心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

秋田焼山 玉川温泉から後生掛温泉への縦走

2016年10月04日 | 東北の山


秋田焼山(1,366m)

 昭文社『山と高原地図 岩手山・八幡平』を広げると、左上の方に(秋田)焼山という山があり、玉川温泉からこの山を通って後生掛温泉へつながる登山道が書かれています。地図に解説のページはないものの、2つの温泉を結んで歩くというだけで、とても興味があります。秋田焼山は今も活発な活動を続けている火山ということで、これも興味があります。

 八幡平を歩いた日はバスで移動し、玉川温泉の近くに建つ「新玉川温泉」に泊まりました。東北新幹線に乗ると、座席の背に挟まれている広報誌「トランヴェール」を必ず読みますが、その2016年6月号で紹介されていて、一度泊まりたいと思っていました。
 新玉川温泉はお隣の玉川温泉と共に、Ph1.2(!)という強酸性の温泉として知られています。温泉には、なんだか分からないけれど気持ちいいみたいな、ファジーな部分があるものだと思います。しかし、ここ新玉川温泉の湯が日本で一番強酸性の温泉であることは確実です。何の曖昧さもありません。無駄という無駄がそぎ落とされ、明日の朝には人生で最も清められた状態になっているのに違いないのです。主成分が塩酸だと聞くと、とてもリアルさが感じられるではありませんか。肌触りのなめらかな温泉につかりながら、将来(といっても一週間後くらいの近い将来)どんな効能が現れるのか楽しみになるという不思議な温泉でした。

 
 翌日は玉川温泉から歩き始めました。あちこちから噴気が噴出しています。この場所では岩盤浴ができ、皆さん思い思いの場所にゴザを敷いて横になっています。地獄絵図のような場所で、これまた不思議な光景でした。小さなビーチパラソルすら広がっていました。


 しばらく歩くと、いったん普通の東北の山に戻ります。ブナの森が立派でした。標高を上げていくにつれて、普通のブナ→紅葉したブナ→オオシラビソ の順に樹が変わっていき、最後に森林限界を越えました。


 頂上は、表札のようなサイズの白い板に「焼山」と書かれていて、そのほかは三角点しかない、あっけない場所でした。しかし、ここから名残峠まで下ると、大きく崩壊した崖、白く濁った水面の湯沼が見えます。湯沼の水面は不規則に波打って、ただならぬ火山のパワーを感じます。ゴボゴボという音まで聞こえてくるようです。迫力ある活火山の風景でした。


 天気は今一つでしたが、ここから毛せん峠を経て後生掛温泉までの縦走も愉しかったです。「馬で来て 足駄で帰る 後生掛」とうたわれる温泉を、一度ゆっくり味わってみたいものです。



 (登頂:2016年9月下旬)



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