漢検道

あおむしのヨチヨチ漢字道。

淮南子 続き 隋珠和璧

2009-03-26 23:26:32 | Weblog
 では続き。

・隋珠和璧、尺璧非宝では「璧」(ヘキ)(たま)が一級配当。 熟語は璧玉(ヘキギョク)、璧合(ヘキゴウ)、璧水(ヘキスイ)、璧帛(ヘキハク)、璧雍=辟雍・璧廱(ヘキヨウ)、下つきは完璧(カンペキ)、拱璧(キョウヘキ)、双璧(ソウヘキ)など。
 本試験では、

 ・仕事をカンペキに為し遂げよう。 7-2書き取り

 ・猛練習で内野の守備はカンペキになった。 13-2同音書き取り
 ・カンペキが強く、しばしば激怒した。   13-2同音書き取り

 ・祖父はカンペキが強くてすぐ怒鳴る。   18-3同音書き取り
 ・計画にカンペキを期する。        18-3同音書き取り

 ・兄弟の強さは角界のソウヘキである。    9-2書き取り

くらいかなぁ。 あ、カンペキは癇癖と完璧です。 基本問題なので大丈夫でしょうが、念のため。


 戦戦慄慄では「慄」(リツ)(おそ・れる)(おのの・く)が一級配当。 
熟語は慄然(リツゼン)、慄烈(リツレツ)、下つきは戦慄(センリツ)、震慄(シンリツ)、懍慄・凜慄(リンリツ)、恂慄(ジュンリツ)、悚慄(ショウリツ)など。

 本試験での出題

 ・慄然 16-2文章題書き取り

  彼の物質的論家の如きは、世界を狭小なる家屋となして、其の家屋の内部を整頓するの外には一世を能事なしとし、甘んじて爰に起臥せんとす、而して風雨の外より犯す時、雷電の上より襲う時、リツゼンとして恐怖するを以て自らの運命とあきらめんとす。  北村透谷「人生に相渉るとは何の謂ぞ」より

 ・戦慄 11-1文章題書き取り

  上田敏の「海潮音序」より出題。
 未だ新声の美を味わい功を収めざるに先立ちて、早く其の弊竇にセンリツするものは誰ぞ。


  くらいかなぁ。

続きはまた次回…。

続き 渾然一体

2009-03-17 00:19:35 | Weblog
先日紹介した淮南子出典の一級配当四字熟語の配当字の確認の続きです。

渾然一体では「渾」(コン)、訓読みは(にご・る)、(すべ・て)。 意味欄には、水が湧き出て盛んに流れるさま…渾渾=滾滾。 まじる、にごる、まじりあう…渾沌。 すべて、まったく…渾身、渾碧。 とあります。 熟語は、見出し語には渾渾(コンコン)、渾身(コンシン)、渾然(コンゼン)、渾沌(コントン)=混沌、宛字で渾名(あだな)=諢名、綽名があります。

本試験七番の音熟語・訓読みの問題にするなら、

渾身・渾て (コンシン/すべ・て)
渾沌・渾る (コントン/にご・る)

くらいかなぁ。 簡単過ぎて出ないか?

他の熟語も適当に列挙。 最近は漢検漢字辞典のみならず、他の辞典も一応見てみることにしています。 渾厚(コンコウ)、渾大(コンダイ)、渾天(コンテン)。 下つきで、奔渾(ホンコン)…川の流れが急ですさまじいさま。 香港ではない。 許渾(キョコン)…人の名前。巨根ではない。 雄渾(ユウコン)これは本試験にも出てるな。
 というか、この「渾」は本試験に結構出ている。

・渾身
  コンシンの力をふりしぼった。 9-2書き取り

  世は既に才子佳人相思の繊巧なる小説に飽けり、俠客烈婦の講談めきたる物語に倦めり、人は漸く人生問題に傾頭して神霊の秘密に聞かんとするの今日、作家たるもの満腔の同情を彼等悲惨の運命の上に注ぎ、コンシンの熱血を其の腕下の筆に瀉ぎて、彼等憫れむべきの生涯を描き、彼等不告の民の為に痛哭し、大息し、彼等に代わりて何ぞ奮って天下に愬うるを為さざる。 田岡嶺雲「下流の細民と文士」より 15-2文章題書き取り

