goo blog サービス終了のお知らせ 

大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆年金記録原簿の正確さよりマイナンバー?

2019年01月31日 10時26分44秒 | 公的年金等
今日は、基礎年金番号の大切さをお話しましょう。

公的年金では、年金加入日や加入期間、保険料の納付状況などが「年金原簿」
に記録されています。この年金原簿は、将来、私たちが年金を受給するときの
根拠となる記録です。
そのため、国(厚生労働大臣)は、年金原簿を記録しなければなりません(国年法14条、厚年法28条)。

年金原簿には、どのようなことが書かれているのでしょうか。

■年金原簿に記録されている内容
<厚生年金保険>(法28条、法施行規則89条)
1、氏名
2、資格の取得及び喪失の年月日
3、標準報酬月額及び標準賞与額
4、基礎年金番号
5、生年月日、住所
3、被保険者の種別及び基金の加入員であるかないかの区別
4、勤務先名称
5、基金加入員である時の基金の名称
6、保険給付に関する事項

<国民年金>(法14条、法施行規則15条)
1、氏名、性別、住所
2、資格の取得及び喪失の年月日
3、種別の変更
4、保険料の納付状況
5、基礎年金番号
6、給付に関する事項
7、保険料免除に関する事項
8、基金の加入員であるときは加入年月日

■基礎年金番号よりマイナンバーを書かせたい?
厚生年金保険の資格取得届には、これまでは、「基礎年金番号」を書くことになっていましたが、
現在は、「マイナンバー」又は「基礎年金番号」を書かせる様式に変更されています。

記載欄には、「マイナンバー又は(極小さく)基礎年金番号」となっていますので、
無意識のうちに、基礎年金番号を書かず、マイナンバーを書いてしまいそうです。

覚えていますか? かつて、国民全員に付された「住基番号」。
でも、まったく使われず廃れてしまいました。
今度こそ、マイナンバーでは失敗したくない。国民に書かせましょうとばかりに、
無駄に、ほとんど使われない雇用保険でも、また年金でも、手続の際に書かされています。

年金分野では、マイナンバーで「住民票」の添付が不要になる効果があるようです。
ただし、私自身は、自身の年金請求の際に、戸籍謄本と住民票を提出しましたが、
大事な自身の年金を間違いなく受給するためと思えば、何の不便も感じませんでした。
むしろ、他人のなりすましを防ぐことができる最大の防御だと安心して手続きができました。

不特定多数の人に自分のマイナンバーを開示するリスクよりも、
住民票を提出する方がよっぽど安心だと思います。皆さんは、どう思われますか?

いち早く国民総背番号制を導入した米国や韓国では、
なりすましにより、年金を他人に奪われた被害が問題になっていると言われています。
日本でも、マイナンバーで年収も住所も氏名も何もかも分かってしまいますから、
あれもこれもマイナンバーを使って事務手続きをすることが安全なことなのか、疑問に思います。
使うなら、所得隠しや脱税分野だけで使って欲しいですね。

ほとんど使わない雇用保険でマイナンバーを強制的に書かせたり、
基礎年金番号をないがしろにしてただマイナンバーを書かせて資格取得届・喪失届を出させたり、
これは、国民の幸せのためというより、国の「意地」のようなものでしょうか。

■資格取得届には、基礎年金番号を!
年金原簿は、国民一人ひとりについて、大切な財産、宝です。
数年前に問題になった「宙に浮いた(持ち主が分からない)年金番号」を少しでも無くし、
本来の持ち主の年金権に結び付けてあげなければなりません。

今でも、複数の年金番号を持っていて番号を統合していない、又は、かつて持っていたにもかかわらず、
何もしなくて放置している(宙に浮かせている)方が、結構いらっしゃいます。

資格取得届には、マイナンバーではなく、必ず、基礎年金番号を書き、自分自身の年金記録を守りましょう。

当事務所では、手続の際に、持っている年金手帳を全て出していただき、
各年金番号が基礎年金番号に統合されているかどうかを、必ず年金事務所で確認してもらっています。

そして、年金番号が基礎年金番号に統合されていなかった場合は、統合してもらいます。
これで、その方の過去に払った保険料の分の年金が増えます。

こういうことは「電子申請」ではできませんね。
氏名も、住民票の漢字で使っている「髙」「﨑」「栁」などの文字は使えません。
年金分野では、電子申請は、年金記録を守るという観点からは欠点のある手続といえましょう。

「ひとり一人の年金権を守る」。
これが社会保険労務士としての責務だと思っています。

★埼玉で派遣業許可申請なら社会保険労務士大澤事務所へ
★雇用問題でお悩みの使用者の方は、特定社会保険労務士大澤朝子へ

★就業規則、労働者派遣業許可、労働・社会保険、助成金、給与計算
介護保険事業所知事指定、パート雇用、社会保険手続なら
こちら
“企業と人のベストパートナー”社会保険労務士大澤事務所



基礎年金番号の統合、ご存知ですか

2017年05月24日 10時11分11秒 | 公的年金等
きょうは、「基礎年金番号」の話をしましょう。

「基礎年金番号」とは年金番号のことです。
基礎年金番号は一生に1つの番号で、結婚しても、会社が変わっても、自営業者になっても、主婦になっても
変わることはありません。

