両神山(1,723m)
「 八日見山、竜神山とも呼ばれる両神山の山名については、木暮理太郎氏がすでに綿密な山名考証(『山の憶ひ出』「両神山」の項)をされておられるが、それによると八日見山が最も古い呼称であり、ヨ(ヤ)ウカミはヤオガミから転訛したもの。ヤは「八」の意、オガミは「大蛇」を意味し、八つの頭を持つ竜王のことで、それは「竜頭大明神を祭神」とするこの山の古い縁起とも一致するという。 」
(浅野孝一・打田鍈一・楠目高明・横山厚夫著『関東百山』(実業之日本社))
埼玉県には、両神山よりさらに高い甲武信ヶ岳や雲取山もありますが、どちらも頂上は他の都県との境になっています。それに対して、両神山はすべてが埼玉県の中にあります。
何といっても形に特徴があります。ギザギザの稜線を、遠くまでこれでもかと見せつけているのは、他の山では考えられません。両神山は、百獣の王ならぬ秩父の王です。
新潟行きの上越新幹線が大宮を出発すると、進行方向の左側に、すぐ両神山を見つけることができます。秩父の山に登ったら、まず探すのも両神山です。ギザギザが何個あるのかを数えたことはないですが、「八つの頭を持つ竜王」というのは両神山にピッタリです。「~ それはどんな山岳重畳の中にあっても、一と目ですぐそれとわかる強烈な個性を具えている。 ~」(深田久弥『日本百名山』(新潮社版))
白井差新道から頂上を目指しました。私有地を通る登山道で、歩くには事前予約と1人1,000円の入山料が必要です。一日に歩く人数が管理されていて、混雑することなく落ち着いて登ることができます。
ギザギザの岩峰というイメージはすぐに覆されます。水量豊かな滝が現れた後は沢沿いの道、沢から離れても青々とした樹林の道です。急坂はなく、順調に標高を稼げて歩きやすいコースでした。
頂上直前で、もう一つの登山道・日向大谷コースと合流し鎖場があります。鎖は使わなくても上がれます。雲に覆われ、山頂からの眺望はありませんでした。
ここでオーナーの山中氏と出会い、帰りはほとんどの時間一緒に下山しました。途中の「水晶坂」では、水晶の欠片を削り取って見せてもらいました。
両神山の岩石は主にチャートです。参考書のような名前の岩はとても硬く、火打ち石として使われていました。ギザギザの稜線はこの鉄よりも硬い岩石でできているのです。
遠くから眺めると険しい岩の山ですが、歩けば穏やかな緑の山でした。
この日は国民宿舎の両神荘で泊まりました。夜になると、たくさんの蛍を見ることができました。翌日は雨で、近くの花しょうぶ園でしょうぶやアジサイを楽しみました。
(登頂:2012年6月下旬)
今、アメリカの北部で埼玉の山奥を見て、
懐かしさで胸がつぶれる感じです。
ゆっくり他の記事も全部読みますね。
ありがとうございました。