大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆配偶者控除の改正が与える影響

2017年05月31日 09時21分55秒 | 雇用促進税等
★配偶者控除の改正で、企業の「家族手当」にも影響が?

平成30年1月より配偶者控除が年収103万円から150万円に引き上げられます。
年収103万円以下の配偶者がいる従業員に対し、「家族手当」を支給していた企業も多いと思いますが、
平成30年1月以降は賃金規程の見直しが必要になるかもしれません。

もし、貴社に「家族手当」の規定があり、その支給対象が「所得税法上の扶養親族」であるとしている場合は、
平成30年1月以降は103万以上から150万円以下の配偶者についても家族手当を支給しなければならなくなるでしょう。
報道によると、既に大企業の一部では、「配偶者」に対する「家族手当」を廃止し「子」に対する家族手当のみに
絞って支給するとした企業もあるようです。

さて、貴社は家族手当をどうしますか。
このまま配偶者に対する家族手当の支給を続けますか?
それとも廃止し他の手当に替えて支給しますか?
決断のリミットは、平成29年12月末日。

今回の税制改正は、企業の給与体系にも小さな変化をもたらすかもしれません。

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◆節税に役立つ経営セーフティ共済

2014年11月13日 14時55分59秒 | 雇用促進税等
法人の節税に役立つ制度と言えば、「経営セーフティ共済」があります。

中小企業倒産防止共済ともいいますが、取引先の倒産に備え、あらかじめ
掛金を積み立てておくと、掛金総額の10倍(上限8,000万円)の範囲内で
融資(無担保・無保証人)が受けられる制度です。

倒産セーフティ共済といいながら、実は、経営セーフティ共済のメリットは、
なんといっても「節税」にあります。

掛金は全額損金算入又は必要経費に算入できますから、節税にダイレクトに
効果があります。

掛金は、5,000円から200,000円の範囲(5,000円刻み)で自由に設定し、
最大800万円まで積み立てることができます。

任意に解約もできますし、事業資金などの一般融資(解約手当金の範囲内)を
受けることができます。

なお、解約手当金は、税法上益金又は雑収入の取り扱いとなります。
役員の退職金等に利用したい場合は、役員退職金規程に基づき、利用したいものです。

中小企業倒産防止法に基づき、独立行政法人中小企業基盤整備機構が
運営しています。


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◆意外に効果? 回収率100%のコツとは

2013年04月14日 21時45分16秒 | 雇用促進税等
社会保険労務士の大澤朝子です。

土日は法要のため秋田県は男鹿半島の付根の所まで行って、
日曜午後7時半頃帰宅。
東北新幹線は“スーパー”ではなく“ただの”「こまち」に乗っての往復でした。

そういうことで、朝から晩までほとんどPCの前に座っている生活から、
2日間だけPCを全く見ない生活をしましたが、これはこれで“新鮮”で、
月曜日からまた元の生活に戻ると思うと、なんだかウツな気分になりました。

月曜日から始まった1週間も仕事と残務整理は目白押しで、
それにつけても「心配」なのが「回収」の問題です。

顧客に、とても変わっている事業所があります。
どのくらい変わっているかといいますと、だいたい、10人入社したら
1~2年後には8人くらい辞めてる……そんな事業所です。

そんな事業所さんでも顧客は顧客。
うちとしては珍しく「相見積」で「落札」した事業所なのです。
弊事務所にとっては大事な大事なお客様。
…そこの顧問料の支払いが1年近く! 未回収のままたまっています。

ところが、ここにきて、この未回収の結末が見えてきました。
心配したそこの従業員さんから連絡を受けた顧問会計事務所さんが
間に入ってくれるというのです。今更! ですが。

たまった分の入金がないと、4月以降の入社・退社手続きはしません、
と、担当者の従業員さんに言っておりますので、先方も
これはやばい、と思ってくれると思います。

弊事務所は、開業20年、一度も「未回収」はありませんでした。
が、今回の未回収はほとんど諦め気味でしたので、
好転しそうな意外な雰囲気に、若干期待を膨らませています。

