9V-SJF通信

航空関係を中心としたコラムです。

機内が外国語教室に?

2005-06-25 16:45:25 | 航空旅行
お久しぶりです。
ここ1ヵ月以上の間記事の投稿ができていませんでしたが、この間にいろいろなことがありました。ネタにしようと思ったニュースもいくつかありましたが、1度PCに向かうと数時間という時間がすぐに過ぎてしまい、なかなか記事投稿に着手できない状態でした。

さて、そんな中、何気なくWEBを見ていたところ、海外旅行者にとってなかなか興味深い記事がシンガポール航空(SQ)のプレスリリースに出ていました。SQが乗客に提供しているエンターテイメントシステムであるKrisWorldのコンテンツにベルリッツ社の外国語講座が提供される、というのです。詳細はSQの6/20付けプレスリリース「Learn A New Language With Singapore Airlines」を御覧戴きたいのですが、このプレスリリースによれば、このサービスは6月から実施され、対象の言語は英語、日本語も含めた11種類、今後は20種類までに拡大されるそうです。数字、日付、基本的な単語や会話等が取り上げられ、自己診断テストや発音練習までできるそうです。更におまけに、コースを終了するとEメールで終了証書が送られるという、本格的なもののようです。

本サービスは当初、A345が利用されるシンガポール-北米ノンストップ便(SQ20/19およびSQ22/21)で適用されていましたが、今ではWisemen3000と呼ばれるシステムが導入されている機体であれば利用可能だそうです。機内エンターテイメントプログラムに外国語講座を導入したのはSQが初めてだとか。

近年、SQ20を始めとする飛行時間17時間、18時間といった超長距離ノンストップ便の就航が続いていますが、大幅に延びた飛行中の時間をどう過ごすか、ということを考えても、この企画は面白いですし、非常に良いものだと思います。SQの機内サービス部門の副社長であるBetty Wong氏曰く、「(このサービスのおかげで)我が社の乗客は外国に行ってもジェスチャに頼ることはなくなった」そうですが、最大でも17、18時間(経由便であればもう少し時間は延びますが)という時間制約があり、外国語の習得は何度も練習し、良く使わないと身につかない部分はありますので、その次元まで至るかはともかくも、機内で目的地の言葉を少しでも覚える機会がある、しかも、発音練習付きで、というのはなかなか良いものです。私もそうですし、目的地の言葉に不慣れな方々もそうかと思いますが、この一言がわからなかったためにジェスチャをしたり、絵を頭や口が固まってしまうことはあるかと思います。

この記事を書くにあたり、検索サイトでいろいろと見ていたところ、同じことを考えておられるブロガーの方はいらっしゃったようで、著者であるjessi氏は「ゲームやショーを見た後で退屈するだけでなく、もっと生産的なことに飛行時間を使いたいね」と言っています。このプログラムの利用は有料かどうかは書いてありませんが、もしこれまでの機内エンタメ同様、これだけの内容が無料で利用できるとしたら、個人的には凄いなと思います。

少し考えてみれば、このようなコンテンツがあったらどうだろう、とは思いはしたかもしれませんが、ここまで本格的なものかどうかは別としても、SQが着手するまでは誰もやったことがなかったというのも不思議です。あったらいいとは思ったものの、本当に機内が外国語教室になるとは想像できなかったでしょう。私達はどうしても固定観念(この場合は機内エンタメというと、映画やゲーム、というイメージでしょうか)に縛られてしまいますが、ちょっとしたものでもこれは、と思ったものを採り入れたりする、これが新しいものを生み出す原動力になります。分かっていても、想像できなかったり、なかなかできない。だからこそ新しいものが出来たときは凄さを感じるのです。SQ20の時もそうでした。

もしSQのWisemen3000搭載機を利用する機会がございましたら、チェックしてみてはいかがでしょうか。

Eチケットの威力

2005-05-20 21:47:26 | 航空旅行
もともとの予定では、今頃北極越えの飛行機の中にいる予定でしたが、自宅にいる著者です。

実はGW明け後、NYへ旅行に行く計画でした。昨日が丁度出発日で、24日に戻ってくる予定でしたが、旅行直前に急に仕事が忙しくなり、調整がつかなくなったことに加え、思いっきり風邪をひいてしまい、今回は断念することになってしまいました。北極越え、というのは、私が搭乗を予定していたフライトが北極経由になるということがあるからです。

そうなると発生するのがキャンセル処理です。
今回は個人旅行で、旅行会社に航空券の手配をお願いしていましたが、航空券の発券形態がEチケットでした。そして、Eチケット控えは所定のWEBサイトにアクセスして、自分で印刷するという方法を取っていました。従来からの紙チケットの場合ですと、現物を旅行会社に返すことになりますが、この場合だとそもそも現物というものが存在しないので、旅行会社のコンピュータ処理をするだけで済むことになります。

