明鏡   

鏡のごとく

暗渠

2020-12-13 18:27:09 | 詩小説
暗渠の溝を掘ったのは、大雨の後だった。
あんまりに雨が降りすぎて、玄関まで庭の池の水が流れてきそうであったから、玄関前の犬走りの一歩前に溝を掘ってパイプに穴を無数に開けた暗渠を横たえたのだ。
黒い竜のように無数の穴がどこか鱗のような暗渠は、溝の中でおとなしく眠っていた。
あれからずいぶん時が経っていた。
今日、眠りから目覚めたように、池の水を流してくれるために、つなぎつなぎして、くの字になりながら、そこにあった。
暗渠の下に、寝床のような、あぜみちシートを敷き、水がより、暗渠を伝わり流れるようにした。
これで、龍神さまも怒りを鎮め、安らかにお眠りくださることを願っていた。


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