日本では、平成9年1月1日以降、それまでの厚生年金番号や国民年金番号に代わって
「基礎年金番号」という1つの番号によって記録・管理されることになりました。

平成9年1月1日に厚生年金(国民年金)に加入していた人には、当該厚生年金(国民年金)の番号を
「基礎年金番号」としました。

当時、基礎年金番号が付された人全員に「基礎年金番号通知書」が送付されました。
同時に、他に何らかの年金番号を持っている人は、「ハガキ」に記入し当時の社会保険庁に
送付するようになっていました。ここで、持っているすべての年金番号を基礎年金番号に統合しました。

しかし、すべての対象者が「ハガキ」を送付したわけではなく、人によっては「めんどくさい」
と「ハガキ」を出さなかった人もいたようです。
また、転職の際などに転職先に年金手帳を提出しませんと、
違う番号で基礎年金番号が付されてしまう場合もあります(転職の際には必ず年金手帳を提出しましょう!)。

それこれが数年前の「宙に浮いた年金番号」騒動のドタバタにつながりました。

当事務所では、厚生年金の資格取得続きを行う場合は、必ず、持っている全ての年金手帳、基礎年金番号通知書
を従業員さんに出してもらっています。
そして、そのすべてを年金事務所へ持っていき、その人の持っている年金番号が
基礎年金番号に統合されているかどうかを見てもらいます。。

そうすると、結構の確率で基礎年金番号に「統合されていない」年金番号が見つかります。

このような場合は、すぐに「番号統合」の手続きを行います。
これで、過去に収めた年金保険料をその人の年金記録に結び付けます。
見た目にも分かるように、年金手帳の「年金番号」に「基礎年金番号に統合済」という朱いゴム印を押してもらいます。

年金は老後の大切な収入源です。
せっかく納めた年金保険料を「宙に浮かせることなく」、しっかりと
その人の権利に結び付けてあげるのが、わたしたち社会保険労務士の役割です。

皆さんも、今一度、ご自分の年金手帳を見てみてはいかがでしょうか。

★就業規則、労働者派遣業許可、労働・社会保険、助成金、給与計算
介護保険事業所知事指定、パート雇用、社会保険手続なら
こちら
“企業と人のベストパートナー”社会保険労務士大澤事務所

にほんブログ村 経営ブログ 中小企業社長へにほんブログ村





◆履歴書と「年金手帳」の名前が違う?

2015年01月16日 13時06分51秒 | 公的年金等
電子申請や郵送で届出書類の提出を促す行政機関は多い。

税務申告などは、正確な数字は一つなので、電子申請等に向いている。

しかし、社会保険や雇用保険は、対象となる人間の「氏名はひとつではない」?!
「番号が一つではない」?!ので、電子申請や郵送には不向きな手続きが多い。

年金番号や雇用保険番号は、一生に一つの番号を使う。

しかし、転職先で年金手帳を出さない、雇用保険被保険者証を出さない人の場合、
複数の番号が付されてしまう場合がある。
こうなると、過去の自分の番号ではなく、新たに番号が付されてしまうので、
せっかく納めた過去の年金や雇用保険の記録が引き継がれないことになる。

これが、いまだに「不明の年金記録」にもつながっているものだが、
更に、日本人の名前は「漢字」「読み」等で表記するので、「名前の間違えが多い。」

漢字の間違い。読みの間違い。
よくある例は、(ブログにも何度も書いているが)
・山崎→山
・大沢→大澤
・〇田→〇た(「だ」ではない)
は、まだ可愛い方。
・小暮、木暮
・斉藤、斎藤、齊藤、齋藤
・渡辺、渡邊、渡邉
・〇橋→〇𣘺
・柳→
・浜田→濱田、田
・瀬戸→戸
など、数え上げればきりがない。
姓だけではない。名の方も難しい漢字や難しい「読み方」があって、大変だ。

さて、人は、自分の年金記録や雇用保険の記録など、どうなっているか
知らないし、また興味もないといったところが本音ではないだろうか。

そのためかどうかは知らないが、

「履歴書の名前の漢字」が正確ではない人の実に多いことか。

履歴書に「浜本」と書いていて、実は住民票上は「本」なんていう人はザラ。
住民票上の正確な漢字を書かず、普段自分が書いている簡単な方の漢字を書いてしまう。

こうして、何も知らない総務課の人が社会保険(年金・健保)の資格取得手続をする……。

漢字違いは、浜本→濱本なんてのはまだいい方で、木暮→小暮になっている場合もある。
不思議なもので、間違った名前の年金手帳や健康保険証をもらっても、そのまま
使っている人がいるんだから、世の中、本当に、本当にふしぎ。

だから、当事務所では、履歴書の「名前」はあまり信用しない。
年金手帳、住民票、運転免許証等で、「正しい」名前を探り、本人に確認している。

で、うちの顧問先に転職してきて、初めて、年金番号が二つあるとか、年金手帳の名前が
違っているとか、雇用保険番号がつながっていない、とかが判明する……。

コスト削減とばかりに、被保険者の年金記録や雇用保険番号のつながりなど気にせず、
単に、郵送や電子申請で資格取得届を出せばいい……とは、ならない、現実のお話である。