ということは、折角手にしたチケットを返却する、ということがなくなります。以前の記事で、このところ急速に浸透するEチケットについて、一飛行機ファンの目から見て便利だけどさびしい、と書きましたが、今回のように、搭乗予定だったフライトをキャンセルせざるおうえない状態になったとき、手に入れたコレクションを手放す、ということがない、ということは、私にとって、精神衛生上も非常に好ましいなということを感じました(キャンセル料などの話は除く)。もし、このチケットが航空会社オリジナルデザインのチケットで、自分がそれを持っていなかったり、珍しいものだったり、気に入ったものだったりすると、旅行がキャンセルになったことに加え、入手したものを手放さなければならないということで精神的なダメージが増しますが、それがないだけ全然違います(紙チケットのチケットカバーを記念に取っておこうとは思わないだろう多くの方々にとっては、どうでもいいメリットなのかもしれませんが、私にとっては大きなメリットです)。印刷したEチケット控えはキャンセル処理で必要になることもない、とのこと。

また、そのチケットを返しに購入元である旅行会社や航空会社へ出向いたり、郵送で送り返したりする手間がなくなる、という実務上の手間も省けます。

今回の旅行では、航空券に関しては全面的にこのWEB印刷形式のEチケットで発券していました。
Eチケットを使った旅行は以前1回だけありますが、WEB印刷方式ではないですし、一部紙チケットの区間もありました。今回は全面Eチケットになる初めての旅行になる予定でした。よく言われるEチケットのメリットについては当ブログの過去記事や私のWEBサイトでも取り上げていますし、航空会社サイト、数多ある旅行サイトや指南書などでも頻繁に取り上げられていますので、ここでは省略しますが、今回のように万が一キャンセルになった場合にも、ファンにとってはこんなメリットがあったんですね。

今回のフライトは止むに止まれずキャンセルとなってしまいましたが、実際に発行してもらったEチケットを行使するのはまたの機会までお預けとなりますが、Eチケットの威力を実感させた出来事でした。紙チケットがなくなり、特徴あるデザインのチケットカバーが手に入りにくくなるのもさびしいけど、Eチケットの便利さと威力も捨てがたいなぁ、と感じるこの頃です。

VNの欧州便

2005-04-17 09:50:08 | 航空旅行
先日、格安太郎さんからトラックバックをいただきました。
ありがとうございました。> 格安太郎さん
格安太郎さんのブログでは格安航空券の諸事情について細かい説明がされており、なかなか興味深いです。トラックバックを戴いたのはこの記事ではないですが、今回紹介するのは同じブログ内にある別の記事です。

日本発欧州行きの航空券について、ツアー旅行、もしくはZONE PEX運賃では北回り(シベリアルート)を飛ぶ日系、もしくは欧州系の航空会社がメインなようでありますが、IT運賃、いわゆる格安航空券の世界ではアジア各都市を経由する、いわゆる南回りもメジャーであります(これから話をするのは、航空会社が指定され、かつ、日本から欧州まで通しで買える航空券の話である。また、自由にルートや航空会社選択のできるIATA PEXや普通運賃、各アライアンスで販売する世界一周航空券等は除く)。このような南回り便は経由地に拠点を置く、アジア系航空会社が運航していて、香港、シンガポール、バンコク、クアラルンプールなどが経由地(実際には拠点地で便を乗り換える)として知られています。アジア系航空会社が運航するこれらのフライトは、私達にリーズナブルな航空券を提供してくれる、日本発欧州便にはない、深夜運航便がある、といった点で私達の選択肢を増やし、大きな恩恵を与えてくれます。欧州に行かれた方で、これらの航空会社のお世話になられた方も多いと思います。

(注:ソウルを拠点とする大韓(KE)やアシアナ(OZ)もアジア系航空会社に含まれるが、IATAの運賃区分上は韓国経由の欧州行きは日本発欧州行きと同じ北回り(IATA区分ではTS:Trans Siberia呼ばれる)に含まれるので、この区分から除外した。)

ここ最近、かつてから知られていた都市の他に、新しい経由地がいくつか登場してきています。北京、上海と中国本土の都市も登場するようになりました。中国国際(CA)、中国東方(MU)の2社がフライトを提供しています。ですが、今回格安太郎さんのブログで紹介されていたのはベトナム航空(VN)の欧州便です。私自身、CAやMUの欧州行きがあるのは知っていましたが、VNは知りませんでした。

私自身、VNは知っていましたが、失礼ながら、欧州線に見られる長距離便を運航していることは全く知りませんでした。この記事を書くにあたって、ちょっと調べてみましたが、VNのルートマップを見ると
・フランクフルト(FRA)
・パリ(CDG)
・モスクワ(DME)
に就航しているのですね。

# 長距離という観点で見ると、VNは他にもシドニー、メルボルンにも就航しています。

VNの欧州便はB777を使用しています。777はご存知の通りエンジンが2つある双発機ですが、このところ日本発着のニューヨーク便など長距離フライトにも多く適用されるようになりました。SQ(シンガポール)がローマ線等、かつてA340-300を就航させていた路線に導入しているのもこの777です。私自身、乗り継ぎや経由も含め、ホーチミンもハノイも私は行ったことがないですし、VN自体にも搭乗したことはないですが、VNの欧州便はどんな味がするのでしょうか。
(もし、VN欧州便に搭乗したことがある方がいらっしゃったら、話を聞いてみたいものです。)

