青山俳句工場05

俳句の今日と明日と明後日を語り合う。
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ひいらぎ文庫(33)

2014年07月21日 | 芹沢愛子
 久米宏の教養バラエティー番組『久米書店』で、『日本人には二種類いる 1960年の断層』の著者・岩村暢子さんが金子主宰の言葉を紹介していた。
 「六〇年以降の人間の変わり方ほど恐ろしいものは無かった。物が洗濯機が掃除機が何がと一つ増えるごとに人々の思想も生き方も考え方も人間関係もがらがらと変わった。どうしたらいいか分からない、恐ろしい時代だった」。
 「人を助けるとか平和とかいう言葉が一切通じなくなった。戦後かろうじて残っていた、これからは平和な生きやすい社会を作るんだと言っていた人達がその言葉を失って言い続ける自分が浮き上がり始めた」。
 そして今年、『文藝春秋』6月号での主宰の発言。
 「また青年たちが戦争に駆り出されるのではないかと心配しています」。
  雪女郎にわかに暗き世の端に 武田伸一
  れんぎょう雪柳多数派は大声 芹沢愛子
 平和についての発言や詩歌が浮き上がるような時代は恐ろしい。   (芹沢愛子)

「海程」2014年7月号掲載