更に記せば、電子申請では、「」「濱」「」などの漢字は受け付けられない。

本年10月から社会保障・税の「個人番号」が配布される。
雇用保険には、平成28年1月1日から使われ、
社会保険には、平成29年1月1日から使われる予定。
従って、それ以降の記録は、ほぼ正確に引き継がれていくであろう(と思う)。

しかし、それ以前の記録は、つながらないまま放置されるのであろうか、それとも、
誰かがどこかで何年もかけて補正してくれるのであろうか……。
疑問は消えない。


★労務相談、就業規則、助成金、人材派遣業許可、給与計算

介護保険事業所知事指定、パート雇用、社会保険手続ならこちら
“企業と人のベストパートナー”社会保険労務士大澤事務所

にほんブログ村 経営ブログ 中小企業社長へにほんブログ村




◆ご存じですか? 海外派遣中の年金加入

2014年02月25日 18時23分18秒 | 公的年金等
「今度、海外の企業へ派遣されることになったのですが、
自分の年金はどうなるんでしょう?」

そんな質問を受けることがあります。

海外派遣の場合は、就労先の国の年金制度の適用を受ける場合がありますので、
初めて海外へ派遣される方は、自分の年金がどうなるのか不安ですよね。

●二重加入の問題
日本の企業に勤めている方が海外に派遣される場合は、日本の企業の従業員
である限り年金制度の加入はそのまま続きますが、派遣先の企業でも
その国の年金制度に加入しなければならない場合があります。
このように、年金保険料を二重に払わなければならないという
「二重加入の問題」が生じる場合があります。

●保険料掛け捨て問題
また、派遣期間が短い場合は、せっかく派遣先国の年金制度に加入しても
加入期間が短いため、年金が受けられないという「保険料掛け捨ての問題」
が生じる場合があります。

●14ヵ国との社会保障協定
以上のような問題を解決するため、日本は、平成12年より、ドイツ、イギリス、韓国、
アメリカなど14か国と、次のような「社会保障協定」を結んでいます。

・派遣期間が5年未満の方
申請により、海外派遣期間中でも、そのまま日本の年金制度に加入し続け、派遣先国の
年金制度への加入が免除されます。

・派遣期間が5年以上の方
申請により、海外派遣期間中は派遣先国の年金制度に加入し、日本の年金制度の加入が
免除されます(資格喪失届が必要です)。

・年金期間の加入期間の両国通算
派遣期間が5年以上等の方が申請により、派遣中は派遣先国の年金制度に加入することに
なった場合は、年金加入期間は日本の年金期間と海外の年金期間が「通算」されます。

各国の制度にもよりますが、例えば、
日本の年金制度に20年加入し、派遣先国の年金制度に5年加入した場合は、
全部で年金の加入期間が25年になり、日本の年金も派遣先国の年金も両方
受給することができる、という具合です(相手国の制度によります)。

(但し、イギリス、韓国とは、この通算協定は結んでいません。)

●ご注意
上記の取り扱いは、日本の企業から派遣される方に限られ、
日本の企業を辞めて、協定相手国で現地採用された方は除きます。
この場合は、普通に現地の年金制度の適用を受けることになります。

●配偶者の年金はどうなるの?
海外派遣された人の被扶養配偶者の年金はどうなるのでしょうか。

・派遣期間が5年未満等引き続き日本の年金に加入している人の被扶養配偶者
→ 国民年金第3号被保険者のままです。

・派遣期間が5年以上等海外の年金に加入している人の被扶養配偶者
→ 国民年金第1号被保険者となります。
この場合、配偶者が海外に居住している場合は、国民年金は強制加入ではなく
任意加入となります(20歳以上65歳未満に限る)。

●年金の申請はどうするの?
年金を受け取る場合の手続きは両国で行えます。

・日本の年金を「日本で申請する」か「協定相手国で申請する」かが可能
・協定相手国の年金を「日本で申請する」か「協定相手国で申請する」かが可能

――どうです? 結構便利な制度ができているのですね。
各国の年金事情が違いますから、協定相手国が一律同じ内容というわけではありませんが、
原則的な「社会保障協定」の考え方を知っていただければ幸いです。

年金もかなり国際化されてきているといえます。

にほんブログ村 経営ブログ 中小企業社長へにほんブログ村

















◆もらい忘れの厚生年金基金

2014年01月30日 10時25分01秒 | 公的年金等
「ねんきん定期便」を見て、「あれっ? 自分の年金額こんなに少なかった?!」と
驚いた方はいらっしゃいませんか。

日本年金機構から郵送される「ねんきん定期便」には、自分が加入していた(いる)厚生年金基金の
から支給される「代行部分」や基金特有の「上乗せ部分」は記入されていません。

私自身もそうなのですが、若い時に加入していた厚生年金基金があるため、「ねんきん定期便」
に書かれていた年金予想額はごく僅か。

厚生年金基金に加入していた(いる)方の老齢厚生年金は、国の支給部分と基金からの支給部分と
2つありますので、こんなことになってしまうのです。
もちろん、共済組合の加入員であった(である)方も基金の方と同じです。日本年金機構からは
共済組合からの年金額は示されません。