・渾沌=混沌 
  須臾にして溟中コントンのところ依稀として五彩の竜文を作し、次第に鮮明を加えて光芒陸離、遂に混じて猩血の色をなす。 遅塚麗水「不二の高根」より 13-3文章題書き取り あ、麗水だ…。「幣袋」が20-3で出たね。 最初この「幣」が読めなくて困った。 ちゃんと表外読みで(ぬさ、みてぐら)と辞典にも載ってるね。 またまた逸れましたが、まぁ、この設問では常用の方でもいいので、といいますか、渾=混で書き換え出来るものが結構あるんですね。

・雄渾

  力強くよどみのないこと…雄渾(ユウコン) 18-2語選択書き取り

 …なんか、メインブログに書けばいいような記事になってきた。 あくまでこっちは自己満足日記なのだが。ま、いいか。

 今日はこの渾然一体の「渾」だけ。 続きはまた。

淮南子

2009-03-15 02:07:38 | Weblog
 前漢の武帝初期に成立した雑家の書。 漢の高祖劉邦の孫、淮南王(わんないおう)劉安(前178~前122)の編著。 「漢書」芸文志(げいもんし)には、もと内篇21巻・外篇33巻があったとされている。 儒家・法家・陰陽家などの説に混在させながらも、無為自然の道家思想に基づいて、天文・地理などの自然秩序と政治・軍事・処世などの人事百般を統一的に説こうとした傾向がみられる。 著書年代が比較的一定しているため、同じく雑家の書である「呂氏春秋」とともに、先秦思想研究の格好の基準として近年注目されている。 また、神話・伝説などの民俗学上の資料としても重視されている。 →説話・寓話で広く知られる「塞翁馬」の出典は「淮南子」人間訓(じんかんくん)。

では、淮南子出典の一級配当四字熟語の主なものを列挙しておく。

・一饋十起(いっきじっき) 10-3出題

賢者を求めるのに熱心なたとえ。 「一饋(いっき)に十(と)たび起(た)つ」訓む。
出典は”汎論訓”類義語に吐哺握髪(とほあくはつ)13-2・18-1出題、吐哺捉髪(とほそくはつ) 8-3出題が有り。  

・月中蟾蜍(げっちゅうのせんじょ)

月に住むというひきがえる。 蟾蜍はひきがえるの意。
出典は”精神訓”

・哭岐泣練(こくききゅうれん)

人は習慣や心がけ次第で、善人にも悪人にもなるということ。 「岐に哭(な)き練に泣く」とも訓む。 出典は”説林訓(ぜいりんくん)”まだ本試験での出題は無いが、今後出ることがあるかも? 些し違うかもしれないが、先日紹介した南橘北枳も住む環境によって善くも悪くもなるという意味で11-1で出題があるからなぁ。

・渾然一体(こんぜんいったい)

別々のものが溶け合って区別がつかないさま。 出典は”精神訓”

・隋珠和璧(ずいしゅかへき)

この世にまたとない貴重な宝物。 この世の至宝というべき宝玉。 出典は”覧冥訓” 和璧は「わへき」じゃなくて「かへき」と読む。

・尺璧非宝(せきへきひほう)

時間は何よりも貴重であるということ。 「尺璧(せきへき)は宝(たから)に非(あら)ず」と読む。 出典は”原道訓”

・戦戦慄慄(せんせんりつりつ)

恐れつつしむさま。 びくびくして、ふるえ恐れるさま。 出典は”人間訓”

・剽疾軽悍(ひょうしつけいかん)

すばしこくて強いこと。 出典は”兵略訓”


