9V-SJF通信

航空関係を中心としたコラムです。

航空と陸上交通機関の連携(CXとSNCFのコードシェア)

2005-04-09 23:49:32 | 航空旅行
皆さん、こん××は。9V-SJF通信をお届けします。
前の記事を投稿した3月から4月にかけていろいろなことがありましたが、なかなか手付かずにいました。気がつけば、トラックバックもいただきました。どうもありがとうございます。

先日、東京のCX(キャセイ航空)発券カウンタに行く用事がありまして、そのときに最新版の時刻表を戴きました。そこに出ていた案内ですが、3月の夏ダイヤから、フランス国鉄(SNCF)とのコードシェアを開始することになったそうです。同社のパリ線であるCX261/260の利用客はSNCFのTGV(フランス版新幹線)をCX便名で利用できるようになります。このサービス、シャルル・ドゴール(CDG)空港駅とリヨン、マルセイユ等フランスの7都市に適用されます。SNCFは以前から、このような航空会社とのコードシェアサービスを行っていたようですが、アジアのパートナーはCXが初めてとのことです。
(ちなみに言っておきますが、日本で売られている一般的な「格安航空券」では、相手が航空会社・鉄道会社といった区分を問わず、コードシェア便は使えないケースが殆どなので、ご注意ください(アジア系航空会社の欧州線では、まずそうだと思う)。)

鉄道が発達しているヨーロッパではこのような事例は珍しくなく、私の知っているケースではスイス(LX)とスイス国鉄、ルフトハンザ(LH)とDB(ドイツ国鉄)(DBとのコードシェアはANAもやっていたかも)があります。昨年、ドイツに行った時ICE(DB版新幹線)を利用しましたが、フランクフルト空港駅のプラットフォームにある発着案内板にはICEの列車番号だけでなく、飛行機のフライトナンバーと同じようなLH便名が掲げられていたのが印象的でした。(列車自体は当然、普通のICEと変わりないですが。)

日本はご存知の通り、欧州同様鉄道網、そして陸上交通機関の発達した国です。
新幹線、特急列車、ありとあらゆる鉄道網が各都市を結び、高速バスもまた、日本の各都市を結んでいます。私自身思うに、今まで、日本の交通機関は鉄道は鉄道、航空は航空、とそれぞれの世界で独自にやっていたような感がありますが、もし、欧州がやっているように、これらの陸上交通機関と航空が連携して新たなサービスを提供することができたら...日本に来てくださる外国人のお客様、そして地方各都市から国際空港を利用して海外へ旅立つ方々にとってなかなかいいサービスになるのではないか、と思います。言葉に不慣れな外国人の方々は、もし、自分の利用する日本線の航空会社がこのようなサービスを提供していたとすれば、出発地の空港で日本到着後の地上交通機関のチェックイン(!)ができることになり、CIQを済ませたら搭乗券なり切符を持って、安心して乗り場へ向かえばいいことになります。どうやって切符を買おうとか、そういったことに悩む必要がなくなるのではないかな、と思います。

また、国内の地上交通機関の切符を別途買わないですむ、ということだけでなく、航空だけだと便の運航が難しい時間帯(夜間など)や場所へのアクセスも容易になり、以前の記事で触れたような成田と関空の連携と似た話、結果的にその場所へ向かうための便数やバラエティを増やすことで、乗客の利便性が高まるのではという期待もあります。もし、夜間高速バスと航空会社が手を組んだとしたら、夜、日本に到着してコードシェア便の高速バスに乗り、翌朝目的地に着く、ということもできるかもしれません。

但し、前に触れたスイス、ドイツ、フランスといった国々では国際空港に直接TGVやICEなど、長距離列車が直接乗り入れているのに対し、日本の場合は路線網は多いものの、国際空港に直接長距離列車が乗り入れているケースがなく、空港から国内各都市へ行くには一旦ターミナル駅 (例えば、関東圏の場合は東京や上野など)に出て、そこから各都市行きの長距離列車やバスに乗る形になるので、欧州のような航空と地上交通機関とのコードシェアの効果は低いのかもしれません。そのことが、航空と地上交通機関のコードシェア連携を難しくしているのでは、と感じました。現状の状態では、空港とダウンタウンを結ぶ形になってしまいますから。航空と地上交通機関のコードシェア連携がうまく機能するかどうかは、このようなことが鍵になるのかもしれません。

CXとSNCFのコードシェアを知って、こんなことを考えてしまった私でした。

ご参考
CXとSNCFとのコードシェアについての詳細は、英語版のシステムタイムテーブルに記事があります。
(日本語版タイムテーブルには掲載がありません。)
インターネットではSNCF WEBサイトの下記プレスリリースにあります。SNCFのWEBサイトは英語版(日本語版はない)はありますが、プレスリリースはフランス語版しかありませんでした(すみません。フランス語がわからないので、私も詳細な内容はわかりません)。
Cathay Pacific, première compagnie asiatique à proposer des billets combiné tgvair