だいすき

基本的に自分の好きなものについて綴っていきます。嫌いなものやどうでもいいこと、さらに小説なんかもたまに書きます。

秋せつら

2007年01月01日 19時03分13秒 | ヒトの創りしもの
 新しい年に突入し、カテゴリーを二つ増やしました。
 ひとつめは『ヒトの創りしもの』
 これはキャラやアイテムその他諸々、僕がいいなと思った創作物を紹介していきます。ちなみに、カテゴリー名はエヴァンゲリオンのパクリです。

 第一回目は菊地秀行先生の生み出した『秋せつら』。
 これまでに出会ったキャラクターの中で僕の最も愛する、また先生のファンの中でも最も人気のあるキャラクターです。

 魔震と呼ばれる謎の地震により壊滅した東京新宿区。復興後そこに生まれた都市は、この世の常識を遥かに超越した魔界都市と呼ぶに相応しいものだった。
 この都市に希望を抱いてくるものはいない。笑顔で出て行くものもまた。
 そんな魔界都市の主と呼ぶべき人物がこの秋せつら。
 西新宿でせんべい屋を営み、副業で人探しも行う彼は、千分の一ミクロンの妖糸を操り、次元すらも切断する。そして新宿に住む誰もがあげる、手を出してはいけないトップ3にランクインする男。

 はっきり云って彼の素晴らしさは僕の拙い文章では表現しきれません。もう、ありとあらゆる意味で凄いのです。
 二重人格という巧みなキャラ設定。魔技に等しい妖糸の技。そして、筆者の持つ技量の全てを注ぎ込まれて表現されているその美しさ。
 特にここで推していきたいのは、その『美』に対する表現の仕方です。
 菊地秀行先生の主人公に美形は多いですが、小説に出てくる回数が圧倒的に多いのはこの秋せつらなのです。
 彼は魔界都市を象徴する人物なので、自分が主役でない物語でも、魔界都市が舞台である限りかなりの確率で一回は出てきます。ただ出てくるといっても名前は出てこないのです。大体がせんべい屋、あるいは人探しの職業で出てくるか、その常識外れの美しさが語られるかのどれかなのです。
 そして出て来る度に毎回違う表現でその美しさが語られるのです。
 これははっきり云って凄いことなのです。どう少なく見積もっても百を越えるであろう登場シーンにおいて、違う言葉でいつも美しさが表現されているのですよ。
 いや、もう、そのこと自体が奇跡のようなものです。

 ちなみに最近の僕のお気に入りの表現はこちら。
「魑魅魍魎が跋扈し、常に血臭の漂うこの街において、ああ、それでも美にはかなわないのかと思わせる人物がいる」
 この表現だけではわからないかもしれないですが、魔界都市というものを熟知すればするほどに、そこで最強を誇ると思わせる『美』の凄さが理解できるようになります。

 小説の内容自体は男女の哀切を語ったものが多く、どなたにもお薦めなのですが、若干性描写と暴力表現が過激なところがあるので推薦し辛くはあるのですが、とにかくお薦めなのでぜひ読んでください。
 きっとあなたもその美しさの虜となること請け合いです。

 完璧、というものが存在するならばまさに彼こそがそうなんだ。
 そう思わせてやまない『秋せつら』が大好き。

コメントを投稿