いつも通り、含まれる一級配当字も見ておきます。

一饋十起では、「饋」音読みは”キ”、訓読みは”おく・る”意味は、おくる。 食べ物や金品を贈る。=饋遺(キイ)、饋糧(キリョウ)。 神仏に食物を供える。 貴人に食事をすすめる。 また、食事。=饋食(キショク)、饋饌(キセン)と漢検漢字辞典にはあります。 他に、饋<(キキ)=なまものの食料をおくる。 送り届ける食料。 饋歳(キサイ)=歳暮、饋餉(キショウ)=食糧、兵糧。 饋食(キショク)=食事。 饋薦(キセン)目上の人に食物をささげすすめる。 祭りで供物を供えること「荀子」”礼論”。 饋贈(キゾウ)=進物。 饋奠(キテン)物を供えて神をまつる。 また、その供え物。 饋路(キロ)食糧を運ぶ道。 饋賂(キロ)=進物。 と漢字源にはあるので、余力があったら覚えるといいかな。 これに加えて漢語林には饋運(キウン)食糧を運ぶこと。 がある。

月中蟾蜍では、「蟾」音読みで”セン”。 訓読み欄には記述なし。 意味欄には、ひきがえる、ヒキガエル科の大型のカエル。 熟語に蟾蜍(センジョ)=月、月にひきがえるが住むという伝説による。 と漢検漢字辞典にはあります。 月には兎が住んでいますので、このヒキガエルは月に住む兎の餌なんだと勝手に想像してます。 ということは、月に住む兎は肉食か? と、些し脱線しましたが、他には蟾酥(センソ)生薬の一つ。 ヒキガエルの皮膚腺の分泌液からつくられ、強心剤などに用いる。 が、漢検漢字辞典にあるので覚えておかなかればならない。 因に酥(ソ)は8-2の読みでの出題がある漢字でウシやヒツジの乳で作った飲料という意味。 蟾の他の熟語を漢字源と漢語林でも確認しておくと、漢字源には蟾宮(センキュウ)。 蟾桂(センケイ)、蟾光(センコウ)、蟾兎(セント)、蟾魄(センパク)、蟾盤(センバン)、蟾輪(センリン)、蟾窟(センクツ)があります。 
 蜍は漢検漢字辞典には意味欄に蟾蜍(センジョ)ひきがえるに用いる字とだけあります。 

哭岐泣練では、「哭」音読みは”コク”。 訓読みは”な・く”。 声をあげてなく。 哭泣(コッキュウ)大声で泣き叫ぶこと。 涕を流して大声でなくこと。 と漢検漢字辞典の見出し語にあるので、語選択書き取り対策も含めて意味と共に覚えておかないといけない基本語。 他には慟哭(ドウコク)、下つきで哀哭(アイコク)、鬼哭(キコク)…鬼哭啾啾(キコクシュウシュウ)がすぐに想起されるよね。 戦場などの鬼気迫ったものすごいさま。 出典は杜甫の”兵車行” 成美堂の初版に出題があったなぁ。 あ、また逸れた…。 他に痛哭(ツウコク)がある。 他に、哭臨(コクリン)、哭声(コクセイ)、哭雨風(コクウフウ)夏至のころ、にわかに吹いてくる南西の風。 啼哭(テイコク)、歌哭(カコク)、泣哭(キュウコク)などがある。 意味はもう自分で調べてよ。 眠いから。


…眠くなったので


渾然一体の「渾」、隋珠和璧・尺璧非宝の「璧」、戦戦慄慄の「慄」、剽疾軽悍の「剽」、「悍」はまた次回ということで。






晏子春秋の・・・

2009-03-07 23:35:27 | Weblog
 先日紹介した「晏子春秋」の1級配当四字熟語を簡単に列挙しておく、と言ったので茲に記録しておきます。

・樽俎折衝(そんそせっしょう)

 なごやかに交渉すること。 武力を用いず飲食をともにしながらかけひきする外交交渉のこと。 (漢検四字熟語辞典) 出典は「晏子春秋」雑・上
 「樽」は酒だる、「俎」は肉料理をのせる台。 転じて「樽俎」は宴会の御馳走のこと。 「折衝」は攻めてくる敵の勢いを挫くこと。
 中国春秋時代、晋の平公は斉(せい)を攻めようとして、まず范昭(はんしょう)に斉の様子をうかがいに行かせた。 そこで斉の景公は晏子の策通り范昭を宴席に招きもてなし、戦争を回避した故事から。
 徳富蘆花の「思出の記」に”一人で樽俎折衝の役目を引受けた母の骨折は、並たいていの事ではなかったのである。”と用例があります。(新明解四字熟語辞典)


