書きました、久々の別館の2人が主役のお話です。
『スノーフレイク』
年が明けて半月経った。
街も人も学校での生活もいつもの騒がしさを取り戻したが、この時期の冷え込みはなんとなく動きも思考も緩慢にさせるようである。
腕時計で集合時間にはまだ間に合うことを確かめてから顔を上げると、ふと目の前を白いものがチラ付いたのに気がついた。
雪・・・・・・・・また降ってきた・・・・・・・。
「おや、亮也君、今日も事件かい?」
声を掛けられて振り返ると、事務所代わりに世話になってる善光寺の住職がいつもの人懐こそうな笑顔で立っていた。
この寒さの中、甚平上下に藁箒・・・・・・・でも、足元は長靴。
箒で掃くには雪で道路が濡れているし、長靴を履くには別に水溜りが出来るほどの足元でもないのに・・・・・・・・・相変わらずよくわからないセンス。
しかし、この爺さん、妙に鋭いところがある。
「こんばんは。・・・・・・いえ、今日は定例会議。」
「ほっほぉ~サラリーマンみたいだのぉ。」
「似たようなもんです。」
「はっはは~、若いのに。・・・・・・雪に見とれるカワイイところもあるのにのぉ。」
「・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・いえ、ただまた降ってきたからうんざりしただけ・・・・・・」
妖怪のようにニヤリと薄笑いで返された。
一瞬言い訳を考えた間に気づかれている・・・・・・・・。
「お前さん、雪国出身だっけか?」
「東京ですよ。」
「あれ、そうかい。雪に見とれる子は雪国生まれが多いんだがのう。」
「・・・・・・・逆でしょ。こっちじゃ雪は珍しいから・・・・・・」
「い~や。」
住職は濡れた境内の道を、ゴミもないのにザカザカと意味もなく掃いて。
「今のお前さんの目は、雪をキレイだと思ってる目じゃったから。」
「はい?」
「東京モンはな、雪を見たって珍しいと思うだけで、結局は『やっかいな天気になったから、はよ、帰ろう』とかしか思わんじゃろ。」
俺もそうだけど・・・・・・・・・。
でも、確かに。
一瞬。
「お前さん、東京生まれだそうだが、地平線まで真っ白な雪野原を知ってるんじゃろ?」
「・・・・・・・・・・・・っ!」
・・・・・・・・・・・驚いた。
確かに間違ってない。
この時期、雪を見ると思い出すんだ。
地平線に続く山の向こうまで、どこまでも真っ白な。
誰も足を踏み入れていない無垢な純白の銀世界。
夜なのに、眩しいくらいの白さだった。
確かに死にそうなくらい寒い場所での話だけど。・・・・・・・・・素直にきれいだと思った。
いろいろあった時の後のことだったから。
その景色を見て、思ったんだ。
・・・・・・・・・・・人の心も、こんなふうにどこまでも真っ白になれればいいのに。
「・・・・・・爺さんは?雪国の出身なわけ?」
「わしか?わしは山形の山ん中じゃ。おかげでこの時期は白くないこの景色が物足りないのぉ。」
「じゃ、帰れば?」
「・・・・・・・お前さん、その減らず口直さんと、あの嬢ちゃんに逃げられるぞ~?」
「誰のことかわかりませんよ。」
逃げたつもりだったが、その後の住職の妖怪みたいな笑い声を聞くと、どうも逃げ切った気はしなかった。
何気にもう一度腕時計を見たら、いつの間にか集合時間が過ぎていて、少し慌てたような演技をかまして住職に別れを告げたら、「待て待てぇ~!」と首根っこを掴まれて、何やらごちゃごちゃ入った紙袋を持たされる。
老人は、どうにもおせっかいと押し付けが好きである。
緩んだマフラーを巻きなおして、寺の裏道を急いでいたら暗くなりかけた通りの向こうからようやく見分けられる程度に人影を見つけた。
「あれ?」
向こうもこっちに気づいたようだが、こっちは気づかないふりして近づいていった。
歩き方と雰囲気で誰なのかはとっくにわかっていた。
「ちょっとぉ~~!遅いじゃん、リョウ!今、来たわけ!?」
「お前も今、来たんじゃん。」
「ブッブ~!あたしはとっくに来てて今、お使いの帰りっ!コーヒーいつの間にかなくなっててさ?」
「・・・・・・でも、それ、『蔵』のコーヒーだろ・・・・・・・」
注:『蔵』とは居酒屋のような名前だが、善光寺の裏手にあるマニアな喫茶店のこと。わりとJUSPメンバーの溜まり場。
「だって、滝田さんと玲子さんがここのコーヒーがいいって言うんだもん。出前頼んだのに、マスターが忙しい、とか言うんだもん。」
「で、じゃんけんに負けたわけだ。」
「あんたがちゃんと来てたら、あんたに当たってたかもしんないんだよっ!!」
「知らね。」
「んじゃ、あんたお茶請け買ってきてよ。」
「やだ。」
「我が侭っ!」
「ほら、これ。」
さっき、住職に渡された紙袋を差し出したら、予想通り歓喜の嵐。
「やったぁ~~!爺さんがくれたの!?やっほぅ♪カステラにまんじゅうもあるじゃん!持つべきものは寺の友人だなぁ~?」