これまでは未回収気味になったら、目を三角にして、
FAX、通知、突撃などあらゆる手段を駆使し
全て回収してきました。
自慢ですが開業20年で回収率100%です。

回収のコツはだいたいこんな感じです。

1、最初はやさし気味に電話をして催促します。
2、それでも入金がないときは、FAXで催促します。
3、それでも入金がないときは、いよいよ文書での通知となります。
4、それでも入金がないときは、少し強めの通知を出します。
5、それでも入金がないときは、予告なく訪問(突撃)して催促をします。
このあたりで“敵”も、「この人、本気で回収する気だ」と
思うようで、「降参」して、支払います。

(注)内容証明郵便は絶対に出しません。
内容証明郵便を出すと、相手をいたずらに刺激し、
火種に「点火」させてしまうからです。
これも穏便に事を運ぶための方策です。

ざっと、こんな感じなのですが、5の「予告なく訪問」は今まで1回しか
ありませんが、感触としては「効果抜群」でした。
だいたいが、1回目の電話催促で、諦めて支払ってくれます。

年度初めの超多忙が続いています。
未回収案件もそうですが、一歩、一歩進んで行くのが最良の道、と
肝に銘じて今日も地道に机にかじりついています。


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◆H25年度 雇用促進税改正 第2報

2013年04月08日 00時26分42秒 | 雇用促進税等
社会保険労務士の大澤朝子です。

平成25年度税制改正大綱については、このブログでも
閣議決定及び第183回通常国会法案提出時に、
第1報として、

A)所得拡大促進税制創設
B)雇用促進税制改正

の2点に絞り書かせていただきましたが(2月27日)、
1か月以上経った今もアクセスがじわじわ伸びている今日この頃です。
案外に、この制度の注目度の大きさに驚いています。

既に、法案は3月29日に国会を通過。

4月に入り、顧問先様でも何社かが、雇用促進税狙いで、
事業年度開始から2か月以内に提出する「計画届」を
「提出しておいてください」と言っておられます。

AとBの減税効果の損得を考えるよりも、まずは、何と言っても、現実、
「一体、当社にとって、どっちが可能か…」
(A給与・賞与アップか、それとも、B従業員数の増加か…)と
可能性や必要性の問題になるわけで、(どっちに転んだとしても)
今必須は、Bの事業年度の初めに出しておく「計画届」で、
この“押さえ”だけはしておくべきでは…と、
お客様には申しております。

ここで、雇用促進税の思わぬ落とし穴があることに
触れておきましょう。
その注意点は次のようなものです。

1、前事業年度と当事業年度に「事業主都合による離職」
がないこと
平たく言えば、雇用保険の資格喪失届の離職理由「3」
があった企業は、対象外となる、ということです。
離職理由が「3」とは、勧奨退職や解雇などが当てはまります。

2、雇い入れ助成金を受給した場合は、人数には入れますが、
受給した助成金額が「給与等支給額」から控除されます。
これは、「給与等支給額が比較給与等基準額以上であること」、
という要件を見るときに必要となります。

雇い入れ助成金とは、

・特定就職困難者雇用開発助成金
・被災者雇用開発助成金
・試行雇用奨励金
・障害者初回雇用奨励金

などの、一定の人を雇った場合に企業が受給できる
助成金で、これらの助成金が支給決定された場合は、
当該助成金額が「給与等支給額」から控除されて算定されます。

ですから、従業員数が10%以上増えても、給与額の増加が
これらの助成金を受給したことによって要件に該当しなくなる……
という可能性もありますので、注意が必要です。

※ 比較給与等支給額
比較給与等支給額=前事業年度の給与等支給額+
前事業年度の給与等支給額×雇用増加割合×30%

3、人数(雇用保険の一般被保険者数)
「人数」には、4月1日から「高年齢継続被保険者」数
が算入されることになります。
前適用年度中に一般被保険者として雇い入れた方が、当適用年度中に
高年齢継続被保険者となった場合は、前適用年度末の「人数」から
これらの方を差し引いて計算します。

