through the frozen window

ふさわしい言葉を探しているうちに、小さな羽音だけを残して、遠くへ。

灰色の眼

2004-11-08 | Weblog
すれ違いざま、肩をぶつけて人が歩き去る。
混ざりあう匂いに、嫌悪する。
澱みに射した棹。
流れる汚れがまとわりつく。
膜のように油の浮いた、上澄み。

目の前に立つ人の、眼の中を覗き込む。
濁った白い膜は、分厚く、鈍い。
その鉛色に自分が映る。
姿が溶けて大きく歪む。
内斜視。
滲んだ視線は、僕よりも手前にある。
焦点を結ぶことのない、僕を見てはいない眼。

いつの頃からか、身体の中に生まれた未熟な棘は、
気付くと育って、その先を鋭利な刃に変えている。
果実を剥くのと同じように、
自分の大切なものを守れるはずが、
他の誰かを充分に傷つける。
加害者。

4 コメント

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Unknown (よしのり)
2004-11-10 16:28:40
あなたの文章を読んでいると、優しさのあまり自分が持つほんの少しの凹凸をトゲと思って過度に梱包しているような気がしてしまいます。何事も反省すれば許される、とは思いませんが、許す寛大さも人には必要では?あなたの詩は言葉が美しい。だから、もっと前向きな明るいのも見てみたいです。おれのただのわがままですけど…。
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コメントありがとうございました。 (megumi)
2004-11-10 18:15:01
あなたの瞳に映った自分を覗き込む

それが

あなたの瞳に映る私の幻(すがた)

取り繕うように瞬きをする

一瞬でも、私の真実を見せたくて・・・



これからも、宜しくお願いします。
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よしのりさん、ありがとうございます。 (トモロヲ)
2004-11-10 21:06:43
コメントありがとうございます。

そうかも知れませんね。

過度に自分を隠そうとしているのかも。

僕が動く度に傷つけて来た人たちのことを思うと、

そうなってしまうのかも知れません。



他人を許すことはそれほど難しいことではない。

諦めたり、なだめたり、すればいい。

でも自分を、となると、

判ってしまうだけに、眼を瞑れない。

難しいです。



前向きの明るい文章が、

身体から滲み出すようになるのは、

いつのことなのだろう。

僕も描きたいと思っているのですが、

先に進まないんです。まだ。

まだまだ、時間がかかりそうです。

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megumiさん、ありがとうございました。 (トモロヲ)
2004-11-10 23:26:24
わざわざコメントありがとうございました。

もし気が向いたら、また立ち寄ってみて下さい。



あなたの真実を、

ひとときでも垣間見ることができるでしょうか。

取り繕うように、

まばたきする間に見逃さないように。

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