トイレそうじは苦手だ。
最近、ロボットや人工知能にとって変わられる仕事というのが話題になっていていて、こういう仕事こそ真っ先にとって代わられてほしいと思っていたのだが、消える職業一覧を見ても、トイレそうじというのはない。
トイレそうじは、ビミョーかつ臨機応変に取り組まねばならない作業だ。パターン化されているかと言えばさにあらず。ルーチン化できないかと目論んでも・・・ダメである。トイレそうじにはいろんな落とし穴が待っている。
便器を外から内へ拭いていき、ときどきは隙間にたまった汚れを、ブラシで集中的にこする。昔はこれつけときゃ自然に汚れがおちると宣伝されてたグッズを取り付けたことがあったが、何のことない。むしろやっかいなことになった。油断してほっといたら、そのグッズから漏れ出る液体でみごとに便器が着色。たわしの親戚みたいな硬い毛のブラシでこすってもとれなくなったのだ。人間の排泄物とは比較にならない強力な化学物質が含まれているらしい。
人間の排泄物や、トイレですごすひとときがパターン化、ルーチン化すればロボット投入も可能になるだろうが、たぶん無理だろう。そうじってトイレそうじもそうだけど、さまざまな生身の人間の観察や手作業がないと成り立たない繊細な仕事だと思う。清掃業って最後の最後まで残るかもしれない。
一方であっさり消えていく仕事は。人工知能の特徴を考えると、高度な専門知識をあやつる職業が危なそうだ。医者は残るとされているが、人工知能の方がビッグデータから的確な情報分析するから「世界に3例しかない症例」みたいな奇病も直ちに診断してくれるだろう。AI(人工知能)の方が頼りになるのなら、医者という職業は消えないにしても変質するにちがいない。あと、弁護士、高校、大学の教師。知識ばっか持て余していると、AIに仕事がくわれていく。
が、それらの専門職の前にあっさりAIにとって変わられそうな職業がある。政治家である。先日、国会答弁見てて強くそう思った。答弁はだいたいパターン化している。質問内容に回答する。はぐらかす。同じことを繰り返す。議論によって、よりよい結論にたどり着くということは、限りなくゼロに近いし、みんな望んでないようだ。よってAIにもできる。国会答弁以外のことも、支持者や役人との打ち合わせぐらいだったら楽勝だ。出来ないことは料亭で飲食することぐらいか。
トイレそうじに話を戻そう。ラクしようと科学技術は発展したが、最終的にラクできない仕事がそうじだとしたら、あまりにも「道徳」的結論だ。うさぎはトイレに神様がいるとは思ってないが、人間は毎日排泄するわけだし、本来毎日そうじすべきところなのだろう。
で、うちのトイレとは比較にならないが、現在最大そうじすべきというか、そうじしないと「日本死ぬぞ」とされてるのが福島第一原発事故処理作業だ。
ロボット投入と言われながらロボットは役に立たず、結局は生身の人間の手が頼りだ。メルトした核燃料の場所は未だ特定できず、取り出すのはいったいいつになることやら。それまで日本は汚染水と共存しなければならない運命で、人間そっくりのロボット作るぐらいだったら、すべての研究を死に物狂いで原発事故処理につぎこんでくれ、と思うのはうさぎだけか。
科学技術がお手上げなのに、未来の科学技術による解決を期待して原発を容認する人たちは、ひょっとして自分でトイレそうじをしたことがない人かもしれない。