「今年はキウイが4000個なるかもしれないなあ」
キウイ栽培指導のTさんが、出たばかりの新芽を見ながら呟いた。
昨年、エコプチテラス(以下エコプチ)では約80個のキウイがなったが、植樹から3年目を迎える今年は幹も充実し、いよいよ本格的な収穫の年を迎える。通常、キウイ成木は1本で500~600個の実をつける。そのうち半分を摘んで(摘果という)300個ほどにすると、スーパーで売っているような大粒の実が収穫できる。エコプチには22本のメスの木があるので、計算上は約7000個のキウイがなるわけだが、今年はまだそこまでいかないだろう。私の予測はTさんの半分、2000個とみている。
余談だが、そもそもエコプチに植えられた雌雄26本キウイは、収穫のために植えられたものではない。つる性の特色を生かして大きな葉を四方に広げて木陰を作ると同時に、葉の蒸散作用により気温を下げる『ヒートアイランド現象抑制効果』を狙ったものだ。ヒートアイランド抑制のための緑化は解決方法のひとつであるが、どうせ緑を植えるなら、成長が早く、世話が楽で、虫がつかず、自分たちも楽しめたほうがいい。という理由でキウイを選んだ。
『石の上にも3年』
植樹から3年目の今年、キウイは見事に茂って木陰を作り、たわわに実をつける、・・・あくまで予定であるが。
「さて、このキウイを使って何をしようか・・・」
今はまだ葉が出始めたばかりのキウイを見ながら、取らぬ狸の皮算用で、秋に向けた事業の戦略を練り始めた。
今年は、私たちにとって3つの意味で特別な年だ。ひとつめは3年前企画したとおり、ヒートアイランド対策とキウイの収穫が実現化すること(事業の完成)、2つめは京都議定書発効・愛地球博の開催と社会の環境への関心が高まる機運があること、3つめは8月24日につくばエクスプレスが開通し、歩いて3分のところに駅ができることだ。
この3要素をうまく組み合わせて事業を企画することはできないだろうか?
事業を企画する際、成功を高めるための情報分析方法としてSWOTという手法がある。
組織内部の強み(Strength)と弱み(Weakness)、外部環境のチャンス(Opportunity)と脅威(Threat)の4つに分類し、企画の方向性を分析する方法だ。SWOTはそれぞれの頭文字をとったものである。
SWOTはある程度企画がかたまった段階で、情報を整理し、第3者に説明するために使うと効果的である。SWOTを使って、「キウイ」をキーワードにわが組織の状況分類をすると・・・
1、組織の強み(S)
キウイが収穫できる(売るほどの品質ではないが収穫体験は可能)、キウイを商品(キウイパン)にするネットワークを持っている、現場を持っている、メディアや地元ネットワークを活用したPRが得意だ、現場を活用したイベント・講座ができる体制が整っている
2、組織の弱み(W)
現場はトイレがなく屋外なので天候に左右される、参加者個人(現場を持たない人)への行動提案ができていない、キウイ栽培をヒートアイランド抑制と結びつけるプレゼン力が弱い、組織の規模上リスクの少ない小規模な企画しかできない、外部からの参加者をコーディネートできる人材が限られている、「楽しい」ことを重要視するあまり、「環境」がどこかに飛んでしまう(これは強みかなあ?)
3、外部環境のチャンス(O)
つくばエクスプレスの開通によりアクセス状況UP、環境への関心の高まり、各自治体が具体的な対策を望んでいる、健康食&食育ブーム、昨年足立区は観測至上最高の42.7度を記録し、今年も東京は熱い(かも?)
4、外部環境の脅威(T)
拠点が区画整理事業用地なので、いつまで事業を継続できるか不明、したがって中・長期的な戦略が立てられない
といった分類ができる。強みやチャンスを活かした企画となると、
『つくばエクスプレスを活用して現場へ足を運んでもらい、キウイを味わってもらう』
ような事業が望ましい。しかも過去に実績があって、スタッフが動き方をわかっているもの。
以上のことを踏まえて、ざっと出てくる企画は・・・
●葉っぱ祭り8月7日(日):
葉っぱ(8月8日)にちなんで、夏の一番暑い時期にキウイ棚の下でヒートアイランド対策を実感するイベントの実施。
●秋の収穫祭およびキウイパン販売(11月中旬):
キウイ狩りに加えヤーコンなどの収穫体験とからめ、食育に関する講座を開催。『ヒートアイランド対策キウイパン』の現地販売(昨年の300個試験販売は成功)。
●リース作り体験教室(12月上旬):
講師を招いて、キウイのつるなどの植物を利用したリース作りを開催
●ホームページ上でのキウイを活用したヒートアイランド対策の特集ページの充実
●メディアへの取材依頼
・・・などなど。
こう書き出してみると過去の事業とそれほど変わり映えのないものだが、この程度の忙しさなら『想定内』である。得てしてこういう企画以外に、突発的なことが出てきて振り回されるものだ。
そもそも、もし本当にキウイが2000個実るなら、毎日何もせずぶらぶらするキウイを眺めては、ニヤニヤしていたいものである(これが結論ならSWOTなどいらなかったか)。