・南橘北枳(なんきつほっき)

 人も住む環境によって、良くも悪くもなること。 出典は「晏子春秋」雑・下
11-1に出題。
 中国江南で産する橘はたいへん美味であるが、淮水(わいすい)以北に植えると橘は枳となり、味が全く異なってしまう。 環境が変われば性質も変わってしまう、という意。


・比肩随踵(ひけんずいしょう)

 大勢の人があとからあとへと続くこと。 「肩を比べ踵(かかと)に随(したが)う」と訓読する。 本試験ではまだ出題されてないようだが、成美堂の本試験型では出てるので今後本試験でも出る可能性は否定できない。 出典は「晏子春秋」雑・下
  

  というわけで、ついでに上記四字熟語の1級配当漢字を例のごとく見ておくことにします。
 樽俎折衝では勿論、「俎」(ソ・ショ)、(まないた) 熟語は俎上(ソジョウ)、俎豆(ソトウ)、下つきで尊俎(ソンソ)、鼎俎(テイソ)、刀俎(トウソ)がある。 俎(まないた)=俎板、真魚板、 「俎上(ソジョウ)の肉」は、他人に運命が全て握られ、身動きがとれない状態のたとえ。=俎板の鯉。 嫁さんの前のあおむしの例え…
 本試験では9-2の故事の書き取りで、「俎の上の鯉」で出題あり。

 南橘北枳では「枳」(キ)、(からたち) 熟語は枳棘(キキョク)、枳句(キコウ)、枳実(キジツ)、下つきでは棘枳(キョクキ)、荊枳(ケイキ)。 「枳棘は鸞鳳の棲む所に非ず」はりっぱな人は自分の居場所を選ぶたとえ。 またすぐれた人は低い地位に甘んじるべきではないことのたとえ。 とげのある枳棘ののなかには、鸞鳥や鳳凰のような鳥はすまない意から、「枳棘」は悪い場所や低い地位のたとえ。 鸞鳳(らんぽう)は鸞鳥や鳳凰で、ともに神鳥。 転じて、すぐれた人のたとえ。 出典は「後漢書」

 比肩随踵では「踵」(ショウ)、(かかと・くびす・きびす) 熟語は踵骨(ショウコツ)、踵践(ショウセン)、踵武(ショウブ)、下つきでは接踵(セッショウ)、旋踵(センショウ)、「踵(かかと)で頭痛を病む」は、見当違いの心配をするたとえ。 

 次回は「淮南子」です。 では、また来週。
 

学習進捗状況

2009-03-07 22:06:04 | Weblog
 漸く自作問題を一通り終えた。

…艱しい。 使い勝手は悪いが、折角作ったので遣ってみたのだが、惨澹たる結果だった。

1.送り仮名訓読み  

これは辞典の1級配当漢字で送り仮名のある漢字を抽出したものである。 全部で1,151問ある。 例えば「釁る、揀ける、躋る」というパターンで親字の訓読み欄にその表記のあるやつだ。

 これは1,038/1,151問で平均正答率は90.2%だった。


2.一文字訓読み

これは辞典の1級配当漢字で一文字で読める漢字を抽出したものである。 全部で1,100問ある。  例えば「璞、莠、罅」というパターンで親字の訓読み欄にその表記のあるやつだ。

 これは929/1,100問で平均正答率は84.5%だった。


3.表外音訓

これは辞典の常用漢字で親字欄に表外訓みのあるやつ1,681問である。 
準一級の範囲も含んでいる。 これがあおむし、実は大の不得意だ。 恥を曝すことになるが、現実問題結果は結果、真摯に受け止め今後の精進を積めばいいだけの事だ。

 これは1,082/1,681問で平均正答率は64.4%だった。


4.熟字訓

これは、辞典巻末の熟字訓から適当に拾った1,130問。 先日出題された「九面芋」は残念ながら収録されてなかったので、現在、追加作成を予定中。 なのだが、その前に既に作成したこれらを攻略してからと思うのだが…。 全然わからんではないかぁ!

