天川荘の宿六の戯言

北信濃渋温泉から四季の味覚と風景をお届けします。

2022-10-03 19:32:02 | 日記
もう二週間以上の間、宿六の精神状態が悪いのだ
鬱状態で沈み込んだまま、明るい雰囲気になれないのだ

きっかけはある一本の電話で「○○ですが、実は昨日主人がなくなりました。」
衝撃が走った、頭が真っ白になってしまった
大事な人が別の世界に旅立ち、もう二度と会うことは叶わないのだ




宿六と同じ年の主人だ、気の合う人だった
人懐っこく、いつも目が笑っていた穏やかな性格で賢い人だった

翌日に、ご霊前に黒い水引のかかる封筒と、この土地の銘菓を送り気持ちを伝えた
次の日に奥様から電話があり、いろいろな話をしたが
実は肺がんだったこと、最後は頭に転移していたことなどを伺ったが
宿六「残念、悲しい、悔しい」の短い言葉しか思い浮かばなかった

前にお会いした時、病気のことは口にしなかったがどこか元気がないなと感じていた
あの時一度目の治療を終えて、緩解した状態で久しぶりの旅行だったそうで
まさかあの時が今生の別れになるとは思いもよらなかった

最期まで「天川荘に行きたい」とよく話していたそうだ、会いたかったな
もう二十数年も家族ぐるみで付き合いをさせていただいていたので
本当に身近な方だった、スキーを教えてあげたりハイキングのお供もして
自然観察のガイドもしてあげたが、何事も一生懸命で覚えが早かった

この夫婦には、三人のお嬢さんと十一人のお孫さんがいる
年賀状がわりに全員の集合写真をいただいたことがあるが、それは素晴らしかった

実は末っ子のお嬢様に、十二人目のお孫さんが宿っているとの事
その姿を見ることができないことは、無念であったろうと察しが付く
だがこの夫婦を頂点とする、世代交代のすそ野の広がりを見て人生まんざら捨てたものではないと感じたと思う
そう良い人生だったのだ、主人は高校で数学の教鞭をとり奥様は現役の大学教授
立派な教育者として生涯をささげた
奥様は経済的に困窮することはないと思うが、大きな支えを失ったことは確かだ

宿六電話で「今は葬儀を無事終わらせようと、気を張り詰めているけどすべての儀式が済んで、一人になったとき言い知れぬ寂しさ、悲しみ、不安に襲われると思いますその時は娘さんに声をかけて一緒にいていただくようお願いしてください。」とだけ話しておいた

来年になると思うが、少し落ち着きを取り戻したころを見図り訪問して仏壇にむかい手を合わせたい

誰もが最後にこの世と別れなければならないことは、この世に生まれ落ちた時からの、約束事ではあるが、やはり切ない

月並みだが、ご冥福をお祈り申し上げます











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