学生時代も貧乏、貧乏。
おかずがないときに大家さんの畑からちょっと失敬してました。
アパートが田舎のほうにあり、近くの畑でとれた野菜を大家さんがアパートのちょっとしたスペースによくおいてくれてました。
やけどほうれん草や白菜のような菜っ葉類じゃ、腹のふくれ方も物足りん。
青虫じゃないんやから。
我慢できんので数人の先輩とビニールの袋を持って出掛けました。
雨降りのあと。
畑の土もやわらかい。
綺麗に並んだ大根の行列の中から大きそうなものを選ばなあかん。
ゆさゆさゆすって手ごたえをみて……、『ポン』と引き抜く。
「でけえ。当たりや。」
「あかん。短いで…。」
そんなことを言いながら必要な分を数本失敬しました。
抜くと間隔があいてますんで、左右のやつも抜いてもう一度植えなおし、間隔を整える。
これがまた不自然やったんやろねえ。
数日後ちょっとしたスペースに大根が並んでました。
大家さんも気づいたんやろね。その不自然さを。
大家さん、ありがとうございます。
こうして今、告白できるのも大家さんのおかげです。
そしてごめんなさい。
失敬した大根は、とてもおいしゅうございました。