欧州線はホーチミン(SGN)とハノイから発着していますが、御参考までにここではホーチミン発着のパリ線とフランクフルト線を代表として紹介します(手もとにたまたまあったOAGで見てみました)。ホーチミン発に関しては、他のアジア各都市発のフライト同様、深夜発の夜這い便です。ご利用の際は、VNのWEBサイトや旅行会社等で実際のスケジュールを確認してくださいね。

パリ
VN533 SGNCDG 23:05 6:45+1 月、金、土(5/9までは水も)運航
VN532 CDGSGN 14:00 7:10+1 火、金、日(5/9までは木も)運航

フランクフルト
VN527 SGNFRA 0:35 10:40 日運航※
VN526 FRASGN 14:40 10:20+1 日運航※

※VN527/526はモスクワ経由
なぜか、いろいろなリソースで紹介されているVN527/526の格安航空券はモスクワまでですが;;;

日系航空会社 WEBサイトのこんなサービス

2005-04-16 19:10:00 | 航空旅行
別件で調べものをした後、ネットサーフィンをしていましたらこんなものを見つけました。
JALとANAの機内サービス紹介ページを見ていたところ、機内食メニュー検索ページを見つけました。これまで、機内食をはじめとする機内サービスを自社のWEBサイトで紹介する航空会社はあまたありますが、ここで注目なのは日系大手であるJAL,ANAのサイトでは一歩進んでいて、機内食メニューが検索できる、ということです。ファースト、ビジネスといった上位クラスだけでなく、エコノミーも対象なところがいいです。

私はかねてから「ありとあらゆる情報がネットで容易に入手できるようになった時代。自分が乗る便の機内食メニュー検索などありそうなものだが、時刻表検索はあっても、それが何でないのだろう?あれば、便利だろうね」と思っていました。私が探した限り、航空会社自らがやっている、このような検索サイトを見たことはありませんでしたが、私と同じことを考える航空会社はやはりあったようです。JAL、ANAは私がイメージしたものにほぼ近いものを用意してくださっています(搭乗月、出発地、目的地、搭乗クラスをキーにして検索する。便名キーでは検索できないが)。ちょっと試してみましたが、JALのサイトでは日本発便については画像で確認できるようになっており、どんな食事になるのかイメージが掴みやすくなっています(但し、2回食事サービスのあるフライトでは1回目の食事のみ)。更に、JALのサイトでは往路の検索を行った後、復路の機内食メニュー検索をしたい場合、再度フォームに検索キーを入れなおさなくても、ボタン1つで復路のメニュー表示ができ(ブラウザによってはできない場合あり)、なかなか細かいところにも気が使われています。

私は以前、米国内線で機内食サービスのあるフライト(エコノミークラス)に乗ることがありました。その便では食事があることは航空会社のWEBサイトで確認できたのですが、軽食なのか、それともしっかりとした食事なのか、全然イメージがつかめませんでした。日本の国内線ではエコノミークラスではとっくの昔に食事サービスはなくなりましたし、欧州では近距離については、国際線も食事だけでなく、ドリンクサービスも有償のこの頃です。私にとってはこのようなことが頭にありますから、米国内線で食事サービスはないだろう、と思いましたし、仮にあったとしても、どんなものかイメージが湧かなかったのです。その便はニューヨーク-ロスという大陸横断線で、飛行時間は約5時間あまりでした(ほぼ、東京-香港と同じくらいの飛行距離・時間)が、あくまでも国内線なために、全く想像がつかないのです。機内食サービスがあったとしても、サンドイッチにおつまみ程度の軽食か、それともメインディッシュがつくきちんとした食事かによって腹もちの具合は全然違ってきますし、その後の行動を考えると、事前にどの程度腹をすかせておくか、ということも変わってきます。そのためにも、機内食がどんなイメージなものかは知りたかったのです。ところが、このような情報は航空会社のWEBサイトに出ていなかったのを覚えています。このような場合、もし事前にどんな食事サービスがあるのかWEBサイトなり何なりで知ることができたら便利だな、と思います。

航空業に限らず、日本のサービス業はきめ細かいサービスを提供するということで知られていますが、機内食メニュー検索もまた、日本のそんなきめの細かいサービスが現れているのかもしれません。

もうすぐGWを迎えますが、もし日系航空会社で海外へ出かける予定がおありでしたら、試してみてはいかがでしょうか。JAL,ANAの機内食メニュー検索サイトは以下の方法でアクセス可能です。
JAL
トップページ→国際線→空港・チェックイン・機内サービス→「機内食検索」ボタン

ANA
トップページ→国際線トップ→サイトマップ→国際線サービスのご案内にある「国際線サービスサーチ」

航空と陸上交通機関の連携(CXとSNCFのコードシェア)