厚生年金基金、共済組合などに加入歴が少しでもある方は、老齢厚生年金の受給権を
得た時に次のことをしなければなりません。

1、日本年金機構と厚生年金基金(企業年金連合会)の双方に年金を請求する。
2、日本年金機構と各共済組合の双方にに年金を請求する。

それをせずに、「自分は基金に少ししか加入していなかったんだから」なんていう
理由で、日本年金機構のみに年金を請求して、それで、自分は全部の年金をもらっている、
なんて勘違いしている例があります。

厚生年金基金の加入期間が10年未満で退職時の年齢が60歳未満(基金によって異なる場合あり)
の方や基金が解散してしまっているような場合は、全国の基金をとりまとめている「企業年金連合会」
に、年金を請求してください。

●厚生労働省発表『厚生年金基金等の未請求状況について』

平成24年度末
1、厚生年金基金への年金の請求忘れの方 13.7万人 全体の4.3%
2、企業年金連合会への年金の請求忘れの方 133万人 全体の16.1%

こうして見てみますと、厚生年金基金の加入期間が短い方が、企業年金連合会に
年金を請求していない例が133万人もいることに驚かされます。
全体の16.1%が年金を請求していない……。これは大変な数字です。

企業年金連合会も住所がわかる方には老齢厚生年金の受給権発生時に、
年金請求書を郵送してくれますが、転居などで住所が変わった場合は、
それができません。

老齢厚生年金の受給権が発生しても企業年金連合会や基金から
年金請求書が届かない場合は、是非、ご自分で問い合わせるなどして、
年金をもらい忘れることのないようにしたいものです。

にほんブログ村 経営ブログ 中小企業社長へにほんブログ村













◆誤解多い65歳以降の年金支給停止

2013年12月11日 16時17分58秒 | 公的年金等
定年退職後も働いていると、60歳台前半の老齢年金の一部又は全部が
支給停止になることは、皆様ご存じの通りです。

このブログでも説明してきました。

さて、今日は「65歳以降の年金支給停止」をテーマとして選びました。
お客様からご質問や誤解が多く寄せられているからです。

高齢化が進み、60歳台前半は多くの方が働き、また、65歳以降も嘱託などで
働き続ける方も多くなってきました。

前置きが長くなって恐縮ですが、まずは60歳台前半の老齢年金の支給停止から。

●60歳台前半の老齢年金の支給停止
(1)在職中の支給停止(※)
賃金(正しくは標準報酬月額)と年金の合計が28万円を超えると
年金が一部又は全部支給停止になります。
配偶者等の扶養手当の意味合いの加給年金が支給される方は、
加給年金を除いて合計「28万円」で算定します。

※短い勤務時間等で働いている社会保険適用対象外の方は関係ありません。全額支給されます。

この28万円を超えた部分が「支給停止」の対象となります。
賃金が多ければ年金の支給停止額も多くなります。

例えば、賃金が20万円、年金が10万円の方の場合、支給停止は1万円です(29万円)。
例えば、賃金が20万円、年金が8万円の方の場合、支給停止はありません(28万円)。
例えば、賃金が30万円、年金が10万円の方の場合、支給停止は6万円です(34万円)。
例えば、賃金が30万円、年金が8万円の方の場合、支給停止は5万円です(33万円)。
( )内は税引き前総額。

賃金が46万円以下の人の場合は、賃金と年金の合計が28万円を超えると、
その超えた額の半分が支給停止になると覚えておくと、わかり易いかも知れません。

(2)高年齢雇用継続給付受給中の支給停止
「高年齢雇用継続給付」とは、60歳定年時の賃金と、その嘱託等後の賃金が
75%未満に低下した場合に、最大で賃金の15%の範囲内でお金がもらえるという制度です。
仮に、40万だった人が20万に低下したら、賃金の15%=3万円が受給できます。

雇用保険から「高年齢雇用継続給付」を受給している人は、(1)の在職中の年金の
支給停止に加え、更に年金が最大、賃金の6%の範囲内で支給停止されます。

賃金の低下率が大きければ年金の支給停止は限りなく6%に近づき、
低下率が小さければ年金の支給停止は限りなく0%に近づきます。

例えば、高年齢雇用継続給付を受給していると、
賃金が40万円から20万円に低下した人は、年金の支給停止は1.2万円(支給停止率6%)。
賃金が40万円から26万円に低下した人は、同じく1.452万円(支給停止率4.02%)。

定年後、嘱託等で賃金が40万から20万に低下(低下率50%)し、
その人の老齢年金が10万円とします。すると、

(1)在職中による支給停止で、1万円の支給停止。
(2)高年齢雇用継続給付受給による支給停止で、1.2万円の支給停止。
合計で、年金が2.2万円支給停止になる、こんな感じです。年金は7.8万円受給ですね。

この例で被扶養配偶者がいる場合は、
・賃金 20万円
・年金 7.8万円
・加給年金 1.86万円
・高年齢雇用継続給付 3万円
合計 20万+7.8万+1.86万+3万円=32.66万円が税引き前総額ということになります。

