だいすき

基本的に自分の好きなものについて綴っていきます。嫌いなものやどうでもいいこと、さらに小説なんかもたまに書きます。

たまに作者の恥知らずっぷりに、頬を赤らめるときもある。

2008年03月09日 01時27分53秒 | 小説が好き
 今月、電撃文庫からこんな本が出た。


『旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。』
 著/ 萬屋直人 イラスト/ 方密

 少年と少女は旅に出た。一冊の日記帳を持って、世界の果てへ。
 世界は穏やかに滅びつつあった。「喪失症」が蔓延し、次々と人間がいなくなっていったのだ。人々は名前を失い、色彩を失い、やがて存在自体を喪失していく……。
 そんな世界を一台のスーパーカブが走っていた。 乗っているのは少年と少女。他の人たちと同様に「喪失症」に罹った彼らは、学校も家も捨てて旅に出た。
 目指すのは、世界の果て。
 辿り着くのかわからない。でも旅をやめようとは思わない。いつか互いが消えてしまう日が来たとしても、後悔したくないから。
 少年と少女は旅を続ける。記録と記憶を失った世界で、一冊の日記帳とともに――。

 まあ、僕がこの本を読むことは決してないだろうけど、それはそれとして、僕は他にこんな本も知っている。
 1983年に出版された菊地秀行先生の本。

『風の名はアムネジア』

 風が吹いた。突如世界中に吹き荒れた“風”によって、すべての記憶を奪われてしまった人類。言葉や文字を忘れ、文明や文化を失い、人類は確実に衰亡への道を歩み始めた。残されたものを求めて、かつての巨大な文明国アメリカ大陸を横断するワタル。過酷な運命を背負わされた人類の行く末に、ワタルが見たものは…。


 もちろん僕は、先の本が菊地先生のパクリだなんていうつもりはない。二十五年も前の本だ。作者は当然知らなかったに違いない。作者や編集者の無知を笑うつもりもない。

 僕がいいたいのは、菊地秀行先生が偉大だってこと。

 だって、二十五年も前ですよ。二十五年も前に、いつか誰かが歩むかもしれない道をすでに歩いているんですよ。
 僕はパクリ疑惑の記事を読むたびに、先人達の偉業に心焦がれてしまうんです。

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