P.F.A. 便り

PIANO 5STEPS ASSOCIATION

ルードヴィヒ・ルネサンス22 ~2013年1月5日号~

2013-01-05 00:00:00 | 音楽
 あけましておめでとうございます。
穏やかな元旦のご来光でした。新たな年に期待がふくらみます。

 父とのコミュニケーションのテーマであるベートーヴェンの作品から歴史を紐解くと、ナポレオンの偉業からヨーロッパの今につながる流れを知ることになり、音楽の実体験が知的認識に息を吹き込みます。かつて夢見がちな少女であった私は、血なまぐさい歴史から目を背けてきたのですが、3.11東日本大震災によって露呈したこの国の現状に危機感を持って、「歴史」を読み直すことになりました。

 特に重要なのは、学校では詳しく習っていない戦後の歴史ですが、立場や年代によって捉え方はさまざまでしょう。「『戦後』混迷の時代に(「日本の歴史」第7巻)/渡部昇一・著」を読んで、うやむやになっていた霧が晴れてきました。戦後、上智大学、ドイツ・ミュンスター大学、オックスフォード大学で学んだ著者の、グローバルな視点の歴史観には共感を覚えました。

 私の父は旧制中学時代を青山の曽祖父の家(小山家)で過ごし、フルートやピアノの名手であった年の近い「おじ、おば」の影響もあって、音楽に夢中になりました。ジャズピアニスト・山下洋輔が連載中の「ドファララ門(サンデー毎日)」に、青山の「小山家」のことが出てきます。ヨースケさん(山下洋輔)の母上が、私の祖母の妹、父の「おば」にあたる、ピアノの名手・キクヨおばさま(山下菊代)だったのです。

 父はその後の大学時代にピアノや作曲を学びましたが、音楽の道には行かず、早稲田大学に奉職してエレクトロニクスの分野で戦後の復興に貢献し、音響学者としての生涯を送りました。

 父や曽祖父の時代から今に至るには1945年を境に大きな断絶があります。私が祖先から受け継いだ音楽を通して、その断絶を、少しでも微力ながら和らげることができればと、新年に当たり、願わずにはいられません。