2005-04-09 23:49:32 | 航空旅行
皆さん、こん××は。9V-SJF通信をお届けします。
前の記事を投稿した3月から4月にかけていろいろなことがありましたが、なかなか手付かずにいました。気がつけば、トラックバックもいただきました。どうもありがとうございます。

先日、東京のCX(キャセイ航空)発券カウンタに行く用事がありまして、そのときに最新版の時刻表を戴きました。そこに出ていた案内ですが、3月の夏ダイヤから、フランス国鉄(SNCF)とのコードシェアを開始することになったそうです。同社のパリ線であるCX261/260の利用客はSNCFのTGV(フランス版新幹線)をCX便名で利用できるようになります。このサービス、シャルル・ドゴール(CDG)空港駅とリヨン、マルセイユ等フランスの7都市に適用されます。SNCFは以前から、このような航空会社とのコードシェアサービスを行っていたようですが、アジアのパートナーはCXが初めてとのことです。
(ちなみに言っておきますが、日本で売られている一般的な「格安航空券」では、相手が航空会社・鉄道会社といった区分を問わず、コードシェア便は使えないケースが殆どなので、ご注意ください(アジア系航空会社の欧州線では、まずそうだと思う)。)

鉄道が発達しているヨーロッパではこのような事例は珍しくなく、私の知っているケースではスイス(LX)とスイス国鉄、ルフトハンザ(LH)とDB(ドイツ国鉄)(DBとのコードシェアはANAもやっていたかも)があります。昨年、ドイツに行った時ICE(DB版新幹線)を利用しましたが、フランクフルト空港駅のプラットフォームにある発着案内板にはICEの列車番号だけでなく、飛行機のフライトナンバーと同じようなLH便名が掲げられていたのが印象的でした。(列車自体は当然、普通のICEと変わりないですが。)

日本はご存知の通り、欧州同様鉄道網、そして陸上交通機関の発達した国です。
新幹線、特急列車、ありとあらゆる鉄道網が各都市を結び、高速バスもまた、日本の各都市を結んでいます。私自身思うに、今まで、日本の交通機関は鉄道は鉄道、航空は航空、とそれぞれの世界で独自にやっていたような感がありますが、もし、欧州がやっているように、これらの陸上交通機関と航空が連携して新たなサービスを提供することができたら...日本に来てくださる外国人のお客様、そして地方各都市から国際空港を利用して海外へ旅立つ方々にとってなかなかいいサービスになるのではないか、と思います。言葉に不慣れな外国人の方々は、もし、自分の利用する日本線の航空会社がこのようなサービスを提供していたとすれば、出発地の空港で日本到着後の地上交通機関のチェックイン(!)ができることになり、CIQを済ませたら搭乗券なり切符を持って、安心して乗り場へ向かえばいいことになります。どうやって切符を買おうとか、そういったことに悩む必要がなくなるのではないかな、と思います。

また、国内の地上交通機関の切符を別途買わないですむ、ということだけでなく、航空だけだと便の運航が難しい時間帯(夜間など)や場所へのアクセスも容易になり、以前の記事で触れたような成田と関空の連携と似た話、結果的にその場所へ向かうための便数やバラエティを増やすことで、乗客の利便性が高まるのではという期待もあります。もし、夜間高速バスと航空会社が手を組んだとしたら、夜、日本に到着してコードシェア便の高速バスに乗り、翌朝目的地に着く、ということもできるかもしれません。

但し、前に触れたスイス、ドイツ、フランスといった国々では国際空港に直接TGVやICEなど、長距離列車が直接乗り入れているのに対し、日本の場合は路線網は多いものの、国際空港に直接長距離列車が乗り入れているケースがなく、空港から国内各都市へ行くには一旦ターミナル駅 (例えば、関東圏の場合は東京や上野など)に出て、そこから各都市行きの長距離列車やバスに乗る形になるので、欧州のような航空と地上交通機関とのコードシェアの効果は低いのかもしれません。そのことが、航空と地上交通機関のコードシェア連携を難しくしているのでは、と感じました。現状の状態では、空港とダウンタウンを結ぶ形になってしまいますから。航空と地上交通機関のコードシェア連携がうまく機能するかどうかは、このようなことが鍵になるのかもしれません。

CXとSNCFのコードシェアを知って、こんなことを考えてしまった私でした。

ご参考
CXとSNCFとのコードシェアについての詳細は、英語版のシステムタイムテーブルに記事があります。
(日本語版タイムテーブルには掲載がありません。)
インターネットではSNCF WEBサイトの下記プレスリリースにあります。SNCFのWEBサイトは英語版(日本語版はない)はありますが、プレスリリースはフランス語版しかありませんでした(すみません。フランス語がわからないので、私も詳細な内容はわかりません)。
Cathay Pacific, première compagnie asiatique à proposer des billets combiné tgvair

