新着情報

補聴器に纏わる情報をお知らせします。

人工内耳

2011-05-30 | 新着情報
 新着とは言えませんがビデオテープを処分するために整理していたら、人体の神秘?という内容のNHK特集が見つかりました。医療と科学との合体に依る治療や機能回復のレメ[ト番組です。

 人工内耳の例もありましたのでお知らせします。
耳の後ろにある補聴器の様なものは人工内耳のプロセッサーで、ここから音を拾い電気信号に変えて埋め込み接続部分(上の丸い部分、磁石で接触している)へ信号を送ります。(イヤモールドはプロセッサを固定しているだけ)



 頭皮の下には受信部がありその先端が内耳の蝸牛にまで伸びています。





 蝸牛内に挿入される電極は現在24チャンネルで蝸牛の回転(2回転半)に沿って入っています。



 現在の補聴器は30チャンネル以上はあるので今後は更に電極の数は増えそうです。



 手術後音入れの訓練を行い、会話や電話、音楽まで楽しめるようになります。



この手術は片耳であれば健康保険の対象となりますが、手術前に適応するかどうかの検査などがあります。日本では2歳以上(?)から受けられますので言語の獲得のためには早い時期が良いと思います。

関東支部勉強会

2011-05-20 | 新着情報
 4月にありました販売店協会関東支部での杉内先生の講演内容の一部を掲載します。

『補聴器と聴覚管理 』 杉内智子 関東労災病院 感覚器センター医長



●補聴器の管理   聴覚障害本人の立場から
毎日の補聴器の点検・聴取
特に小児は、母親・教育者の管理が重要
  医療と補聴の立場から
かかりつけ医、補聴器担当者(教師、ST,補聴器技能者、医師)の指導
定期的な点検
・特性表、および点検、修理内容の記録(本人または母親にも)

● 聴覚障害をめぐる動向
1.難聴の早期発見
  ・新生児聴覚スクリーニング⇒早期・軽度からの発見
2.難聴の原因解明の進歩
  ・遺伝子検索、感染症との関連
  ・原因によって異なる聴取状態の経過
  ・難聴経過に対する予防と対応
3.長寿社会
  ・老人性難聴の急増
  ・長期となった補聴器使用期間



4.補聴の進歩
   ・補聴器(デジタル補聴器、オープン装用、通信機能・・)
   ・人工内耳(手術の低年齢化、両耳装用の試み・・)
5.補聴器供給の改革
   ・相談医、言語聴覚士、補聴器認定技能士
6.聴覚障害者のバリアフリー
   ・手話
   ・公共施設への音響設備


● 主に伝音成分の聴力低下
非炎症性
   耳垢栓塞
   外傷性の外耳道狭窄、鼓膜穿孔、耳小骨離断、耳硬化症
炎症性伝音難聴
   急性限局性外耳道炎、炎症による外耳道炎
   鼓膜炎 中耳炎(急性、慢性、真珠腫性、滲出性、気圧性)
治療:投薬、処置、手術など、確立された治療方法がある
経過:ほぼ良好 中耳炎は聴改善が困難なことがある







※ 感音難聴の経過から °}性(単発性、反復・変動) 進行 固定―

急性発症
   突発性難聴 急性低音障害型感音難聴
   メニエール病 音響外傷 薬剤性 頭部外傷
   側頭骨骨折 流行性耳下腺炎 ラムゼイハント症候群
   外リンパろう 髄膜炎





急性発症・反復変動して進行の可能性のあるもの
     蝸牛型メニエール病/メニエール病
     遅発性内リンパ水腫 ステロイド依存性難聴
     自己免疫疾患に伴う難聴 前庭水管拡大症



難聴が進行するもの
   特発性難聴 一部の遺伝性難聴 騒音性難聴
   老人性難聴 聴神経腫瘍 auditory neuropathy
   一部の薬剤性難聴 内耳梅毒
   先天性横隔膜ヘルニア Wegener肉芽腫
聴神経腫瘍および内耳梅毒による難聴は、急性発症、再発・変動、緩除進行さまざま


