もんくうさぎのブログ

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放射性廃棄物が一般廃棄物に

2016-02-16 09:59:07 | 原発
 先日、環境省が指定廃棄物を普通のゴミとして捨てられるようにすると発表した。どの自治体も受け入れを拒否している指定廃棄物(福島原発事故で発生した核のゴミで放射性セシウム濃度が8000ベクレルを超えるごみ焼却灰や下水汚泥)。保管場所において置けば、時間の経過とともにセシウム濃度は低下する。それを基準値に達しないからただの廃棄物というラベルに張り替えて、一般の廃棄物と同じようにに捨てられるようにするというのだから、なんと大胆かつ最後の手段的方策だろう。あまりにもあからさますぎて、みんなすんなり納得するとは思えない。7999だったら安全なのね、ああよかった受け入れますなんて言える? 必ず出てくるであろう抵抗を乗り越えてこの方策を国民に押し付けたいのなら大臣含め環境省の職員自らこのゴミの上で仕事してほしい。もちろんゴミは厳重にコンクリでブロックしてさ。できる? そもそもこの8000っていう基準誰が決めたんだ。
 7日、丸川環境相が「国が除染長期目標とした年間被ばく線量1ミリシーベルトは何の科学的根拠もない」と発言。一瞬、放射線管理区域という単語がアタマをよぎる。あれはいったい何だったんだ。(今もあると思うんだけど)暮らしの放射線Q&A これによると放射線管理区域に関する取り決めは放射性物質を計画的に扱うときのものであり、福島原発事故は突発的な事故だからこれらの規則は適用されない・・・そうだ。げろげろ~。計画的放射線と突発的放射線のどこに違いがあるんだよ。ダブルスタンダードもここまでいったら笑うしかない。また、放射線管理区域から放射能汚染物質を勝手に持ち出すことは禁止されていた(る)。それだけまわりに危険を及ぼす恐れがあるからだ。その基準は4bq/平方cm。一方で福島原発事故のよる汚染に関してはスクリーニングの基準は120bq/平方cm。一挙に30倍。事故なんだからがまんしろってか。くどいようだけどこの120と8000、いったい誰が決めたんだ。そこに科学的根拠とやらはあるんかい。
 原発を動かす論理の中には大きな特徴が2つある。ひとつめ。高浜原発再稼動もそうだが、ゴミの問題が白紙であること。ふたつめ。国家は放射線障害リスクの基準を勝手に決めることができ、それを国民に押し付けることができること。
 実は年間被ばく線量1ミリシーベルトに科学的根拠はない、という丸川大臣の言葉はある意味正しい。この基準で安全が保たれるという確証はないからだ。この数値はICRP(国際放射線防護委員会)の勧告を受けて設定された。ICRPはしきい値(放射線障害があらわれる最小の線量)はないとしている。だからこの1ミリシーベルトはあくまで予防的数値。そこを超えたら必ず影響が出るわけではなく、それ以下でも影響が出ないとは言い切れない。したがって問題は科学的根拠がなければ除染努力を軽減してもいいのか、それとも今以上に努力すべきなのかということになってくる。
 大臣の考えが後者だったらこんなに騒がれなかっただろう。が、丸川大臣の講演内容を読むと、そういう文脈で使われてない。放射能に心配しすぎる人たちの声がうざい。1ミリシーベルトにこだわってるようだけどこの数値に科学的意味ない。だから、あまりこれを根拠に騒ぐな。明らかに前者である。とにかく国が安全と言ってんだからつべこべ言わずに故郷に帰れ。そこまで言ってないけどそんな思いが見え隠れしている。
 許容量が定まらない場合の安全論。ひとつの答えとして竹谷三男編「原子力発電」内に次のような言葉がある。
 障害の程度を正確に科学的に推定することが不可能な場合、こと安全問題に関しては過大な評価であっても許せるが、過小な評価であることはあってならない。この原則的立場に立てば、「しきい値」の存在が科学的に証明されない限り比例説を基礎において安全問題は考えなければならない。(引用終わり)
 まったくその通りだと思う。科学的根拠がなくても食べたら10人中1人が腹痛を起こすものを大丈夫だから食えと万人に勧めるわけにはいかない。原因が解明されるまで、食べさせない努力をすべきなのだ。放射線は腹痛どころかDNA損傷を起こし、何年か後にがん発症の危険性があると言われているのだからなおさらだ。こう考えていくと政府(本当は東電)がやるべきことは1ミリなんてせこい目標は立てず、限りなく年間被ばく量を減らすよう努力することではないのか。人工放射線はゼロが原則で、レントゲンなどやむをえないときだけ照射を許されるもの。なんびとも無意味に放射線にさらされる義理も人情もないのである。
 3.11前は放射線管理区域から汚染物質を持ち出すと罰せられたが、今はそれより格段に安全じゃないブツをどうかあんたの町や村に置かせてくれと頼み込んでくる。前は危険だ気をつけろと言っていた環境を安全だと言いはり、そこに住めと強要してくる。平和時、殺人は厳罰に処せられるけど戦争になったら人を殺せと強要してくる国家と戦争の関係とよく似てると思いませんか。
 

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