乗ったら、見よう

2005-03-21 14:08:19 | 航空旅行
先日、6J119の機内で急減圧を当ブログで取り上げ、そこで安全のしおりについて言及しましたが、航空ファンyasueさんのwebサイトにある掲示板で安全のしおりに関する投稿を見つけました。私達、旅客としても考えさせられることなので、ここに紹介します。詳しくはそのyasueさんの掲示板をご覧戴きたい(掲示板なので、時が経つとどこかに埋もれてしまうかも)のですが、
・安全のしおりを読む人が少ない、離陸前のデモも、旅慣れるに従い、見る人の割合が減少する
・救命胴衣の着用方法1つをとっても、何種類もある
・救命胴衣を搭載しない機材で、海上へ緊急脱出するにはどうするか
・救命胴衣を膨らまされるときの音は相当なもの
といった議論がされていました。

これまで私もいくつかの航空会社の飛行機に乗る機会がありましたが、この掲示板の指摘にあるように、基本的な部分「黄色くて、取っ手なりひもを引くと膨らむもの」という仕様はさほどかわりありませんが、着用後、それを身体に固定する方法は航空会社によって違いがあり、A社の仕様では左右の金具にかけて固定するものだったが、B社ではプラスチックの爪、C社は紐をしばる、いったように、ある会社で習得したものが必ずしも該当するとは限らない、というのが各社の安全のしおりを見比べたり、デモを見てわかったことです。この記事を投稿されたHALさんは紐でしばるタイプの救命胴衣を使用する航空会社だった場合、「えっ、金具は?どうやってとめるの?」とあわてたりしそうだ、という点を指摘されていますが、「自分は飛行機に乗りなれているしぃ、救命胴衣の着け方も知っているシィ」などと思っていると、盲点になりかねないです。安全のしおりを読む重要性はあちこちで言われていますし、6J119の記事で安全のしおりやデモを読んだり見たりした人とそうでない人では事故の負傷率に大きな差がある、という話を取り上げましたが、各社での救命胴衣の仕様の違いは、そのことを物語っています。

日本の航空会社ではどうだかわかりませんが、アメリカの国内線を利用する機会がありました。そのときは、救命胴衣は搭載されていなく、着水時は座席のクッションを取り外して抱きかえる、という形になっていました。

ここでは救命胴衣についての議論がされていますが、このことは救命胴衣に限った話ではなく、ドアの開け方、更には私が見たケースでは酸素マスクの着用方法まで、違いがある会社もあったような記憶があります。酸素を吸うのに、マスクを引っ張るのではなく、引き手があって、それを引っ張る、という仕様の会社もあったような覚えがあります。

この投稿を最初にされたHALさんは「皆様、乗ったら見よう、ですね」と問題提起をしていますが、まさにその通りだな、と感じさせられる記事でした。

# 救命胴衣を膨らませるシーンはテレビで見た覚えがありますが、ものすごい勢いだった記憶があります。もし、自分がそんな羽目になったら、ドキッとするだろうな...

Eチケットが常識になるのは時間の問題?!

2005-03-19 14:00:06 | 航空旅行
昨年の記事で世界中の航空会社でEチケットが広まっている話を書きました。その中で

近い将来、メジャーな航空会社の国際線の世界から紙の航空券がなくなる日はそう遠くないかもしれません。

と述べましたが、その日が現実になるのは時間の問題かもしれません。

この記事を書いた時点では現状、interline(複数の航空会社間)でのEチケット(IET:Interline E-Ticketing)はできない、と言いましたが、IET推進の動きは各アライアンスメンバ間を中心に行われていて、各アライアンスでは自分のアライアンスを利用するメリットの1つにEチケットが利用できることを挙げるようになってきています。そんな中、これらのアライアンスの1つであるoneworldが全メンバ間でのIET化を達成、今年4月から全メンバ間のIET発券ができるようになります。プレスリリースによると、全メンバ間のIETが可能になったアライアンスはoneworldが初めてだそうです。

なお完全IET化が達成されてもところによっては施設上、Eチケットが使えない空港もあります。oneworldメンバ各社はこれらの空港についても、Eチケットを扱うために必要な施設等の導入を進めるようにする、とのことです。

先日、旅行会社へ国際線航空券の問い合わせをする機会がありました(今回の対象は上記にあるIETではない)。某航空会社の航空券について、運賃を始めとするさまざまな予約・利用条件を聞いたのですが、その時に係員から言われたのが、「Eチケットで発券可能ですよ」ということでした。前からEチケットの強力な推進派で、それが常識みたいになっているアメリカの航空会社ならともかく、今までEチケットが使えるのは、PEX等の正規運賃での世界であって、IT運賃などの格安航空券は別、とばかり思っていました(私が問い合わせをした航空会社はアメリカの航空会社ではない)。Eチケットが広まっているとはわかっていても、いつかはそんな時代がやってくるとは思っても、格安航空券の世界にそれがやってくるのはまだまだ先のことだろう、というのが私の思っていたことでした。

実は以前、IT運賃の格安航空券を購入した時、「Eチケットで発行できるが、どうするか?」と言われたことがあります。しかし、私は敢えて紙チケットにしました。その旅行会社は航空会社系列だったので、その航空会社オリジナルデザインのチケットをもらえることが期待されたからです。Eチケットを望めばEチケットで発行してもらうこともできますが、私が航空券を買ったときはあくまで選択肢の1つだった訳です。アメリカの航空会社のように、紙チケットを選んだからといって手数料を取ることもありませんでした。