もっとも、60歳台前半の老齢年金は、段階的に繰り上がっていきますので、
現在60歳に到達した男子は61歳にならないと年金がもらえません(女子は5年遅れで実施)。
この場合は、賃金+高年齢雇用継続給付のみとなります。

●65歳以降の老齢年金の支給停止
65歳以降も在職している場合は、まったく年金がもらえない、と思っている人がいます。
しかし、それは間違っています。

65歳以降は、初めて、国民年金から老齢年金が支給されます(全国民共通)。
国民年金部分の支給停止はありません。全額もらえます。

65歳以降支給停止対象年金は、厚生年金(共済組合)の老齢年金の部分です。
この老齢年金部分のみ賃金額により支給停止があります。

65歳以降の老齢年金(厚生年金・共済組合)は、賃金と年金の合計が月46万円を
超えたら、その超えた部分の半額が支給停止の対象になります。

① 賃金が30万円、年金が15万円の方は合計45万円。年金は全額支給です。
② 賃金が40万円、年金が18万円の方は合計58万円。年金は6万円支給停止になります。

②の人の例でみてみましょう。
・賃金 40万円
・国民年金 6.5541万円(40年加入の場合)
・厚生年金 12万円
合計 40万+6.5541万+12万=58.5541万円

このように、65歳以降の年金の支給停止は、一般的な額の給与所得者の場合は
あまり目くじらを立てることもないのです。

自分自身の年金額は、年金事務所や年金相談コーナーに行き、聞くことができます。
年金手帳と認印を持参してください。年金額は紙で出力してもらえます。
わからない数字や年金支給停止について、その場で詳しく聞くことができます。
正しい知識で、理解が深まります。
ネットより抜群の効果がありますよ。

にほんブログ村 経営ブログ 中小企業社長へにほんブログ村










◆いよいよ厚生年金基金の解散が

2013年05月29日 12時17分41秒 | 公的年金等
社会保険労務士の大澤朝子です。

本日、顧問先が加入する某厚生年金基金の解散に係る事業所説明会に
出席してきました。

午前10時開始のところ、20分前に到着すると、もう駐車場は満車に
近く、この問題への加入事業所さんの関心の高さが伺えます。

すでに、厚生年金基金の解散を含む改正法案は衆議院を通過し、
来週から参議院で審議が行われるようですが、
顧問先の加入する某厚生年金基金は、AIJに預けておいた25億円が
消滅し、責任準備金を大きく下回る状況に、更に拍車がかかる状況
となっておりました。

責任準備金不足額の多さに、うちの顧問先も脱退したくても脱退できず、
どうしたものやらと思っていた矢先、基金解散の決定報が届きました。

この厚生年金基金は、平成25年12月を目途に解散の認可を得るため、
今後、解散へ向けた数々のスケジュールをこなしていくようですが、
一番の朗報は、昨今の株価高騰を受けて責任準備金の不足額が
大幅に減少し、このスケジュールで解散した場合、「加入会社負担がゼロ」
という試算を受けて、解散決定に踏み切ったことです。

もちろん、日本年金機構との「年金記録の突合」作業を終えないと
確定はできませんが、経営を揺るがすような負担金が出ない、という
ことだけは確かなようです。

これにより、現在の基金年金受給者は、基金上乗せ分の支給は
解散月以降なくなり、現役の加入員も老齢年金受給時には、
基金解散月以降の基金分給付は算定されません。

基金解散で、ほっと胸を撫で下ろすのは事業主で、これまで負担して
いた基金事務費や上乗せの事業主負担分がなくなります。

厚生年金基金に代わる老後の生活保障をどうしていくのか・・・。
退職金準備金は損金算入できないので、今後は、損金算入可能な制度に
加入する道を模索する必要がありそうです。

中退共や確定拠出・確定給付企業年金なども視野に入れ、
事業主さんは、具体的に考えていかなければならないでしょう。

にほんブログ村 経営ブログ 中小企業社長へにほんブログ村












◆そこが知りたい。日本人は年金をいくらもらっている?

2013年01月26日 00時12分37秒 | 公的年金等
社会保険労務士の大澤朝子です。
(高齢になったら、どうやって食べていったらいいでしょう?) 
昔みたいに、大家族で、子が親の面倒をみていた時代と違い、
今は「現金」至上社会だから、お金がないと何も買えない、暮らせない。
リタイアしたら、頼れるのは公的年金だけ。

「みなさんは、いくら年金もらってるんですか?」と、
年金もらっている人に聞いてみたくはありませんか?

厚生労働省では、月次報告の他、年次報告でも「厚生年金保険」
現況を発表しています。
先頃、平成23年の確定値が発表になりましたので、ご紹介しましょう。
最初は、前置きが長いですから悪しからず。

★厚生年金保険に加入している人は何人?
男子 2,224万人、
女子 1,227万人(女子は男子の約半分か……)

★育児休業中の保険料を免除してもらっている人は何人?
男子900人、女子1万7千人(全国で、ですよ!)

