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シャルル ドルレアン

2010-02-28 13:06:24 | フランス詩 試訳

シャルル ドルレアンの詩を訳してみました。
春が訪れる頃になると読みたくなる詩です。


 シャルル・ドレルアンは、ヴァロア朝の分家に1394年に生まれました。1415年イギリスとの戦いで捕虜となり25年間捉われましたが、その後フランスに帰ることができ、1465年に没しています。その間、故郷を思い、詩を詠んでました。帰国してからはブロア城に暮らし詩作を続けました。

「ロンドー」というのは、詩の形を意味しています。この時代、詩にタイトルをつけることは珍しく、後の時代にこのように詩形をタイトルに代わるものとして用いています。詩形の「ロンドー」は、フランス伝統のダンスの楽曲に合わせた詩の形で、当時の歌謡詩の典型として、1行、8音綴で書かれています。
また、15世紀の詩ですから、綴りも現代のものと多少違っているところもあります。

太陽の輝き、金や銀、小動物の歌声、小川のせせらぎ、すべてが春の訪れをあふれんばかりの喜びを持って迎えています。冬から春へと季節の移ろいの一瞬の繊細さを見事に表現しています。

特に銀細工のしずくには、志貴皇子の和歌「石ばしる垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも」 を思い浮かべてしまいます。





ロンドー 

   シャルル・ドルレアン  
       

季節がコートを脱ぎ捨てた、
風と、寒さと、雨のコートを。
そして刺繍で飾ったコートを着た、
それは、まぶしく美しく輝く太陽の刺繍。

獣や鳥がいた。
それぞれの声で歌ったり叫んだりしている
季節がコートを脱ぎ捨てた。
風と、寒さと、雨のコートを。

川や泉やせせらぎが
お揃いの素敵な衣で
銀細工のしずくを運んでくる、
みんな、新しい衣に着替えている。
季節がコートを脱ぎ捨てた。


Rondeau

     Charles d’ORLEANS

Le temps a laissié son manteau
De vent, de froidure et de pluye,
Et s'est vestu de brouderie,
De soleil luyant, cler et beau.

Il n'y a beste, ne oyseau,
Qu'en son jargon ne chante ou crie
Le temps a laissié son manteau
De vent, de froidure et de pluye.

Riviere, fontaine et ruisseau
Portent, en livree jolie,
Gouttes d'argent, d'orfaverie ;
Chascun s'abille de nouveau
Le temps a laissié son manteau.


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