周作くんについて・・

周作くんについて
よくゴメスと話をした。

「彼はとても頭がいい。」って言ってた。

遠征の空き時間、他の選手がゲームや漫画に熱中するとき、
周作くんはよく静かに本を読んでいたそうだ。

「GKは頭が大事ネ。」ってよく言ってた。

周作くんがオリンピックやA代表に選ばれたとき、ゴメスに「おめでとう！！」って言うとすごく嬉しそうだった。
ゴメスが大分に来たのはシャムスカと一緒だから2005年。
それからずっと周作くんを育ててきた。
ゴールキーパーたちは、ある意味ゴメスの作品で、ある意味子供達で。
「大分のGK、みんないいメンバーね。オレ、大好きネ。」って言ってた。
自分の育てた選手が代表に選ばれることはコーチとしての誇り。
中でも大分の看板選手の周作くん。
「彼はファンに対する態度がいつも素晴らしい。」って言うから、「そうよ、彼に冷たくされた人なんか一人もいない。若いのに、ほんとに素晴らしいの。」って大きくうなづいた。


シーズン終盤、またゴメスと周作くんの話をした。
ゴメスが昔の話を始めた。
2～3年前から、代表の噂があがって、皆に彼がちやほやされていたころ、
ゴメスはずっと周作くんをいさめていたらしい。
「まわりは彼を持ち上げるけど、私からみたら、彼はまだ足りないところがいっぱいあった。
オレいつも西川に言ってたネ。『あわてるな、まだだ、あせったらだめだ。』って。」

少しずつ、少しずつ、ゴメスは周作くんの欠点を修正して、大事に大事に育ててきたんだろう。

「そうなんだー。だから、今、周作くんは最高の状態よね！」って言ったら

「違う。まだだ。」って。
「まだネ。今彼はベストじゃない。少しずつ、少しずつ、あげていってるネ。
オレ思うネ、彼は来年がベスト。来年ベストになるように調整してきたネ。」

「来年！？じゃあ、ワールドカップの年にベストなのね！！」

「ソウソウ＾＾」

ゴメスの言葉に歓声をあげながら、でも来年は周作くんは大分の周作くんじゃないんだと、せつなくてたまらなかった。


「大分から他のJクラブに行くのは考えられない、行くんだったら、大分から直接海外に。」って言ってた周作くん。
「西川が海外に行くときは、オレもつれてって！って彼に言ってるんだよｗ」と笑ってたゴメス。

私は心の中で、
どこか、J1クラブが、周作くんとゴメスを一緒に獲得してくれないだろうかって願ってた。

手塩にかけて育てて、教え子がワールドカップの舞台に立つ日を心待ちにしていただろう。
コーチとして、愛情と技術を教え込んだ、その結果が花開くとき、
・・・・・・・・・・・・・・・誰よりも、そばにいたかっただろうにね、ゴメス。。

私達も、大分の周作くんを南アフリカへ見送るときがくるんだと信じて疑わなかったよ。


夏ぐらいから、降格を覚悟しはじめたときから、経営破たんが報じられたときから、
私達の口ぐせは、「周作くんは、大分にいちゃいけない。」
「J２にいちゃいけない。ワールドカップがあるんだから。」
何度もそんな言葉を言い合って、自分達を納得させてきた。

いい加減、覚悟はとっくの昔にできていたのに、この動揺はなんだろう。
予想以上の喪失感にさいなまれてる。

2月2日、九石ドームで開催されるベネズエラ戦。
そこには、広島所属の西川周作がいるのかな。

ベネズエラの応援しよって思ってたけど、周作くんがいるんなら、日本の応援しようかな。


九石ドームのゴールマウスを守っていても、

大分の周作くんじゃないんだな。


「いままでありがとう、がんばって、ずっと応援している。」そんな言葉はもうちょっと時間を置いてじゃないと、どうも口からでてこない・・・自分がなさけないんだけど。


とにかく、怪我しないで。ますますいい選手になって。広島の皆さんに愛されて。



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今ちょっと、泣きべそかきながら広島のほうのぞいてみた。
皆さん、大分のこと、周作くんのこと気遣ってくれてて・・
ありがたいです。。