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ルードヴィヒ・ルネサンス39 ~2017年4月5日号~

2017-04-05 00:00:00 | 音楽
《花まつり》

 春が好きだという人は多いと思います。

 日本中に桜が咲き、開花予想と天気予報を見比べてお花見をする方も多いでしょう。じわじわと森林が砂漠化し、珊瑚礁が白化していると聞いても、目の前のちょっとした幸せを見つけて気を紛らしてしまうのが私たちです。

 新春サロン(1月9日広尾シェモルチェ)ではショパンが最後に書いた「マズルカ」を演奏し、続けてバッハのパルティータⅣの序曲を弾きました。そこには「滅びと再生の喜び」という物語が感じられ、感慨深いものとなりました。

 1918年5月3日に生まれた父、伊藤毅がピアノ作品を書き残しています。演奏に際して楽譜を読み解いていく中から、父の人生が浮き彫りになってきます。1945年5月25日の山の手大空襲で住んでいた渋谷区若木町(広尾3丁目付近)の家は燃え盛る火の勢いを防ぎきれずに焼けてしまい、どんなにか無念であったかと聞かされたものです。そして、8月15日の敗戦の日を迎えるわけですが、焼け野原を自転車で早稲田大学に通った父の「滅び」の体験がそこにあります。

 その後、家を再建し、新しい家庭を築きました。日本の復興の最前線に卒業生を送り出す大学の教授として「再生」の旗振り役の一人だったのではないかと、今になって思います。70歳になった父は役目を果たし退任するのですが、その記念に、なんと、自身のピアノ作品のCDを制作することになりました。急なことで、私はやっとの思いで「ピアノソナタ第3番」を弾いた憶えがあります。

 21世紀の日を迎えることなく父は静かに人生を終えましたが、2018年5月3日に伊藤毅の作品を含め、東京でコンサートを行う準備を進めています。作品に内包された20世紀の物語を、より確かなものにしたいと思っています。

 コンサートの全容が整い次第ご報告させていただきます。皆様の叱咤激励に育てられ、応援に支えられての今日に感謝しています。
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