時には目食耳視も悪くない。

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毒も薬も使いよう。

2020年05月25日 | 本の林
 ある事柄を、自分が理解しているように相手にも理解してもらうことは、なかなか難しいとつくづく実感する今日この頃です。

 一人一人、物の考え方が違うのは当然ですし、性格も好みもそれぞれ異なります。
 私が好きなものを忌み嫌う人もいますし、私がどうしても好きになれないものに心酔している人もいます。

 そういった感覚が違うということは仕方のないことですし、違っていた方が物事がうまく納まる場合もあるのですが、一つの情報を共有しようとする時には、誤解や行き違いが生じることもあります。
 伝えたいことが伝わらず、思ってもみない反応が返ってくるなんて経験をしたことはありませんか。

 それも、一つの物事には様々な側面があるということを考えれば仕方のないことなのかもしれません。
 大して何の役にも立たないものや人のことを「毒にも薬にもならない」と評することがあります。

 しかし、人によっては、それを毒にも薬にも「変える」ことができます。
 まさに、「馬鹿と鋏は使いよう」です。

 私にとって、大いに役に立つ興味深い本であっても、ある人にとっては「何も得るものがない」本であったりすることは、当然あり得ることですし、仕方のないことだと分かってはいるのですが、自分が肩入れしている本を役立たず扱いされるのは、感情的に面白くありません。

 発信される情報に、発信者の私情が入れば入るほど、その情報の客観性が失われてしまい、結果的にそれはただの発信者の個人的感情、もしくは自己本位な主張と受け取られてしまう可能性があります。

 私が雑談動画【本の林】で取り上げている本は、これまでに自分で買い集めたり、人からいただいたりしたものがほとんどです。
 好きで買った本もあれば、そんなに好きではないけれど勉強のために手に入れた本もあります。

 私の好き嫌いに関わらず、本が私に与えてくれる知識や情報は、私にとって貴重なものです。
 一期一会という言葉があるように、その本を知ることができた、出会うことができたことを幸せだと思い、本たちと暮らしています。

 本なんて古臭くて、嵩張るばかりの役に立たない物だと思う人たちがいることも知っています。
 そういう人たちにとっては、本は毒にも薬にもならない物なのでしょう。

 本がどんな人の、何の役に立つかなんて、私の決めることではありませんが、一冊の本を紹介する一つの方法として、動画の中では本の実用性について、つまり「お役立ち度」を星5点満点で評価してみることにしました。
 本の魅力を伝えるために、もっとよい方法を思いついたら、また違う形で提示していくと思います。
 なかなか、自分が確信を持てる動画作りができないのが、現在の悩みです。

 今回、【本の林】で取り上げた《ドイツ・リートの歴史と美学》ヴァルター・ヴィオーラ著/石井不二雄訳(1973 音楽之友社)は、大学教授の著者が、大学での講義内容をまとめて執筆したものなので、内容の専門性が高く、専門外の人や一般の人にはあまり実用的な本とは言えません。
 また、出版年が古いので、専門家の中でも情報としては時代遅れだと感じる人もいるかもしれません。

 いずれにしろ、一冊の本が毒になるか、薬になるか、あるいは何にもならないのか。それを決められるのは、実際に読んだことのある人だということだけは間違いありません。
 ちなみに、本書は私にとって「良薬は口に苦し」といったところです。。。

 ※雑談動画【本の林】第二十四冊を再生するには、コチラをクリックするか、「本の林」で動画検索をお願いします。


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