アカバネーゼのささやき

夫の裏切り!妻の仕返し!夫婦とは?自立に目覚めた私が起業するまで!

東京ラブストーリー

2006年06月18日 | Weblog
神さまはイジワルだ

大切に大切に育ててきた彼への気持ち

丁寧に丁寧に育てた小さな愛

決して無理はしなかったし、二人は決して走らなかった

強引なことはしなかったし、まるで中学生同士のような純愛だった

いい大人同士だったが、遠くからいつも見守っていた

「存在」することがお互いの幸せだった



いつもの仲良し友達とランチをしながら、笑いこけていた午後、夫のぼやき、子供の話、次のランチの場所・・・

平和な昼下がりに、とつぜん携帯がなった

絶対にメールしかしない彼だったのに、突然、彼からの直接の電話・・

何か、イヤな予感・・・


「もしもし?・・・」

「どうしたの?何かあったの?」

「・・僕、転勤になったんんだ」

「え?」

「今、辞令が出た。無意識にあかばねっちに電話した」

「どこに?」

「今月いっぱいで東京から関西の方に移動になった」

「え?なんて?」

「だから…転勤なんだ」

「どうして?N君なの?」

「行きたくないよ

「どうしてあなたが?」

「だって、僕は独身だし、転勤はどこでも受けます・・・って、希望を出してた」

「・・・」

「きみが東京にいるのに・・・」

「そうだよ、、私がいるのに・・・?」

「君がいてくれるから頑張れたのに…」

「私もあなたがいるから、ここまで頑張ってきたのに」


初めて、素直に二人の気持ちを声に出して言った


「ずっと一緒にいたいよ」

「私も離れたくない」


私は、友達のいる前で、ショックでご飯が食べられなくなってしまった

みんなは心配そうに私を見ている

「どうしたの?ご主人?何かあったの?」

「ううん、大丈夫」

「顔色悪いよ」

「・・・ごめん、帰る」

「何があったの?」

「仲良しの仕事仲間が転勤で…」

「もしかして、メールがたまにくる仲良しの男の子?」

「・・・うん」

「どうしたの?何で泣くの?」

「私、彼が好きかも」

「?!?!」


すぐに、店をあとにした

彼に電話をした

「ランチやめて帰ってきた。どこにいるの?」

「本社にいる。逢える?」

「行く、すぐにそっちに行くから」


もう、完全に自分の気持ちのバランスを崩していた

自分の気持ちが止められなくなっていた


本社ビルの1階のカフェで私は座っていた

近くには知っている上司

後方には前々回、一緒に仕事をしたアドバイザーのスタッフ


私たちは上司と部下なのに、一緒の仕事仲間なのに・・・二人の気持ちが意識しすぎて、一緒に座れない

私たちは二人のことを恋人同士だと思っていた

だから、申し合わせたように、一緒のテーブルに座れなかった

すました顔で一緒に隣に座ればよかったのだ・・・打ち合わせでしょ?


なのに、2メートルほど離れた席に彼はやってきて座った

悲しい目をしてこちらを向いている

私は彼の目を見たとたん、涙があふれてしまった


私たちに残された時間はあと15日・・・


2メートル離れた場所からメールが来た

「わざわざ来てくれてありがとう」

「当然でしょ?」

「ごめん、いきなり電話してしまって」

「大丈夫」

「一番に伝えたかったから」

「でも、いい伝言じゃなかったよ

「もう出よう?」

二人は同時に席を立ち、別々にレジに並んだ


正面の広い道まで二人別々に歩いた


ふいに彼がタクシーに手を上げた

彼が誘導し、私は黙ってタクシーのシートに座った

彼が横に座り、黙って私の手に、自分の手を重ねた


会社の前で誰かが二人に気が付いたかもしれない

でも、そんなことはどうでも良かった・・・



タクシーのラジオから古い曲が流れていた

口ずさめるが、何と言う曲だったっけ?


あっ「東京ラブストーリー」で流れていた曲だ・・







・・・つづく