今回問い合わせた会社はその旅行会社、前の事例があるのでEチケットというオプションがあること自体にはさほどびっくりはしませんでした。「従来通りの紙チケットを選ぶこともできるのか?」と聞いたところ、係員は「(航空会社のメリットだけでなく、旅客にもメリットある)こんなに便利なものを敢えて使わないのはなぜか、ということで、もしかしたら手数料を請求されるかもしれない」とおっしゃっていました。手数料の額がいくらになるかは触れませんでしたが、話を聞く限りでは有無を言わさずEチケットになるような感じでした。

「なぜ、こんな便利なものを使わないのか」の質問に対しては「(航空券控えやチケットホルダーを)記念に取ってきたいから」と答えました。その後はちょこっと係員と雑談しましたが、今回問い合わせた航空会社のオリジナルデザイン・チケットは既に持っていましたし、今回利用を考えているこの旅行会社では航空会社オリジナルデザインのチケットにはなりそうもないな、と思ったこと、それにこんな私でもEチケットの便利さは認めますから、今回では特に紙チケットに固執する理由は何もないです。むしろ、どこにどうやって航空券を隠そうか、とか、フライト数が増えるにしたがって分厚くなっていく(最近の航空券はATBといわれる厚紙なので、1枚の券片自体が厚い)煩わしさから解放される、という面でメリットになると思っています。係員はEチケットを嫌がる私を不思議だと思ったのか、更に「紙じゃないと嫌なのか」と聞きました。「ケースバイケースだ」と答えましたが、ケースバイケースです。

特に、海外発券を考えた場合はそれは大きなメリットで、メール等で簡単に航空券控えを受け取れるので、航空券を送ってもらうとか、送料はいくらとか、いつ、どこで航空券を受け取る、といったことを考える必要がなくなります。私の知人に海外発券を良く利用する人がいますが、その人から最近もらったメールにEチケットで発券してもらった旨のことが書いてありました。私は海外の旅行会社や航空会社から直接、という形での海外発券はしたことがありませんが、Eチケットが使えれば、海外発券の敷居も今までより多少は低くなるのかな、などと期待しています。

このように私自身もEチケットは便利だとか、紙チケットではできなかったような選択の幅を広げてくれるのでは、とは感じていますが、ここ最近、私が見聞きしたり、経験したことを見ると、主要な航空会社から紙チケットがなくなる日はそう遠いことではないのでは、ということを感じます。以前はEチケットといっても、単なるオプションに過ぎなかった訳ですが、今後はEチケットが当り前、アメリカ以外の航空会社でも紙チケットの場合は手数料を取る、という時代はもうすぐ、という印象すら受けます。前述のoneworldの記事に、Eチケット化によって受ける航空会社側のコスト削減のIATA試算が出ていて、1チケット当たり8(米)ドルのコスト削減が可能とのこと。旅客にとってのメリットだけでなく、航空会社側でも大幅なコスト削減が可能になります。旅客にも航空会社にも実利的なメリットのあるこのシステムが標準になるのは時間の問題だろう、と感じるこの頃であります。

航空会社オリジナルのチケットカバーコレクションができるのもあと僅か、かもしれません。

参考
oneworldプレスリリース
oneworld is first alliance to enable passengers to fly across its entire network with only electronic tickets
(http://www.oneworld.com/pressroom/releases/details.cfm?ObjectID=4488)

キャセイ航空プレスリリース
(http://www.cathaypacific.com/intl/aboutus/press/0,3845,31342-116965,00.html)
上記oneworldのものと同じ内容ですが、oneworldメンバ各社でいつからIETが可能になったか、の表が出ています。

セントレアにCXの深夜便が帰ってきます!!!

2005-03-13 23:00:42 | 航空旅行
本日、別件で調べ物があってキャセイ航空(CX)日本支社のWEBサイトを見ていたところ、名古屋便増便のニュースを発見しました。名古屋線増便のニュースはCX日本支社のホームページにも一面で出ていて、

名古屋~香港線増便!
CX535便香港行き直行便です。
2005年4月3日より運航!

とあったので、CX535の詳細なスケジュールを見ようとプレスリリースを見たところ、なんと、昨年10月をもって運休になっていた日本発着の深夜便が場所を変え、名古屋で復活を遂げる、というありがたいニュースが掲載されていたのです!最初にこのニュースを見たときは目を疑ってしまい、本社ページでスケジュール検索までしてしまいました。CXのWEBサイトにあるプレスリリースは良く見ますが、本社サイトが中心だったために、このニュースには全然気づきませんでした。これは本当だったということがわかり、すばらしい!PCの前で思わずガッツポーズをしてしまいました。関空に就航していたCX2053/2052が運休になった理由が貨物需要の減少、Air Hong Kongの新フリート導入などではないか、と言われていただけに、いくらセントレアが24時間空港だとはいえども、まさかこのような形で(名古屋版)CX2053/2052が復活することになるとは全く予想していませんでした。私にとっては真に喜ばしいニュースです。