※ 育児・介護休業法に基づき育児休業をしている間は、健康保険料も
厚生年金保険料も免除、すなわち、タダになるのです。

★厚生年金保険に加入している人の年齢層は?
一番少ない年齢層は、男子も女性も「19歳以下」で、それぞれ0.5%と0.6%
(高校出て就職し正社員等になっている人は、わずかこれだけ……)
男子で一番多い年齢層は、35歳~39歳で14.7%
女子で一番多い年齢層は、25歳~29歳で14.4%
(これらの年齢を中心に、ピラミッド型の年齢構成となっています)

★厚生年金保険に加入している人の賃金は?
男子 平均額345,700円
女子 平均額230,085円
(女子は、男子の6.6割……)

★厚生年金保険に加入している人のボーナスは?
男子 1回平均499,424円
女子 1回平均291,247円
(女子は、男子の5.8割……)

要するに、女子は、男子の給料等の「6割」どまりということ。
……話が道を逸れました。

★年金を受給している人は何人?
老齢年金 1,383万人(前年比43万人!増加)
障害年金   38万人
遺族年金  492万人(11万人!増加)

ん――、1年間で新たに年金をもらい始めた人は、実に54万人。
これだけの人が、各地の年金事務所に行って年金手続きをしたとは、
いやはや凄い、気が遠くなるようなお話。
それから、厚生年金保険等日本の公的年金には、老齢年金だけでなく、
障害年金や遺族年金もあるってことを知ってくださいね。

★だから、年金はいくらもらってるんですか?
これについては、ちょっと解説を付けなければならないでしょう。

まず、基本。
老齢年金は、2つの構成要素で成り立っています。
 報酬比例部分(理論上、厚生年金保険の老齢年金の部分に相当)
 定額又は基礎部分(理論上、国民年金の老齢年金の部分に相当)
このの両方もらえるのですが、受給開始は原則として65歳から。

しかし、日本企業の定年年齢は60歳が多いため、年金制度もそのあたりの
ことを考慮して、「おまけ」で、60歳~64歳までの期間のみ、だけを支給してくれています。
これも、だんだん支給開始年齢を遅らせていき、
61歳から、62歳から…となり、最終的にはなくなります。

さて、本題に入ります。
平成23年の統計では、まだ60歳~64歳までは全員がを受給し、
65歳からの両方を受給しています。
それでは、見てください。

60歳~64歳の人  80,509円(月額)
65歳以上     163,254円(月額)

どうですか?

先般、このブログでも、定年退職後の再雇用後の「最適賃金」
のお話をしましたが、60歳代前半の老齢年金受給者の給料は
何%くらい低下するのが理想? というお話のところで、
年金の平均額は約8万円だから……と書きましたが、その根拠と
なっているのです。

上の数字は、受給者の平均値ですので、給料額が平均より高い人、
厚生年金保険の加入期間が平均より長かった人は、数字を多く見積もって
見てください。

にほんブログ村 経営ブログ 中小企業社長へにほんブログ村

経営者様、人事労務部門様、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
弊事務所は、初回ご相談無料です。
労務トラブル解決、社会保険ご質問は


木〇さんは小〇さん!? 本当は怖い?年金番号のお話。続編の続き

2012年12月13日 00時05分26秒 | 公的年金等

 木〇さんは小〇さん!? 


 ☆前回の概略

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届の氏名欄

木〇」さんと書いたのに、健康保険証が「小〇」と発行された。なぜっ?

社労士A子は、旧社会保険事務所に走りました。

と、ここまでが前回のお話。

・・・旧社会保険事務所の窓口(社保窓)。

A子 「健康保険証漢字が違っていました。小〇さんではなく、木〇さんです!

といって、資格取得届の写しを社保窓に見せる。

社保窓、PCの画面を見ながらーー

(ここで、年金番号、すなわち基礎年金番号を照会している様子・・・)

社保窓 「いえ、小〇さんです。(転職)前の会社3社の記録では、小〇さん名で

資格取得。健康保険証発行されていますよ。」

A子 「そんなっ!・・・。履歴書を見てください。木〇さんじゃないですか!」

社保窓 「それでは、年金手帳、お持ちですか」(見せてください。・・・疑わしい目つき)

A子、今度は、年金手帳を取りに事務所に走りました。

 

 編注:今日のA子の足跡  

 事務所⇒C社⇒社保窓⇒事務所⇒社保窓

 いずれも事務所から30分以内の箇所だからよかったようなものですが、

 なんだか半日がかり。

 

・・・社保窓に戻ってきたA子。手には木〇さんの青い年金手帳

A子 「見てください。年金手帳には木〇となっていますよ」

社保窓 「そうですね。・・・」と言ってPCの画面を見ている。

社保窓 「わかりました。木〇に直します。」

A子 (だから、木〇だと最初から言っているでしょ。・・・)

A子は、小〇名の健康保険証を返し、やっと木〇名のを発行してもらうことが

出来ました。そして、その足でC社のB子さんのところへ向かったのは

いうまでもありません。

 

かくして、木〇さんには、ちゃんと木〇名の健康保険証が届けられました。

疑問。前の会社3社は、何してたの?・・・

疑問。木〇さんは、前の会社で「小〇」名の健康保険証を黙って受け取っていたの?!