キウイ栽培指導のTさんが、出たばかりの新芽を見ながら呟いた。
昨年、エコプチテラス(以下エコプチ)では約80個のキウイがなったが、植樹から3年目を迎える今年は幹も充実し、いよいよ本格的な収穫の年を迎える。通常、キウイ成木は1本で500~600個の実をつける。そのうち半分を摘んで(摘果という)300個ほどにすると、スーパーで売っているような大粒の実が収穫できる。エコプチには22本のメスの木があるので、計算上は約7000個のキウイがなるわけだが、今年はまだそこまでいかないだろう。私の予測はTさんの半分、2000個とみている。
余談だが、そもそもエコプチに植えられた雌雄26本キウイは、収穫のために植えられたものではない。つる性の特色を生かして大きな葉を四方に広げて木陰を作ると同時に、葉の蒸散作用により気温を下げる『ヒートアイランド現象抑制効果』を狙ったものだ。ヒートアイランド抑制のための緑化は解決方法のひとつであるが、どうせ緑を植えるなら、成長が早く、世話が楽で、虫がつかず、自分たちも楽しめたほうがいい。という理由でキウイを選んだ。
『石の上にも3年』
植樹から3年目の今年、キウイは見事に茂って木陰を作り、たわわに実をつける、・・・あくまで予定であるが。
「さて、このキウイを使って何をしようか・・・」
今はまだ葉が出始めたばかりのキウイを見ながら、取らぬ狸の皮算用で、秋に向けた事業の戦略を練り始めた。
今年は、私たちにとって3つの意味で特別な年だ。ひとつめは3年前企画したとおり、ヒートアイランド対策とキウイの収穫が実現化すること(事業の完成)、2つめは京都議定書発効・愛地球博の開催と社会の環境への関心が高まる機運があること、3つめは8月24日につくばエクスプレスが開通し、歩いて3分のところに駅ができることだ。
この3要素をうまく組み合わせて事業を企画することはできないだろうか?
事業を企画する際、成功を高めるための情報分析方法としてSWOTという手法がある。
組織内部の強み(Strength)と弱み(Weakness)、外部環境のチャンス(Opportunity)と脅威(Threat)の4つに分類し、企画の方向性を分析する方法だ。SWOTはそれぞれの頭文字をとったものである。
SWOTはある程度企画がかたまった段階で、情報を整理し、第3者に説明するために使うと効果的である。SWOTを使って、「キウイ」をキーワードにわが組織の状況分類をすると・・・
1、組織の強み(S)
キウイが収穫できる(売るほどの品質ではないが収穫体験は可能)、キウイを商品(キウイパン)にするネットワークを持っている、現場を持っている、メディアや地元ネットワークを活用したPRが得意だ、現場を活用したイベント・講座ができる体制が整っている
2、組織の弱み(W)
現場はトイレがなく屋外なので天候に左右される、参加者個人(現場を持たない人)への行動提案ができていない、キウイ栽培をヒートアイランド抑制と結びつけるプレゼン力が弱い、組織の規模上リスクの少ない小規模な企画しかできない、外部からの参加者をコーディネートできる人材が限られている、「楽しい」ことを重要視するあまり、「環境」がどこかに飛んでしまう(これは強みかなあ?)
3、外部環境のチャンス(O)
つくばエクスプレスの開通によりアクセス状況UP、環境への関心の高まり、各自治体が具体的な対策を望んでいる、健康食&食育ブーム、昨年足立区は観測至上最高の42.7度を記録し、今年も東京は熱い(かも?)
4、外部環境の脅威(T)
拠点が区画整理事業用地なので、いつまで事業を継続できるか不明、したがって中・長期的な戦略が立てられない
といった分類ができる。強みやチャンスを活かした企画となると、
『つくばエクスプレスを活用して現場へ足を運んでもらい、キウイを味わってもらう』
ような事業が望ましい。しかも過去に実績があって、スタッフが動き方をわかっているもの。
以上のことを踏まえて、ざっと出てくる企画は・・・
●葉っぱ祭り8月7日(日):
葉っぱ(8月8日)にちなんで、夏の一番暑い時期にキウイ棚の下でヒートアイランド対策を実感するイベントの実施。
●秋の収穫祭およびキウイパン販売(11月中旬):
キウイ狩りに加えヤーコンなどの収穫体験とからめ、食育に関する講座を開催。『ヒートアイランド対策キウイパン』の現地販売(昨年の300個試験販売は成功)。
●リース作り体験教室(12月上旬):
講師を招いて、キウイのつるなどの植物を利用したリース作りを開催
●ホームページ上でのキウイを活用したヒートアイランド対策の特集ページの充実
●メディアへの取材依頼
・・・などなど。
こう書き出してみると過去の事業とそれほど変わり映えのないものだが、この程度の忙しさなら『想定内』である。得てしてこういう企画以外に、突発的なことが出てきて振り回されるものだ。
そもそも、もし本当にキウイが2000個実るなら、毎日何もせずぶらぶらするキウイを眺めては、ニヤニヤしていたいものである(これが結論ならSWOTなどいらなかったか)。