日々雑感  ~ 青亀恵一

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塀の無い刑務所

2006-06-21 07:12:21 | 社会
塀の無い刑務所

光市母子殺害事件で、最高裁の判断が出た。
実質は、死刑相当ということで
高等裁判所に差し戻した。
死刑にすべきかどうか。
とても難しいところであるが、
被告の親の姿勢には、疑問が残る。
自分の立場の辛さを述べていたようだが、
視点が違うだろうと。
被告の自分勝手さは、そこから始まったのかと
一瞬思ったが・・・
人は、親と社会によって
育てられることは、間違いないことだ。

そのような犯罪を含め、
犯罪が年々増えている中、
今年も第56回「社会を明るくする運動」が実施される。
当然、年間を通じて取り組む問題だが、特に、
強調期間として、7月1日~7月31日までの
1ヶ月としている。

犯罪を減らすには、再犯が増えている状況を考えれば、
今後ますます、更生ということが重要になってくるが、
「塀の無い刑務所」が、TVで紹介された。

私も知らなかったが、それを紹介したい。
TVドキュメンタリー番組「報道特集」の内容である。

愛媛県今治市に、塀の無い刑務所がある。
時には、温泉街の散策もできるし、花火大会へも出かけられる。

ここで刑期を終えた者の再犯率は、数パーセント。
一般の刑事事件の再犯率は、
約50パーセントであることを見れば、きわめて低い。

そこは、新来島ドック大西工場。
別名、松山刑務所 大井造船作業場。(1961年設立)

作業は、造船所の社員と共同で行う。
作業の賞与金は、時間60円。
四六時中の監視はないが、手を抜くものはいない。
ここでは、社員から受刑者として見られないという。
そして、それが受刑者としてはうれしく、
また、裏切れないという意識も起こっている。
地域住民の信用が無ければできないことだが、
近所の人に不安感はない。

当然、ここに来られる受刑者の条件はきびしい。
まず、初犯であること。
受刑態度が良く、更生意識が強いこと。
暴力団に属さず、身元引受人がしっかりしていること。

そして、松山刑務所で、溶接技術や体力づくりの
きびしい訓練に耐えた者でなければならない。

ここの人数は、30名程度。
20歳代後半から40歳代。
寝食は、造船所敷地内の「友愛寮」。

食事も自ら作る。

A受刑者 40歳
仮出所前。 罪名 強盗致死罪。
ギャンブルが原因で、子どももいる。
「最初は、自分ひとりのことだから、いいやと思った。」
妻が面会に来て、
自分がどれだけ周りの皆に迷惑をかけたか、
わかったという。
妻とは、離婚。
自分の浅はかさに、反省の日々。

ここは、普通の刑務所より厳しいという。

そして、寮生活もさらにきびしい。
行事の計画や規則を、自治会の話し合いで決める。
上下関係、指導はきびしい。
受刑者が受刑者を指導する。
「考えろ」が飛び交う。
耐えられなくて、もとの塀のある刑務所へ
志願してもどるケースも多い。

ここに来ると、仮釈放率が良くなる。
概ね、刑期の6割程度で仮釈放になる場合が多い。

A受刑者の母は、病気であった。
母に会いたい。
しかし、母は、亡くなった。
もうきびしい生活に耐える必要はない。
脱走は簡単にできるが、
それをやってしまったら、信用してくれた人に迷惑がかかる。
それだけは、絶対できない。
自分の事だけを考えたのでは、何も変わらない。
そう、気づいて耐えた。

日曜日は、ドックの外へ出て行く。
海へ。
砂浜の清掃作業。
日曜日は、地域の奉仕活動や資格試験の勉強会がある。

社会で失われつつあるけじめをつけた節度ある生活。
一生(一所)懸命やる部分、ゆとりの部分のけじめ。
そして、それが社会復帰したときの自然体になるようにと・・・。

今、このような開放的施設での更生が注目されている。
新しい法律 刑事施設・受刑者処遇法が2006年5月24日に施行され、
開放的施設が明文化され、外出、外泊、電話通信も可能になった。