木〇さんっ! と、A子は木〇さんを問い詰めたくなりました。・・・もちろん黙ってましたが。

 

<注釈1>

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届には、被保険者の

1.氏名 生年月日、性別、住所

2.基礎年金番号、報酬月額、資格取得日

などを記載して提出します。

平成9年1月1日の基礎年金番号制度創設に伴い、本人特定には、

氏名、生年月日、性別、住所、基礎年金番号の合致が必要となっています。

<注釈2>

木〇さんの基礎年金番号小〇名で記録されていたのでないかとA子は

想像しています。年金の氏名は、その雇用する会社が届け出た

「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」に記載されている

氏名、住所で書き換えられます。

健康保険の氏名と厚生年金保険の氏名は100%同一で各管理されます。

恐らく、前の会社の最初の会社か何かで、間違った氏名を記載した資格取得届

を提出したことが年金記録を書き換えられ、それが次の会社、次の会社へと伝播して

いったのでしょう。

 

格言。

間違いは続くどこまでも。こともあるから要注意。・・・いえ、年金のお話です。

資格取得届の氏名は、絶対に間違えないようにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


木〇さんは小〇さん!? 本当は怖い?年金番号のお話。続編

2012年12月12日 00時56分07秒 | 公的年金等

木〇さんは小〇さん!?


前々回の”本当は怖い? 年金番号のお話。その3”で、この手の話は

もう終わりにしようと思っていたのですが、少しばかり好評? でしたので

終わりにしないことにします。

ずいぶん前ですが、本当にあったお話です。

今日は、「年金番号」のお話ではなく「漢字」のお話。

 

<登場人物>

〇社労士のA子

〇総務のB子さん・・・A子の顧問先でC社社員

木〇さん・・・C社に入社した人(何度か転職している)

〇旧社会保険事務所の窓口の人

 

社労士のA子は、C社の社会保険等の手続きを代行しています。

ある日、C社のB子さんに呼ばれ、新入社員の社会保険手続の依頼を受けました。

A子は、B子さんから新入社員のデータや年金手帳を受け取り、

普通に、旧社会保険事務所に行って、「健康保険・厚生年金保険被保険者

資格取得届」を提出しました。その中に、新入社員の「木〇さん」の手続きも

含まれていました。

 

何日か経って、A子の事務所の電話が鳴りました。

C社のB子さんからです。

B子さん木〇さんの健康保険証が届いたのですが、字が間違っていますが。」

A子「本当ですか! 申し訳ございません。すぐに参ります!」

A子は、すぐにC社に走りました。

見ると、健康保険証の氏名が「」になっているのです。

ちゃんと、履歴書通り「木〇」と書いたのに、なぜ・・・。

年金手帳だって、氏名欄、「木〇」じゃない、なぜ・・・。

A子は、すぐに健康保険証を預かると、その足で旧社会保険事務所に走りました。

 

続く。

 

社会保険労務士大澤事務所のホームページはこちら

 

 

 

 


本当は怖い?年金番号の話 その3

2012年12月07日 01時35分33秒 | 公的年金等

さんと〇さんは別人?

 

社会保険労務士の大澤朝子です。

前回は、年金番号を2つ以上持ってしまった人のための基礎年金番号「統合」

のお話をしました。

基礎年金番号を2つ以上持ってしまうと怖いことになる、というお話の、きょうは第3話。

ここまで読んでくださった方なら、きっと今日のお話もご理解いただけると思います。

本当にあった、「年金手帳を入社時に会社に提出しなかったために起きた事件!?」

とは・・・。

「〇〇子」さんという氏名の人(20歳)が入社しました。

その人は、履歴書に「〇〇子」と書いていましたし、

年金手帳を会社に提出しなかったため、

総務のA子さんは、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」の氏名を

何の疑いもなく「〇〇子」と書いて年金事務所に提出しました。

1~2か月経った頃でしょうか。

「〇さん」が、総務のA子さんのところに飛んできました。

「何で、私のところに国民年金の保険料納付の請求書が

来るんですか?! 私は、会社で厚生年金に加入しているんですよね!」

と言って、真新しい年金手帳と国民年金の保険料納付書を出しました。

A子さんは、「はあ~?・・・」。なんのことかわからず、困ってしまいました。

そうです。〇さんは、会社で厚生年金保険に加入していますので、

国民年金に加入する必要はありません。

A子さんは、〇さんの持ってきた真新しい年金手帳と国民年金の保険料納付書

をもって、さっそく年金事務所に聞きに行きました。

結果は、こうです。

さんが入社時に年金手帳を会社に提出しなかったために

会社が届け出た「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」の間違った?