雇用促進税については、
前回書きましたように、これまでの統計を見ますと、
要件達成企業の割合は少ないようです。
第一、赤字企業が8割と言われる日本で、制度の効果が
どれほどあるのか、正直、あまり期待できないように思えます……。

4月から新事業年度が開始した企業様も多いはず。
何はともあれ、後の祭りとならぬための「念のため」の押さえは
しておきたいですね。

<参考>
・厚生労働省 「雇用促進税制に関するQ&A」
・厚生労働省 「平成25年度から雇用関係助成金が変わります!」

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◆一般競争入札で差がつく障害者就業促進企業(障害者優先調達推進法)

2013年03月15日 18時54分41秒 | 雇用促進税等
社会保険労務士の大澤朝子です。

平成25年4月1日は法改正が相次いでいますので、
気を引き締めてしっかり付いて行きたいものです。

弊事務所では、建設業のお客様で一般競争入札で仕事を受注
しているお客様がいらっしゃいます。
そこで、つい見逃してしまいがちな、平成24年6月20日に成立した
「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の
推進等に関する法律」(障害者優先調達推進法)のことを
把握しておかなければと思います。

厚生労働省のHPを見ると、政令も省令も出揃っているのですね。
条文、通達、概要パンフなどを参考にまとめてみました。

この法律も施行日は平成25年4月1日。
余談ですが、障害者法定雇用率の引き上げも同日。民間企業は
1.8%から2.0%になります。

さて、制定の目的は、障害者就労施設で就労する障害者や在宅で
就業する障害者の自立を進めるため、国、地方公共団体、独立
行政法人などの公的機関が、物品やサービスを調達する際、
障害者就労施設等から優先的・積極的に購入を推進する
ために制定されたとされています。

1、各省庁・独法の義務
各省庁、独立行政法人等は、毎年度、障害者就労施設等から
物品等の調達方針を作成し、年度終了後、その実績を
公表しなければなりません。

2、地方公共団体・地方独法の義務
地方公共団体、地方独立行政法人は、毎年度、障害者就労
施設等から物品等の調達方針を作成し、年度終了後、その実績を
公表しなければなりません。

3、国・独法・地方公共団体・地方独法の努力義務
国、独立行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人は、
公契約について、競争参加資格を定めるに当たって
・障害者法定雇用率を満たしていること、又は、
・障害者就労施設等から相当程度の物品等を調達していること
に配慮するなど、障害者就業促進のために必要な措置を
講ずるよう努めなければなりません。

具体的には、国、地方公共団体、独立行政法人等は、
以下の施設等から優先的に物品・サービスを購入する
努力義務が課されます。

・障害者福祉サービス事業所等
・障害者を多数雇用している企業
 (障害者雇用促進法の特例子会社、重度障害者多数雇用事業所など)
・在宅就業障害者等

弊事務所の建設業のお客様の中には、経営審の評価点数を
上げるため、あらゆる努力をしている方がいらっしゃいます。

例えば、
・育児休業等両立支援制度の法定超え
・一般事業主行動計画の策定(策定義務のない人数規模でも)
・障害者雇用率の法定超え
云々。

このたびの法改正では、今まで通り障害者法定雇用率を
満たすだけではなく、物品等の調達も可能な限り行う
方向で検討すべきことは明らかで、今後、経営審の中身が
どのように変化するのか、平成25年度も目が離せないと思われます。

それにしても、平成25年4月1日施行の改正が多いですね。
4月から助成金の大幅な廃止・再編などがあるようですし、
新年度も目が離せない、緊張の年になりそうです。

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◆H25年度税制改正大綱にみる労働分配拡大と雇用促進税の前途