面会室に一人の女性が来た。
B受刑者の母親。
面会は、職員の立会いなし。
B受刑者は、強盗傷害 懲役5年。
免許を6つ取得。
母は言う。
「ここへ来る前の息子は、言ったことに反発する、自己中心的で反抗的」
息子は、変わった。
素直になった。
以前は、「どうせ自分は認められない」とか、
「どうせそんな子といってもムダだ」と言っていたが。
「集団生活の中で、ひとのために何かを行なう喜びを知ったからでは」と母。


「自分ひとりで、生きていると勘違いしていた。
他人に相談できなかった、気持を伝えられなかった。
相談や話を自然とできるようになった。
ここでは、素直でないと叱られる。
ここでは、嘘をつくと、見透かされる。
本音で人と接することが大切だと分かった。」

受刑者の多くの反省は、
「周りを見ていなかった。」
「自分のことしか考えていなかった。」である。



5人の新たな受刑者がここへ来た。

C受刑者 傷害罪 懲役2年8月。
「厳しいとは思うが、家族とか大事な人のためになるし・・・」

D受刑者 大麻不法所持 懲役5年6月。
「頑張りが足りないから、ここにいる。
自分を試してみたい。」

E受刑者 覚せい剤取締法違反 懲役2年10月。
「なんとか過ぎていく日々だけでは、
自分は変われないのではないかとここへ・・」

F受刑者 強盗罪 懲役4年。
「我慢・忍耐力・自信の無さから事件を起こしてしまったので・・」

G受刑者20代 殺人罪 被害者は、自分の子ども。虐待死。懲役7年。
「子どもの辛さに比べたら、比較にならない。」
他にも子どもがおり、幸せにしたい。

もう塀のある刑務所へ帰らない自身はあると5人共。

しかし、翌日、早くも一人脱落。
F受刑者は、自ら志願して、もとの刑務所へ。
理由は、24時間、息ぬく暇が無いから。
それほど、ここでは厳しい。

秋は、忙しい。
行事が多い。
文化祭。集団散歩。(弁当を持って道後温泉散策)
「家族連れを見ると複雑な気持に・・・」

G受刑者が脱落。
甘えが出たという。

3月。
5人のうち、C受刑者だけが、残った。
仮出所は明日。

規律違反行為で、戻る場合も多い。
その場合、仮釈放も延びる。

酒やタバコ。
誘惑は多い。
それを我慢する強い気持が無ければ、
社会へ出ても通用しない。

社会に出ると嫌なことから逃げられるが、
ここでは、逃げられない。

刑務所の壁は、受刑者を社会から守るためにもある。
自ら律する強い心が必要となる。

これからは、
このように自らを律することに重きを置く
更正・処遇施設が増えてくる。

単に、罰するだけでは、
犯罪の再犯は、減らすことができない時代にある。

他人を思いやる心を培わなければ、
再犯率低下の結果は出ない。

PS
この番組については、いろいろなコメントがある。
gooの検索サイトを参照
http://search.goo.ne.jp/web.jsp?TAB=&MT=%CA%BD%A4%CE%CC%B5%A4%A4%B7%BA%CC%B3%BD%EA&web4.x=31&web4.y=8


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1 コメント

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テレビでこの刑務所みました (鹿児島人)
2011-02-08 17:57:55
はっきり言って酷い内容じゃないですか?
先輩には絶対服従となっていましたが先輩も犯罪者でしょ 犯罪者同士でなぜ序列があるのですか?イジメの温床にもなりますしやめたらどうですか? 刑務官制度そのものを蔑ろにしてると思います。窃盗などを犯した物が傷害など暴力的な犯罪を犯した先輩受刑者に服従などと言うのは服従させる為に暴力的威圧をもって行なうという行為であり人権的ではないと思います。
受刑者間で絶対服従のシステムと言うのはすぐにやめさせるべきです
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