心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

南アルプス・甲斐駒ヶ岳(1)

2020年04月27日 | 中央アルプス・南アルプス


甲斐駒ヶ岳(2,967m)


 『時刻表完全復刻版 1964年9月号』(JTBパブリッシング)の、信越本線のページを見ていると、いろいろな名称の特急列車、急行列車が載っています。特急・急行のほかに、「準急」もあります。国鉄の準急が急行に統合されて、廃止されたのは1968年でした。今の「あさまxx号」と違い、急行列車の名前が「第4信州」「第2志賀」のようになっているのも新鮮です。
 当時、長野駅を発車するただ一往復の特急列車だった「白鳥」の1行横に、17:12発の準急「甲斐駒」が載っています。信越本線と甲斐駒ヶ岳は関係なさそうと思ったら、この列車は長野から小諸まで信越本線を走り、そこから小海線・中央本線を経由する甲府行き(21:33着)という列車でした。
 名前は「甲斐駒」でも、甲斐駒ヶ岳が見える場所を走る頃には、もう夜になっていたことでしょう(ちなみに反対方向の列車は甲府7:22発→長野11:29着でした)

 登ったことのない山に、姿を見て憧れる山と見たことのない姿に憧れる山の二種類があるとするなら、甲斐駒ヶ岳は断然前者の山でした。
 甲斐駒ヶ岳は、車窓から何回見ても、見慣れた気持ちにならない山です。
 南アルプスの他の山から眺める甲斐駒の姿も素晴らしいですが、その迫力は麓から見上げた時にこそ最大限に表されるのです。
 
 「~ 東京から山の国甲斐を貫いて信州に行く中央線。私たち山岳宗徒にとって最も親しみ深いこの線路は、一たん甲府盆地に馳せ下った後、今度は釜無川の谷を左手に見おろしながら、信州の方へ喘ぎながら上って行く。さっきまで遠かった南アルプスが、今やすぐ車窓の外に迫ってくる。甲斐駒ヶ岳の金字塔が、怪異な岩峰摩利支天を片翼にして、私たちの眼をおどろかすのもその時である。汽車旅行でこれほど私たちに肉薄してくる山もないだろう。釜無川を距てて仰ぐその山は、河床から一気に二千数百米も突きあげているのである。 ~」(深田久弥『日本百名山』(新潮社版))


 登山道には、黒戸尾根を登るルートと、北沢峠から登るルートがあります。
 このうち黒戸尾根ルートは、北アルプス・烏帽子岳のブナ立尾根、谷川岳の西黒尾根とともに、「日本三大急登」の一つとして知られています。
 甲斐駒ヶ岳に登るなら、是非この黒戸尾根から登ってみたいと思っていました。
 体育の日の連休に、小淵沢駅からタクシーで登山口の竹宇駒ヶ岳神社に向かいました。
 駅を出発すると、車は釜無川に向かってどんどん下って行きます。これから高い山に登るのに、そんなに下らないでくれという気持ちになります。登山口は小淵沢駅より100mほど低い場所にありました。
 「名水百選 白州・尾白川」という看板の出ている、「定員5名」の吊り橋を渡ります。水面を見下ろすと川底の様子がすべて分かり、吊り橋の橋桁と、川の写真を撮ろうとしている自分の姿がはっきり映っていました。
 
 

 (登頂:2013年10月中旬) (つづく) 



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