進行する感音難聴   =@特発性両側性感音難聴 遺伝性難聴 

● 特発性両側性感音難聴
診断基準
① 進行性であること
② 原因不明であること
③ 両側性であること
20歳以下の若年群と30-40歳代を中心とした中壮年群
原因は不明
急速進行の反復、緩徐進行 聴力進行は年1dB~10dB程度まででさまざま
急性進行時の積極的な治療が重要

● 遺伝性難聴
先天性難聴の約50%は遺伝性難聴とされている
今後の聴力変動の見通しを得ることができる
他疾患との関連が判明することがある
難聴の発症契機を避けたり、難聴を予防できる可能性がある
補聴器の設定などにも反映できる場合がある

● 騒音(音響)による聴覚障害の概要
暴走族の爆音、ディスコやクラブの音量などは楽しんでいる人には騒音とはならない
強大音⇒鼓膜振動⇒内耳液の波動⇒脳血管の動脈硬化、先進的なストレスなどが影響する

● 騒音性難聴
   1.(急性)音響外傷  ⇒ 早期治療
     予期しない爆発音などで一瞬で発症する難聴
   2.急性音響性聴器障害(ロック難聴) 回避 ⇒ 早期治療
     ヘッドフォン難聴 ディスコ難聴 ロックコンサート難聴
   3.慢性音響性聴器障害  ⇒ 法的保護・予防
     銅鍛冶など古くから記録のある長期間を経た、いわゆる職業性難聴
      騒音レベルによる許容基準(-3dB/倍時間) 


    
● 急性音響外傷
    ロックコンサートでスピーカーの前で、突然に音圧が強くなった
    爆秩@    : 170dB SPL
    おもちゃの銃 : 155dB SPL
    アラーム音 (携帯電話など)
    雷 :音響だけではなく、通電、爆風など
    エアバック : 150~70dB

● 射撃による急性音響性難聴障害
    射撃音の発生を意識して聴く場合が多い
    急性音響性聴器障害となる
    クレー射撃、運動競技のスタータ
    ライフルや銃の射撃音

● ロック難聴 (急性音響性聴器障害)
    ャsュラー音楽やクラシック音楽。聞きやすい音量が中心 :40~70dB
    ロック音楽
    ホールの密閉空間が共振する可能性。音響技術の進歩が音の再生や増幅を高度化し、
生演奏ではとても想像できない強烈な音が出力できるようになった。個人差がある。
    始めての時ではなく何度も聴いているうちに、突然難聴が生じることが多い。
    飲酒、不眠、過労が引き金となりやすい。
    自覚に乏しい
    早期治療が奏功する




※ 進行する感音難聴  老人性難聴 (加齢性難聴)

● 老人性難聴 (Presbyakusis)
    老人性難聴
     両側耳にほぼ対象に生じる、老化に伴う進行的な難聴
     加齢による難聴は誰にも訪れる運命である ⇒ 加齢性難聴(Age-related hearing loss)
    加齢によってなぜ難聴になるのか詳しい機序は未だに解明されていない

● 老人性難聴の成因について
    病因的には多因子疾患
    内因、外因の個人差が加齢に伴う聴力変化の個人差に反映されている
1.遺伝子解析の一例
      動脈硬化、肥満に関連する遺伝子多型
    2.注目されている遺伝子外因子
      騒音、喫煙、動脈硬化、糖尿病、虚血性心疾患、腎疾患
      (高血圧、ストレス、環境化学物質、高脂肪食)

● 聴力低下を疑ったら
     早期のかかりつけ耳鼻咽喉科に相談・受診
     状況によっては救急外来の受診
     本人への問いかけと状況整理
        きこえ、耳鳴り、ふらつく感じ、耳の変な感じ
        耳の痛み、咽喉の痛み、鼻汁過多、耳下腺の腫れ、頭痛
        外傷、大音響、補聴器の修理・点検歴
     補聴器の点検
     受診までに
        安静、補聴器の休止、聴力検査データの確認

● 聴力低下の治療の実際
   突発性難聴に準じた治療
     薬剤投与  ステロイド剤 循環改善財 抗ウイルス剤 ビタミン剤 など
     星状神経節ブロック
     高圧酸素療法
     全身・聴覚・精神の安静