情報と物質の科学哲学 情報と物質の関係から見える世界像

情報と物質の関係を分析し、波束の収縮問題、心身問題、クオリア、時間の謎に迫ります。情報と物質の科学哲学を提唱。

測定器の哲学: 仕組みによる情報の創発

2024-07-10 15:25:50 | 物理学・量子力学
創発という用語は様々な分野で使われています。
その定義も分野ごとに違うことが多いです。

Wikiにある創発の定義は次のものです。
”創発とは、部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れることである。”
普通見られる創発の定義はこのようなものです。

測定器による情報の創発については当ブログで度々説明してきました。
それは、以下のようなものです。

測定器の出力は単なる物質ではなく、測定値という情報を表現しています。
この事実は、測定器が測定値という情報を創発していることを証明しています。
ここで創発という用語を使う理由は測定値情報という概念が物理理論自体にはないからです。

測定値情報という概念は、測定者という人間の脳の中にあるのです。
測定値という概念は古典物理学以来のものなので物理学者にとって空気のような存在であり、それが恰も物理的実在であるかのように錯覚しているのです。
しかし、測定値は物質概念ではなく情報概念なので物理理論にはありません。

なお、物理理論には情報に関連する用語としてエントロピーがありますが、これは分子の統計分布を表すものです。

測定器による測定値情報は測定器の仕組みにより創発されるものなので、Wikiにあるような部分と全体の関係による定義とは全く異質なものです。

量子力学における難問としてシュレーディンガーの猫に関する観測問題があります。
この問題の議論においては観測器(測定器)が観測結果という情報を創発している事実を無視しています。
この事実こそが観測問題の最大の欠陥なのです。




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