氏名「〇〇子」で、新たに基礎年金番号が振り出されてしまった。

(20歳到達時に振り出された基礎年金番号があるはずですが、

同姓同名、同生年月日、同住所の記録がなかったためと思われます。)

 

一方、国民年金の方の氏名は、正しい「〇〇子」であり、20歳到達時に振り出された

基礎年金番号が生きていた。(この場合、住民票の正しい字で記録されます。)

このため、〇さんに国民年金の納付書が送られてきたーー。

こうして、年金記録上、〇さんと、〇さんは、別人と判断されてしまったのです。

総務のA子さんは、〇さんの2つの基礎年金番号を1つに「統合」してもらいました。

(この場合は、厚生年金保険の方で付された基礎年金番号に統合しました。)

こうして、〇さんの年金記録は、生涯一つの基礎年金番号として、無事に生きて

いくことができました。

A子さんもやっと胸をなでおろしました。

ところで、その後ですが、あいかわらず、〇さんが会社に提出する書類には、

氏名「〇〇子」であり、時に、A子さんの”プチ”逆鱗に触れることもしばしば

であったということです。

格言。

「会社に提出する履歴書等書類には、住民票通りの正しい漢字を書きましょう。」

「小さな気遣いが、大きな得を生むのです。いえ、年金のお話しです。」

 

社会保険労務士大澤事務所のホームページはこちら

 

 


本当は怖い?年金番号の話 その2

2012年12月06日 00時31分27秒 | 公的年金等

2つ以上の年金番号は1つに統合する

 

社会保険労務士の大澤朝子です。

昨日の続きですね。

昨日は、自分の基礎年金番号が増えてしまうと、とっても怖いことになる、という

お話をしました。そこで、きょうは、第2話。その対策のお話をしましょう。

2つ以上の基礎年金番号を持ってしまったら、どうしたらいいのでしょう?

使わなくなった基礎年金番号の自分が払った年金保険料はチャラになってしまう、のでしょうか?

いえいえ、そんなことはありません。簡単な手続きで基礎年金番号を

一つに統合できます。

年金事務所で、基礎年金番号の「統合」手続きをしてください。

持っているすべての年金手帳、あるいは年金手帳を紛失しているときは

「ねんきん定期便」「保険料納付書」などでも構いません。

とにかく、基礎年金番号を記録してあるすべての資料ご印鑑を持参してみてください。

手続は、A4用紙1枚に氏名・住所・生年月日などを書くだけの簡単なものです。

今、自分自身の年金手帳がお手元にある方は、基礎年金番号を見てください。

2冊以上の年金手帳を持っている方は、要注意です。

また、平成9年1月1日以前橙色年金手帳を持っている方で、

その手帳の「厚生年金保険」「国民年金」の年金番号の欄に

「基礎年金番号に統合済」というゴム印が押されているかどうかも注意して見てみてください。

・違う基礎年金番号の年金手帳を複数持っている、

・厚生年金保険や国民年金の年金番号が基礎年金番号とは違う番号であり、

「基礎年金番号に統合済」のゴム印が押されていない、

などの人はいらっしゃいませんか?

もしいらっしゃいましたら、前述の手続きをして、基礎年金番号を一つに

統合しましょう。

年金記録は、誰も守ってはくれません。

納めた保険料がすべて自分自身の年金額に反映されるよう、

しっかり管理しておきましょう。

小さな注意が、大きな「損」を防ぎます。

まだまだ、お話は続きます・・・。

 

社会保険労務士大澤事務所のホームページはこちら


本当は怖い?年金番号の話

2012年12月05日 00時49分03秒 | 公的年金等

こんにちは。社会保険労務士の大澤朝子です。

きょうは、年金番号のお話しです。正確には「基礎年金番号」といいますが。

日本国民は、原則20歳になると全員、自動的に年金番号(基礎年金番号)が付されます。

この基礎年金番号は住民票のデータを使いますので、本人は何もしなくていいのです。

(注:20歳前に会社に就職して厚生年金保険に加入した場合は、その時点で基礎年金番号

が付されます。これは、会社の手続きにより行われます。)

さて、この基礎年金番号は、生涯一つの番号で管理していきます。

年金記録は、原則として20歳から40年以上も管理していくわけですので、いくつもあっては

権利が分散されてしまいます。ですから、原則として一つです。

ところが、転職先になどに「年金手帳」を出さなかったばかりに、年金記録上、検索しても

その方の基礎年金番号が見つからなかったなどの事情で、

新たに基礎年金番号が付されてしまうことがあります。

新たに基礎年金番号が付されてしまいますと、前の基礎年金番号の記録が

誰のものでもない、宙に浮いた年金記録になってしまいます。

つまり、これまで納めてきた前の基礎年金番号の年金保険料

全く、自分自身の年金額に反映されないことになります。

これは、考えたら怖いことではありませんか? 

お金を払ったのに、その分の年金がもらえないんですから・・・。

転職先に年金手帳を提出しない理由は、前の職歴がわかってしまう・・・、

納めていなかった国民年金保険料の請求が来るのではないか・・・、

とにかく他人に手渡すのがもったいない・・・、

などの理由のようですが、自分の納めた年金保険料を一括管理できる

一つの「基礎年金番号」で資格を取得し、生涯一貫して年金記録を伸ばしていく方が

”お得”なのは言うまでもありません。

社労士事務所を経営してますと、驚くなかれ、

この「入社してきても年金手帳を出さない」人の割合は、比較的多いのが現状です。

そのため、私の事務所では、入社時に必ず年金手帳を出してもらうように、固く顧問先

さんに申し上げています。

”消えた年金記録”は、実は、こんなところから端を発していますから、皆さん、

年金手帳は、もったいながらずに、必ず転職先の人事課等にご提出くださいね。

明日、元気だったら、この続きを書きたいと思います。

 

社会保険労務士大澤事務所のホームページはこちら