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補聴器に纏わる情報をお知らせします。

補聴器と人工内耳

2014-07-18 | 新着情報
済生会宇都宮病院耳鼻咽喉科診察科長 新田清一先生のセミナーをご紹介します。
その題は「補聴器と人工内耳は共存共栄しうるのか?」


人工内耳は誰でも手術出来るわけではなく、聴力が90dB以上の方が対象です。

下は語音明瞭度(弁別能)による言葉の理解の目安です。


聴力が90dB以上、明瞭度が20%以下で補聴器では余り効果が上がらない耳が対象になります。良い方の耳は手術をするよりも補聴器をそのまま使った方が良い(安全な)ようです。
 過去の実績では語音明瞭度は60%には届きませんでした。




人工内耳は補聴器より大幅に装用閾値があがり、



上の2例のように全く理解できなかった言葉を(今までより小さな声でも)理解できるようになります。




最近の人工内耳は悪かった耳に手術しても明瞭度が70%以上になりました。そのため良い耳に装けた補聴器と両耳で聞くことによって、大きく効果を上げることができます。


最近は両耳人工内耳という人もいるようですが、使えなかった耳に人工内耳を(特に高音を聞きとり)、聞こえていた耳に補聴器(主に低音を聞く)をコラボして使うと(両耳で聞く効果もあり)聞き取りが向上するようです。




耳かけ型補聴器のようなプロセッサーで音を拾い、コード化して、頭皮に埋め込んだインプラントへ電気信号を送ります。

以前は人工内耳の電極(以前6極だったが最近は22極まで増えてきている)を蝸牛に穴をあけて挿入したそうですが、最近は前庭窓(アブミ骨が蝸牛に音を伝える入り口)から入れるので以前より手術が簡単になったようです。


母音のフォルマントの特徴をとらえてアナログ→デジタル変換して伝える方式もあります。




始めは聞き取れない言葉でも、何度も聞いたり、単語を覚えていくと徐々に聞き取れるようになっていきます。人間の脳は何歳になってもトレーニングで効果を上げることが出るのです。




手術は思ったより安くできそうです。

医療は何事もそうですが、本人が治したいと強く思うことが先ず第一に重要なことです。