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音程ってどうなってるの?

2020年05月11日 | 本の林
 クラシックの演奏家にとって、音程というものは一生つきまとう課題の一つです。

 楽譜に書かれている音を全て「正しい音の高さ」で弾かなければならないのですが、ピアノ場合、音の高さはすでに固定されているので、演奏家はこの音程問題からは解放されます。
 他方、自分で音の高さを作らなければいけない楽器、例えばバイオリン、ビオラ、チェロなどの弦楽器、あるいは自分自身が楽器である声楽家は、まず最初に「正しい音の高さ」について知らなければいけないのです。

 指定された鍵盤を押せば、一回で正しい音が出る(しかも何度も)と違い、バイオリンは指紋数本ズレただけでも音が狂って聞こえてしまいます。
 早く曲を弾けるようになりたいのに、正しい音の高さが分かりづらいため、覚えるのに時間がかかり、嫌になって辞めてしまうなんて話をよく耳にします。

 いろいろな実体験や、音楽教育に携わる沢山の人から聞く話を考えますと、小さいお子さんが初めて習う楽器はやはり、ピアノの方が良いような気がします。

 さて、今回の雑談動画【本の林】で取り上げた《音律と音階の科学 ドレミはどのようにして生まれたか》小方厚(2007 講談社)では、周波数に特化した音程の解説がなされています。

 実際の演奏の現場では、周波数ではなく演奏家の聴覚によって音程が作られているので、どちらかといえば実用的というよりは理論書になります。

 ですが、音階がどのように誕生したのかや、歴代の作曲家たちがどんな音程を好んで曲を作っていたかなどを数学的視点から解き明かしていて、とても興味深い内容になっています。

 理系の人でないと、すっきり理解するのが難しいと思いますし、実践ではどちらかといえば必要のない知識なので、音楽家必読とは言えない本ですが、個人的には好きなジャンルのものです。
 数字の好きな人にはオススメの本です。

 ※雑談動画【本の林】第二十二冊を再生するにはコチラをクリックするか、「本の林」で動画検索をお願いします。


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