2013年02月07日 21時46分50秒 | 雇用促進税等
社会保険労務士の大澤朝子です。

1月29日に閣議決定された「平成25年度税制改正大綱」から、
雇用増加法人税減税関係をまとめておきたいと思います。

大綱には、平成26年度から始まる消費税率8%への引き上げを
見据え、民間投資の喚起雇用・所得の拡大等を促す効果が
盛り込まれているとされています。
このうち、雇用・所得の拡大に焦点をあてて見てみましょう。

◆所得拡大促進税制(法人課税)
企業による雇用・労働分配(給与等支給)を拡大する
ための税制措置の創設。

青色申告書を提出する法人等が、平成25年4月1日から
平成28年3月31日までの間に、その法人等の雇用者
に係る給与等の支給額が前事業年度の給与等の支給額よりも
5%以上増加した場合は、その「増加額の10%」(中小企業は
20%)を法人税率から控除できるというもの。ただし、平均
給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回る
場合は税率控除を受けることができません。

対象期間は、平成25年4月1日以後に開始される事業年度
からとし、その給与等支給額の基礎となる事業年度は、
各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度
(基準事業年度)とされています。

支給給与額が増えても平均支給額が減った場合には
減税措置を受けられないことから、雇用者の人的増大
に伴う給与額の増大は対象外であり、あくまでも
雇用する従業員の給与賞与全体として増加しなければ
ならないことが分かります。
雇用増大よりも所得アップを促すものと捉えるべき
でしょう。

◆雇用促進税の拡大(法人課税)
既に開始している雇用促進税の拡大。
平成23年4月1日から平成26年3月31日までに開始する
各事業年度において、雇用数が一定以上増加した場合に
受けることができる減税措置です。
大綱には、この雇用促進税の拡大も盛り込まれました。

平成23年4月1日以降に開始する各事業年度の当期末の
雇用者数が前事業年度の末日における雇用者数に比して
5人以上(中小企業は2人以上)、かつ、10%以上増加して
いる場合に、その増加一人当たりにつき20万円
特別税額控除ができる(ただし、法人税額の10%(中小企業は20%)が上限)と
されています。
なお、事業年度中に定年退職者や自己都合退職者が出たり、雇用保険の
一般被保険者でなくなった(週20時間未満のパートになった等)などの場合
もあるわけで、いくら新規採用を増やしても雇用保険の一般被保険者数が
増加しないと対象となりません。総体として従業員数の増加が必要であり、
結果として当該事業年度の賃金総額も一定以上の増加が要件となります。
この点は注意が必要です。

この場合、「雇用者」とは、雇用保険の一般被保険者
(週所定労働時間が20時間以上の者)をいい、
雇用保険法に規定する高年齢継続被保険者(65歳以上)、
短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者は含まれません。

拡大内容は、
1、税額控除限度額を一人当たり40万円(現行20万円)に拡大する。
2、高年齢継続被保険者も雇用数に算入する。
の2点です。

雇用促進税は、既に動いている制度ですが、実際には
どの程度の法人等が雇用増を達成したかを統計数字から
見てみると、あまりよろしくありません。

例えば、東京都の場合、雇用増の計画書提出法人等は3,870社
に対し、雇用増達成法人等は1,280社。埼玉県の場合も同じく
769社に対し、212社。達成率は概ね3割前後しかありません。

以上の2種類の減税措置は、どちらか一方の「選択制」となります。
既存の従業員の給与増か、それとも雇用人数の増加か――。
平成25年度は、新たな選択肢をもって臨むべきでしょう。

第183回通常国会開催中。税制改正の行方に注目です。

<参考>
各省庁のHPから、以下の文書を参考にしました。
内閣府「平成25年度税制改正大綱」
内閣府「平成25年度税制改正大綱の概要」
厚生労働省「大綱の概要」(雇用促進税制の拡充)
厚生労働省「平成23年度雇用促進計画の受付・達成状況報告状況(速報値)」
厚生労働省「雇用促進税制について」Q&A
厚生労働省「雇用促進計画の提出手続き」
国税庁「雇用促進税制の創設」

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