名古屋版CX2053/2052となるべき新便は夏ダイヤに改定される3/28から運航開始(当プレスリリースのメインになっているCX535(復路536)は4/3から)。新便には2057/2056というナンバーが割り当てられ、以下のスケジュールで運航されるそうです。座席予約やサービスなどはCX2053/2052などのような形態になるのでしょうか。このあたりについてはわかりませんが。
CX2057 NGO-HKG 22:15 1:20+1 月火水木
CX2056 HKG-NGO 3:30 8:25 火水木金

セントレアの記事でも24時間運航を生かした特色あるフライトがどんどん出てきてほしい、と書きましたが、今回就航するCX2057/2056はまさに、このセントレアの特色を生かしたフライトだといえるでしょう。このようなアジア近距離便の夜這い便が日本にできることは、名古屋とその周辺の人間だけでなく、考え方によってはその他の地域の方達にとってもプラスになるかと思います。
・空港から離れた地域に住む人にとっては、空港で前後泊しなくても目的地まで行くことができる
(但し、現地発着時刻についての問題はあるが、それがクリアできる人は強力な選択肢になる)
・到着地である(この場合は香港)からの乗り継ぎ便の選択肢が増えることによって、これまでは実現できなかったフライトスケジュールを選ぶことができるようになる
・夜中に移動することによって、時間を有効に使うことができ、宿泊費や時間を節約することができる
といったメリットが挙げられるでしょう。

私の個人的な面では、この新しいフライトに大きな可能性を感じています。私は関東の人間ですが、名古屋に移動する、ということが解決できれば、香港からの乗り継ぎ便と合わせて一気にフライトの選択肢を増やすことができるのでは、と思っています。CX2057/2056に期待します。

参考
・CX日本支社プレスリリース
「キャセイパシフィック航空名古屋/香港線を増便」
(http://www.cathaypacific.com/jp/aboutus/press/0,1951,46027-117848,00.html)
セントレア誕生
さようならCX2053/2052

NRTとKIXの連係

2005-03-05 22:36:25 | 航空旅行
以前、セントレアの記事を載せましたが、その記事を書くためにいろいろとネット検索をしていたところ、このようなブログを見つけました。

著者であるpp_703_world氏は空港に惹かれ、ゼミでの課題に空港を選んだとのことですが、その成果をブログに掲載しています。この中に「成田だけで24時間運航は難しい、でも、成田と関空が連係することで魅力が増すのではないか」との考察が出ています。私はこれは以前から同感に思っていたことであり、なかなか面白い話ですので紹介したいと思います。

詳細はpp_703_world氏のブログ記事「産業調査 最終回」を御覧戴きたいですが、氏はアジア方面は関空、欧州方面は成田といった具合に、各空港の地理的条件に合わせて役割分担をする、と述べています。私は、氏とは少し意味が違っていて、運航時間帯別にこのような連係ができないのかな、と思っています。

例えば、日本から欧州へ行く場合、朝、もしくは昼間に日本を発ち、夕方、もしくは夜、現地到着の便が圧倒的です。成田発ではエールフランス(AF)がパリ行きの夜這い便を出していますが、韓国を除くアジア各地では一般的になっている夜出発、朝到着の欧州便は日本ではこれだけになっています。アジア各地からのフライトの場合、夜の23時、24時発といったフライトが多くありますが、成田発の場合、門限の関係でこのような時間に出発できないことから、ものの本によればわざとゆっくりパリに行く、という話も読んだことがあります。夜這い便については賛否両論ありますが、「時間が節約できる」「現地の宿泊費が浮く」などの理由で夜這い便にはある程度の需要があると思われます。わざわざこの夜這い便を選ぶ方もおられるようですし、AFがこのフライトを存続させているのは、やはりそれだけの需要があるからでしょう。他社にない価値を提供している、ということで、AFにとってはメリットになっていると思います。

しかし、もし、成田、もしくは羽田と24時間空港である関空やセントレアが提携したらどうでしょうか。つまり、24時間運航できる空港が国内でのハブ空港になってみるのです。もし、関西やセントレアから深夜発・早朝着のフライトを飛ばし、そこへ全国各地のフライトが結ばれていたら、成田単独ではできなかったフライトスケジュールができることになります。夜這い便に限らず、ハブ空港経由も含めたパターンがあれば、乗客の選択肢が増えることになり、より多くの乗客の要望に答えることができるのではないかな、と感じています。朝や昼に日本を出るノンストップ便(とは限らないでしょうが)を利用したい人は成田や関空などから昼間出るフライトを利用する、夜這い便を利用したい人はハブ空港で乗り継ぐ、そこへ向かう経由便が実現できれば、24時間空港を経由して目的地へ向かう、というのもあるのではないか、と思います。

現状、このような動きがある話は聞いていないので、このプランは当分達成しそうもないですが、もし達成できたら、日本の空港はもっと魅力的になるのではないか。私は全くの素人ですが、そんなことを思いました。