 これは752/1,130問で平均正答率は66.5%だった。

上記のような情けない結果となったが、誰でもはじめは何もわからないところから始まるから別にいい。 大切なのは今後でしょう。 でも…多いな。 全部で5,062問かぁ。 

 実はこれ以外にも自作問題はまだ4,000問くらいある。 孰れも基本的なものばかりだと思う。 とはいえ、それぞれの分野で実は辞典のその部分を粗罔羅していたりするのだ。 最近の試験ではそれでも対応出来ない問題が出題されていたりするが、その対策はまたするとして、今は兀兀先ずは、これらを90%以上の正答率へ…。

 今回は単に漢検対策学習のみの進捗状況。 次回(6月試験は受験出来るかどうか、現時点では不明だが)受験時は、過去問全て、成美堂などの市販問題集、これら自作を遣って臨んでどれくらい得点出来るのか実験してみたいと思っている。


 余談だが、最近本を読んでいると、漢検1級だけでは漢字力、不十分だ。 将来的に10,000語クラスで実施してくれればいいと思う。 JIS4水準まで出来ればそこそこ読みやすくなるんだろうなぁ。 そして、そのレベルで実施されれば、今のあおむしでどれくらい得点出来るか? 8点だな! 


 碧巌録なんて読んでてわけわかんないもん。

というわけで今宵もぼちぼち遣ります。 …ちょっと吞み過ぎた。

では、また。 

易経

2009-03-01 02:18:20 | Weblog
 では四字熟語出典紹介第2回。

今日は「易経」。

儒教の五経の一つ。 占筮の書であるとともに、宇宙論・処世哲学の書の一つでもある。 上下の経文とその解説とから成る。 経の部分は陰と陽の組み合わせで八卦、これ重ねて万物の象徴する六十四卦、卦全体の説明をした卦辞と、卦を構成するこうを説明したこう辞とからなる。 しかし、文章はきわめて象徴的で難解であるため、経の解釈として十翼がある。 八卦は伏羲、六十四卦は神農、卦辞は文王、こう辞は周公、十翼は孔子の作と伝えられるが定かではない。 陰陽の観念は中国自然哲学には普遍的であるが、「易経」はそれを宇宙論にまで高め、宇宙万物の法則性を人間社会の変化と関連づけた。 「易」「周易」ともいう。

 この「易経」出典の漢検1級配当四字熟語を簡単に列挙しておきます。

・遏悪揚善(あつあくようぜん)

 悪事をとどめて、善事をすすめる。「悪を遏(とど/や)め善を揚(あ)ぐ」と訓読します。 類義語は勧善懲悪ですね。 まだ本試験での出題はありませんが、そろそろ出てきてもいいかなぁと思います。
出典は<大有>

・一闔一闢(いっこういちびゃく)

あるいは閉じ、あるいは開くこと。 陰と陽が消長するさま。 闔は閉じる。闢は開く。
出典は<繋辞・上>

・誨盗誨淫(かいとうかいいん)

 悪事を人に教えること。 誨は教える。 誨淫誨盗ともいう。
出典は<繋辞・上>

・仰観俯察(ぎょうかんふさつ)

 仰いで天文を見、うつむいて地理を知る。 俯察仰観とも。
出典<繋辞・上>

・蹇蹇匪躬(けんけんひきゅう)

 9-2,18-1で出題。 自分のことは二の次にして主人に尽くすこと。 蹇蹇は身を苦しめても忠義を尽くすこと。 匪躬は自分の功名や富を捨て去ること。
出典<蹇>

・亢竜有悔(こうりょうゆうかい)

 きわめて高い地位にある者、栄達をきわめた者は、失敗をするおそれがあることを戒める言葉。 亢竜はのぼりつめて得意な竜のこと。 
出典<乾>

・虎視眈眈(こしたんたん)