なんじゃ、そりゃ・・・・・・・。
「ケイ!いいから、さっさと入るぞ!寒いだろっ!!」
暖房の効いた事務所の入り口を目の前にして何やってんだか、とバカバカしくなって扉を開けようとしたら。
グィ~~~と後ろから首根っこを掴まれて戻された。
何で今日は、二度もこんな目に遭うんだ・・・・・・・・。
「ちょっと待ったぁ!」
「何だよっ!」
「雪だらけっ!ちゃんと掃いなっ!」
恵乃は、「ちょっと持って」と人にコーヒー入りと思われるポットを持たせて、片手では器用に人数分のカップが置かれた盆を載せたまま、バシバシと人の身体を叩きまくってきた。
ウールコートに引っ掛かった綿雪がサワサワと落ちていくのを黙って見ていたら、やがて恵乃が訝しげに見上げてくる。
「・・・・・・・どうかした?」
「いや・・・・・・・。」
・・・・・・・一瞬、また脳裏に昔見た雪景色が蘇ってきた。
こいつは見たことないんだろうな・・・・・・・・。
なんてことを暢気に考えていたら、いきなり頭をバシリ!と叩かれた。
「イッテ・・・・・・ッ!!何すんだ、お前っ!」
「はあっ!?雪だるまみたいな頭して、感謝しろよっての?これでちょっとは性格良くなるかもね?」
「うるせ~よっ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・何、やってんのよ、あんたたち。」
・・・・・・・・・・背後の扉から、来生玲子の呆れ顔・・・・・・・・・
そして、扉の奥からはリーダー・滝田誠二の「ジャレてねぇで、早くコーヒー持ってこ~い!!」の声・・・・・・・・・。
「あっ!ほら、また雪ヒドくなってきたっ!早く入ろっ!!」
恵乃が人にポットを待たせたまま、またもや背中を叩いてきた。
いちいち怒っていても仕方ないので事務所を降りる階段に足を進めようとしたら、オートロックの扉を開け放ったままであることに気づき戻りかける。
扉を押さえたまま空を見上げていたのは、先に戻ったと思っていた先輩・玲子だった。
「あらぁ・・・・・・降ってきたわねぇ・・・・・今夜、積もるかしら・・・・・・・」
「雪は嫌いですか。」
「嫌いだわねぇ・・・・・・・。寒いし積もると歩きにくいじゃない?」
予想通りの答えに「そうですね。」と短く答えて再び階段を下りていくと、背後からついてきた玲子がこう言った。
「でもね、あなたが言ってた雪野原は、どんなに寒くてもいつか見に行きたいわ。・・・・・・連れていってくれるでしょ?」
「・・・・・・・どうでしょうね。」
振り返らずに短くそう答える。クスクスとからかうような笑い声が聞こえてきた。
階段下の事務所内部に繋がるもう1つの扉のところでは、恵乃が待ち伏せて叫ぶ。
「早くっ!コーヒー来いっ!!」
・・・・・・・お前が持たせたんだろうがっ!!
「ねぇ。ケイもきっと行きたがるわよねぇ?」
「どうでしょう?」
「へ?何?何の話?」
早速食い付いてきたが、詳細は語るまい。根掘り葉掘り聞かれるに決まってる。
そんな面倒に付き合ってる余裕なんかない。
今じゃなくても。
いつか。・・・・・・・・・・・・・話す時は、来ると思う。
「お~~い、コーヒーまだか~??」
唯一どっかり座ったままのリーダー殿の前にポットをドッカリ置いて、ついでに和洋菓子わっさりの紙袋も置いたら途端に場は賑やかになった。
外の冷気はすっかり遮断された暖かなこの空間に少しホッとして。
ソファに足を投げ出して座って息を付いたら、肩をポン、と叩かれた。
・・・・・・・振り返ると、来生玲子の意味深な笑顔・・・・・・・
そして今度は反対側の肩を叩かれる。
向き直ると目の前に湯気の立ったコーヒーカップが差し出された。
「はい、ほら!」
外は寒くても、ここには温かな空間がある。
雪が降ってもこの街には積もらないが、人の心は曇りきってはいないのかもしれない。
今ならもう、あの雪野原を見ても。・・・・・・・・・・・・大丈夫なのかもしれない。
「・・・・・・・ねぇ、ちょっと、ホント大丈夫?なんか変だよ?」
そう言われて視線を上げると見下ろすように恵乃の視線があった。しばらくそのアホ面を見てると自然と口が開いた。
「あのさ・・・・・・」
「は~~~い!集合っ!!遅くなったけど定例会議始めるぞっ!」
リーダーの声に我に還ってお互い腰を上げた。
・・・・・・・・・・・・外は、きっとまだ雪が降っている。
END
________________________________
eriy
管理人の住む北の地はもちろん銀世界。地平線まで真っ白な世界です。
雪野原見ると何故かボォ~~っとしちゃうんだよね。真っ白な世界で人間を狂わすのか?いや、単に管理人の脳ミソがヤバイのだろう・・・・。
何か半端な終わり方でゴメンなさい。リョウが雪野原にうつになる訳は、多分そのうち別館本編に出てくると思います。