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他人事ではないです

2005-02-26 19:16:59 | 航空旅行
皆さん、こんばんは。
今週はブログの更新予定はなかったのですが、急遽取り上げるネタがありますので、投稿いたします。

今週24日、スカイネットアジア航空(6J)の機内で急減圧が発生したとのニュースが入ってきました。詳細は新聞社などのサイトに記事があるかと思いますが、急減圧が起きたのは羽田から宮崎に向かっていた6J119便(ボーイング737)で、乗員乗客108名が搭乗していたそうです。6J119は和歌山県串本上空、高度10000mを飛行中にこのトラブルに巻き込まれました。同機は緊急降下、宮崎空港に到着しましたが、6J119の乗客1人が手足のしびれで病院に運ばれ、約10人が耳に若干の異常を感じたとのことです。私は会社の休み時間での同僚との雑談でこのニュースを知りました。この一件に巻き込まれた方々には心よりお見舞い申し上げます。

大気が薄く、外気温-50℃といった高度10000mの上空を飛んでいても乗員・乗客が地上にいる時と変わらない状態で呼吸ができ、活動できるのは与圧システムのおかげです。離陸前に行われる安全設備の説明で酸素マスクに関する説明が出てきますが、与圧システムが正常に動作しなくなったときに命綱となるのがこの酸素マスクです。通常は天井などに格納されていますが、減圧が発生して所定の高度以上の気圧まで下がると自動的に落下する仕組みになっています。

急減圧が発生すると圧力の違いのあるものは急激に外圧と等しくなろうとします。人間の体もその例外ではなく、体内の空気が一気に抜けようとするため、肺から空気が吐き出されたり耳に激痛が走ったりするそうです。風邪を引いたり、鼻がつまっているなどで耳抜きしづらい時に飛行機に乗ると離着陸時に耳が痛くなる、ということはよく報告がありますが、正常時でもこのようなことがあるのですから、急減圧時の耳の痛みは想像を絶しそうです。

元パイロットである内田モトキ氏が書いた「パイロット・イン・コマンド」という小説があります。この小説にも機内で急減圧が起こる場面が描かれていますが、内田氏は
・高高度で与圧が失われた場合、酸素マスクを着けられる乗客は過去の統計上は40%以下
・仮にマスクを着けられても、それまでに呼吸してしまった場合、酸素が少ない空気が肺から脳に到達する15秒後には意識を失う
(それ故に、酸素マスクのバンドを頭に回して固定することが大切になってくる)
ことを指摘しています。つまり、急減圧が発生した時は、意識がある状態はたった15秒しかないので、如何に早く酸素マスクをきちんと装着するかが重要な鍵になってくるということです。

離陸前の安全設備の説明ではもし、連れなどの酸素マスク装着の手助けをする場合は、まず自分がマスクを着けてから手助けをするよう説明があります。これは意識があるたった15秒の間にマスクを着けないと、自分だけでなく他人すら助けることができない、共倒れになる危険性が高いからです。酸素マスクの装着については離陸前に行われる安全設備の説明や、安全のしおり、もしくはsafety informationなどと呼ばれる説明書に書いてありますが、航空会社によっては安全のしおりの中で酸素マスク装着の制限時間を示しているものもあります。

減圧が起きた場合、酸素マスクなしでも呼吸ができる約3000mぐらいの高度まで降下することになります。なるべく早くその高度に達しなければならないため、地上に向かってまっさかさまの状態になるとのことです。

6J119でも酸素マスクが天井から降ってきて、所定の手続きに従って緊急降下となった訳ですが、飛行機を利用する者にとっては決して他人事ではないなと思います。自分が乗っている飛行機で万が一、減圧が起きて緊急降下となった場合、どんなことになるだろうか。考えたら、怖いです。冷静になって素早く、15秒以内に酸素マスクを装着できるか。私は幸いにも緊急事態に見舞われたことはありませんが、恐らく6J119の機内はパニックになったことが想像されそうです。

私は離陸時に行われる安全設備の説明は聞きますし、安全のしおりにも目を通すようにしていますが、前述「パイロット・イン・コマンド」にも安全のしおりの話が出ていて、安全のしおりを見る人の統計は5%しかいないそうです。しかし、事故が発生した場合、安全のしおりを読んだ人の負傷率は16%に対し、そうでない人は55%にまで跳ね上がるとのデータがあるとのことです。安全設備に関して関心を持つのと持たないのとで負傷率にこれだけの差があるのは大きな違いです。万が一、緊急事態が発生したときに身を救うのは冷静になることと正しい知識ですが、このようなデータを見るとそうだなということを感じます。

補足
個人的には「パイロット・イン・コマンド」はお勧めです。内容は航空ものの推理小説ですが、航空機の安全設備となぜ、それが必要なのかについての背景がところどころに散りばめられています。内田氏はあとがきで「機内の安全設備に無関心な人が多いが、シートベルトや非常口の確認だけで守れる安全も多い。それを多くの人に知ってもらいたい」とこの小説を書いた動機を記していますが、その言葉が反映されているなと思います。
それから、安全のしおりにも目を通すこともお忘れなく。