アンクロボーグの世界

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ショートショート 【いいひと】

2008年12月18日 14時45分24秒 | ショートショート
《 自動創作プログラムが作製したショートショート作品です 》

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【いいひと】

「困ってるんですよ。何とかしてもらえませんかね~~!」

財前伸治はここでいつものように、間 を置き、脳内に映る電話先の人物の画像を見つめる。

そいつは本当に私のことを心配している表情をしていた。

「そういう事情がお有りなのですかー?それはさぞ、お困りでしょう」

「では、こうしましょう!今日にでも、全額わたくしの負担で口座へ入金してあげます」

財前は、体内に内蔵されている携帯へ切断の意思を伝えた。

通話回線は切れて、視界を通常モードへと戻したが、口元は思わずほこぼらせてしまった。

苦情電話一本かけるだけで今月の生活費が手に入ったのだから当然である。

「ケッ!!ホント!こいつらは、何でも信じるんだナ!!」



ライフサイエンスの発達により遺伝子、タンパク質及び脳神経細胞もろもろの関係、役わりが研究されてゆき、人間が元来もつ、良心という感情の発生元が解明された。

両親たちは、こぞって自分の子供たちにこの遺伝子操作技術を使用し、赤ちゃんを誕生させたいと思った。

つまりは、いい子、やさしい子、思いやりのある子、人のためになる子、世の中の役にたつ子に育つようにと望みをかけて…

親としては当然である。



結果、今やこの日本は、その半数以上がこの善人の集団で社会が動いていた。

遺伝子操作されていないノーマル(嘘を平気で実行できる普通の人)のまま育った財前。

しばらくして次の善人のカモへの電話ナンバーをコールした。



最近発売されたばかりの、欲しいと思っていた最新立体ディスプレイの代金を貢いでくれる 良い人 に…


     《 お わ り 》


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