 すきがあればつけこもうと、じっと機会をねらうこと。 眈眈は睥むこと。 虎が獲物を狙ってするどい目つきでにらんでいる様子。
出典<頤>

・井渫不食(せいせつふしょく)

 20-1で出題。 賢者が登用されないままでいること。 「井(せい)渫(さら)えども食われず」と訓読する。
出典<井>

・積悪余殃(せきあくのよおう)

 13-3で出題。 悪事をかさねた報いが子孫まで及ぶこと。
出典<坤・文言伝>


こんなもんでしょうか。 それでも3つも過去問で出題されてるなぁ。

ついでに上記の四字熟語に使われた一級配当字を確認しておくと語彙力増強に繋がるわな。

遏悪揚善では「遏」(アツ)遏める(とど・める)、熟語は遏雲(アツウン)、遏絶(アツゼツ)、下つきは禁遏(キンアツ)、防遏(ボウアツ)、擁遏(ヨウアツ)、抑遏(ヨクアツ)。 「遏雲の曲」は雲をとどめるほど素晴らしい音楽・歌声<列子>

一闔一闢では「闔」(コウ) 闔じる(と・じる) 闔(とびら) 熟語は闔扇(コウセン)、闔境(コウキョウ)、下つきで開闔(カイコウ)を押さえておこう。 「闢」(ビャク・ヘキ) 闢く(ひら・く) 熟語は開闢(カイビャク)7-1,14-217-1書き取りで出題、闢邪(ヘキジャ)

誨盗誨淫では「誨」(カイ) 誨える(おし・える) 熟語は誨育(カイイク)、誨言(カイゲン)、誨授(カイジュ)、下つきで誡誨(カイカイ)、教誨(キョウカイ)、訓誨(クンカイ)、慈誨(ジカイ)

仰観俯察では「俯」(フ) 俯せる(ふ・せる) 俯く(うつむ・く) 俯す(うつぶ・す) 熟語は俯瞰(フカン)16-2書き取りで出題、俯角(フカク)、俯伏(フフク)、下つきで畏俯(イフ)、陰俯(インプ)、「俯仰の間」は束の間、わずかなあいだ。 「俯仰天地に愧じず」は、自分の心や行動は公明正大で、天に対しても世間に対しても全く疚しいところがない。<孟子> ・・・絶対あおむしはこんなこと言えません。

蹇蹇匪躬では、先ず「蹇」(ケン)、 蹇む(なや・む) 物事が思うように進まなくて苦しむ ・・・あおむしのブログのこと。 また、足が自由に動かないこと。 足は別に不自由ではありません。 閑話休題、熟語は蹇歩(ケンポ)、蹇滞(ケンタイ)、蹇諤(ケンガク)、下つきでは屯蹇(チュンケン)、偃蹇(エンケン)13-1,17-2読みで出題、跛蹇(ハケン)。  「躬」(キュウ)、躬(み)、躬ら(みずか・ら)、熟語は躬化(キュウカ)、躬耕(キュウコウ)、躬行(キュウコウ)11-3で出題。
 下つきでは鞠躬(キッキュウ)、聖躬(セイキュウ)、直躬(チョッキュウ)

亢竜有悔では「亢」(コウ)、亢(のど)、亢る(たかぶ・る)、亢奮(コウフン・4-1読みで出題)=興奮。 亢進(コウシン)心悸亢進。=昂進、高進。

虎視眈眈では当然「眈」(タン)、眈む(にら・む) 眈むは他に「睨む」が8-1で出題された。

井渫不食では「渫」(セツ)、渫う(さら・う)、浚渫(シュンセツ)は8-2,14-3,16-2の書き取りで出題あり。

積悪余殃では「殃」(オウ)、殃い(わざわ・い)9-2読み出題。 熟語は殃禍(オウカ)、下つきで禍殃(カオウ)、余殃(ヨオウ)、咎殃(キュウオウ)。 「殃い池魚に及ぶ」は関係のない人がまきぞえになって思いがけない災難にあうこと。<呂氏春秋>


 そういえば「晏子春秋」出典の1級配当四字熟語書いてなかったなぁ。 それはまた次回ということで。